第2章 第1話
第2章。Invisible enemy
夢の終わり
それは自分の持つ世界の終わり
(???)
第1話 月
地球は青いなんて言葉はきっと今は言えない
宇宙から観た地球は今では
美しいという言葉にはふさわしくないだろう・・・
「こちら リゴール号 配置完了 」
「了解 オリオン号はどうした?」
「連絡が遅れて申し訳有りません
オリオン号 位置に着きました
いつでもいけます」
バトルシップは編隊を組み月に向かう準備をしていた。
2031年
人類は月に向かって進軍を開始しようとしていた。
NAIの殲滅に乗り出す為に
アースベルト帯に集結したバトルシップは50隻を超える。
4隻の小型船と1隻の司令船の計5隻で第1艦隊となり
アースベルト帯には第1艦隊から第10艦隊の船団が集まろうとしていた。
もともと侵略に備え 地球を囲むように防衛が貼られていたが
今回の作戦の為に全勢力を投入することが決定された。
物量的には圧倒的に有利な状況だ。
管制室に突如アラームが鳴り
オペレーターの声がブリッジに響く
「監視衛星ヒドラからの通達
全艦隊の中央モニターに映します」
映像には月面に隊を集結させているNAIが映されていた。
敵も攻撃に備えているらしい
「月の裏側にも熱反応を探知 こちらもモニターに映します」
驚くべき光景がモニターに映った
数百を超える金属質の棒状の物体があり地面に突き刺さっていた。
「 あれは いったい・・」
全員が息を飲み緊張が広がる中
艦長の声が響く。
「我々の目的は変わらん 作戦の変更もない うろたえる暇などない」
全船団の指揮をとる
アレックス・クルーガー
2年前の強襲作戦の指揮をとった
エドワード・クルーガーの実の兄
だった。
兄としてのプライドなのか常に弟の1歩 2歩いき頭がキレる。
宇宙空間で初の戦闘が行われようとしてきたその頃
船団とは別に月に向かう船が1隻
月の裏側を目指していた。
「クラッシュドライバー か
月を砕くには十分な量なのか?
実際 俺がこれを止められなければ地球は滅ぶ事になるのか?」
サウンドオンリーと書かれたモニターに電源が入る
「そうね 簡単に言うわ 帰る場所が無くなるのよ」
「そんなもの初めからないさ」
「また昔の事思い出してるの?」
「どうだろうな やれる事をやるさ」
「止めなければ 船団にも大きな損害が出るはず 集中して」
通信を切り男は武装を開始する。
1時間後
アースベルト帯に集結した船団は進軍を開始した
それと同時に男は着陸地点の計算を終え 出撃準備に入った。
再びモニターに電源が入った
「準備はいいわね ミッションは
2つよ・・
クラッシュドライバー発動の阻止が1つ目のミッション
船団が近付いてきているわ
時間がかかりすぎると 砲撃の影響で脱出が難しくなると思う
そしてもう1つ
敵のNAIの情報をなるべく多く集めてきて
今後の戦いを早期に終わらせる事が上のご要望みたい。
クラッシュドライバーが発動してしまえば人類の未来は失われる。
全ては私達にかかってる
失敗は許されない
気をつけてね 」
男は無言のままモニターを切り
ソルジャーボックスに入り込んだ
「ドルーク 作戦開始だ 行くぞ」
「久しぶりの戦闘だな 力を尽くそう」
ソルジャーボックスが射出され
リダルとドルークは月のダークサイドに向かった。
地球連合 第3支部 研究所
「船団は進軍を開始 予定通りです」
落ち着いた表情で男は報告をする
ボサボサの頭でシワだらけの白衣
を着ている
「ご苦労 少し休んだらどうだ?」
肘つきの高級な椅子に座っている人物は振り向きもせず手元の写真を眺めている
「いえいえ 最悪 今日が人間の最後の日になるかもしれません
私は次の準備を完了させます」
ボサボサの頭をボリボリと掻きながら白衣の男は部屋を出て行った。
「 サマンサ・・ もうすぐだ
復讐の火は今日灯る
失った時間を取り戻そう」
写真を置き 男は涙ぐんでいた。
第1話 完