第1章 第3話
第1章。Nuclear armament
成し遂げんとした志を
ただ一回の敗北によって
捨ててはいけない。
(ウィリアム・シェイクスピア)
第3話 宣言
目を覚ましたのはブラックホライズン陥落から3日後のことだった。
長く眠っていたせいか少しやつれていた。
生きているのが不思議なくらいの顔色をしていた
対して医師は
被爆した恐れがあるので検査が終わるまで安静にしていてくださいの一言で狭い病室に一週間以上も閉じ込められた。
検査が全て終了し病室からでるとハリスが暗い顔をして立っていた。
「リダル、大変なことになったぞ。」
NAIは全世界に向けて人類殲滅のために新型の核兵器を使用すると宣言したのだ。
ブラックホライズンはその第1手だったのだ。
それから他の国でも核が使用されているらしい
民間人に被害はないが軍の施設への攻撃がこの瞬間にも続いているようだ。
「機械が人に変わりこの世界を支配するのか?」
ハリスは拳を握りしめ僕に聞いてきた。
「そうはさせない、核武装...俺たちも対抗するために核を使うしかないだろうな。」
「核武装だと?そんなことしたら何も残らない この星は死の星に変わっちまうぞ くそっ・・」
次の指令が来るまで待機するしかなかった。
ログライン基地を離れる日が決まらず
ハリスと共に射撃訓練に明け暮れた。
「俺も参加していいか?」
「ロッド!無事だったんだな!」
ロッドは誰よりも長く病室で検査を受けていた。
そんなに長くかかるものなのか疑問だったがあまり気にはしなかった。
射撃をしながらロッドにNAIが核武装をした話をするとなぜかロッドは悲しそうな顔をした。
「今回の戦いで 奴らに対する銃撃はあまり効果がないよな?すぐに弾がきれる」
ハリスがグチグチ喋っていた
「銃ではだめだ やはり 敵と同じようにエネルギー弾を打ち込むしかないんじゃないか?
もしくは....」
「もしくは?」
ロッドも話に乗ってきた。
「剣....剣じゃないか?弾切れしない」
「リダルお前...近接戦で奴らに対抗しようって言うのか?」
ふふっとロッドにも笑われてしまった。
だが確信はある、敵の弱点は人間と同じく頭だ
頭を攻撃し思考回路を破壊すれば奴らは動かなくなる。
弱点は俺たちと一緒
勝機は必ずあるはずだ。
同時刻
とある国の施設
「勝つためなら悪魔にもなろう、そう言ったね。」
「はい」
「後戻りはできないよ、死ぬまで いや 死んでもなお 本来の存在には戻れない」
「・・はい」
白衣を着た男は納得した表情で
透明なカプセルの開閉スイッチを押した。
1人の女性が裸でその機械の中にはいり目を閉じた。
「これで全てが・・」
白衣の男は機械のスイッチを入れた。
薄緑色の液体がカプセルの中にひろがっていく
女性は遠のく意識の中
自分の体が変わっていく様を見ることなく眠りに落ちていく
「サマンサ 君の願いは私が叶えよう ゆっくり今は眠ってくれ。
時期がきたら君は新しい自分として生きるんだ」
男は泣きながらその場に崩れた。
そして2度と動くこともなかった。
「私は明るい未来の為に・・
平和の為に」
第3話 完