第1章 第4話
私は生きることが大好きだから、 死を恐れない。
ただ、出来るだけ遅く
死にたいだけだ。
(ジョルズ・シムノン)
第4話 友
ログライン基地での日々は退屈しなかった。
夜になれば酒も飲むし 賭け事もする。
そんなことより興味のあるものを見つけた。
倉庫で埃を被ってたソレは目を輝かせた。
ハリスはガラクタだと笑っていたがそんなふうには思わなかった。
エグザソード
この剣には意思がある
つまりのところ喋る。
まるで魂が乗り移ったかのような話だが実際のところはNAIではなく
人類がこれまでに開発したAI技術が使われている。
自動的に弾丸をはじくこともできるが持ち主の意思が優先される
しかし 剣にAIを使ったところでそれは実践としてあまり使えないこと
そして使用者が100%使いこなすことができない代物と認識され製造されなくなった。
「おいリダル 太陽とは素晴らしいな、日の下にまた出してくれてありがとよ。存分に使ってくれ 早く 早く」
「 今 集中してるんだ!静かにしてくれ」
随分とおしゃべりな剣だったが
エグザソードの性能はピカイチだった。鋼鉄などたやすく両断する
日本国には銃は剣より強しという言葉があるがそれは汎用性の話であり使い手の事は考えられていない言葉だ。
飛んでくる攻撃はかわす
そして敵の弱点を一撃で突く
ブラックホライズンの攻防のとき
敵はエネルギー弾を使用していた。
あれは切ることができない
となれば何かシールドの役目を果たす装備を手に入れればと考え
特殊装甲で作られたアーマーを着ることで僕の能力は大きく上がると確信した。
「ところでお前を以前使ってた奴はどうなったんだ?」
「それは話せない」
「そっけないな 質問を変えよう
お前に名前はあるのか?
「名前はP4W K-1 だ」
「そうじゃない、それはお前の武器としての名だろ?俺はリダル
お前をガラクタと呼んだ奴はハリス ちゃんと名前がある お前にも名前があるはずだ」
「お前は面白い」
「何が?」
「武器に名前を聞くなんておかしい」
「そうかもしれないが 俺はお前を気に入った 離す気はないぞ」
「・・お前が決めてくれ 私の内臓データはほとんど自らの意思で削除した」
「辛い過去が?」
「分からない、だが 私にも心がある 痛いことも悲しいことも 今のお前が私に対して思ってることも全て分かる お前は私をガラクタとは思ってない こんな嬉しいことはない お前に見つけてもらえて本当に嬉しいぞ」
「・・俺の祖国の言葉で名前をつけさせてもらう、お前の名前は今日からドルークだ」
「ドルーク・・・お前の祖国は」
「いや、俺にはもう帰る国はない
俺にはやらなければいけないことがある。」
「お前は私を友達として?ドルークとはそういう意味だろう」
「そうだ お前は友達だ 。だから1つ頼みがある おれの命はお前と共にある 生き残る為に俺に持てる全ての力を貸してくれ」
「分かった 共に戦おう」
ドルークは僕の相棒になった。
おしゃべりなとこ以外は特に問題はない
「そういえば ドルーク 消えてなければいいが お前の以前の主人の事で残ってる情報は本当にないのか?」
ここまで以前の持ち主のことを聞くのは 探してる人がいるからだ
その人に憧れて剣を敬愛している。
「話せないと先ほど言ったはずだ それに情報は残されていない 1つを除いて」
「1つ?何か残ってるのか?」
「消されてない情報は1つある
言葉だ。」
「言葉 ?なんて言葉だ?」
「・・・平和だ」
第4話 完