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Piece Of Mind  作者: утопия
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Piece Of Mind 第1章 第1話

第1章。Nuclear armament



人生で一番大事な日は二日ある。

生まれた日と

なぜ生まれたかを分かった日だ。

(マーク・トウェイン)


第1話 攻防



2013年


俺の名前はリダル

物心がついたときの事を覚えてる人はそうそういない

初めて食べたもの 聞いたこと

感じたこと

だが1つだけ覚えている

見たものだけは今後も忘れることはないだろう。


その日 母は眼の前で炎に包まれ悲鳴をあげながら死んだ。

次に覚えていることは

真っ赤に染まった体で 人を踏みつけていた


ヤツらだ。



16年後...


2029年


「クソっ! 救出船はまだ来ないのか!全滅しちまうぞ!!ウオオオ!」


次の瞬間仲間の兵士の体は青色のビーム弾の着弾を受け死に絶えた。それは花火のように美しく散る様の反面 体は2度と再起できないほどの致命傷を負う。


被害は甚大で各々が持つ武器の弾が切れてしまえば全滅は必死だった。

次々と仲間たちが倒れ 仲間の死体に体を隠すことでしか己の肉体を守ることができない状況だった。

救出船の到着まで残り...




6時間前...




油臭いソルジャーボックスの中

作戦内容を今一度 確認している


「本作戦は領土奪還の糧になる重要なミッションだ 諸君らの検討を祈る」


頭の中に響く無線が切れ 隣に並ぶソルジャーボックスから歓喜の声が聞こえてくる。

これから向かうところは

ブラックホライズンと言われている軍の前線基地

支援物資の護送の銘を受け僕たちは待機していた。


「リダル、お前 緊張してないか?それとも昨日飲んだ酒がまだ抜けてないとか?ハハハっ」


話しかけてきた男は18歳を迎え兵士としての道を踏み出したさいに初めて声をかけてくれた 後の親友になり3年間訓練を共にした ハリスだった。


「緊張はしてない これが初めてじゃないからな。ハリス お前はどうだ?」


鼻歌を歌いながら陽気なハリスはクスクス笑うばかりで何も答えなかった。


前回の護送任務では物運びとして油断していたのだろう

それだけの任務のはずが 敵の流れ弾に20人中 12人の仲間が死んだ。

なんと12人もだ。 それが幸いとは言いたくないが

護送任務のさいは全員がソルジャーボックスの中で待機し

いざという時は迎撃も担当する。

陽気になる理由もわかる。

技術ではなく運が勝る者が生き残る時代だ。僕は運なんて信じない



護送船に乗り込みが完了し 再び無線がはいる。


「先ほど前線基地から連絡がはいり、敵のNAIに動きがあるようだ、レーダーの探知に誤差はあるようだが ブラックホライズンに敵が迫ってきているらしい、だが心配することはない、お前たちは物資を届け 燃料を補給し 後は経験豊富な者たちが敵を返り討ちにする 離脱後は後方のログライン基地に向かい 指示を受けろ 以上。」


乱暴に無線は切られ 船が飛ぶ感覚に体は包まれた。


「前線基地の奴らはイかれてるって聞いたことがある、対NAIのエキスパートってところか 今回は楽勝だな。」


ハリスの言葉には余裕がみえたが僕は若干の震えが混ざる声を聞き逃さなかった。

やはり考えていることは同じなのだろう

敵の侵攻が早ければ 僕たちも攻撃に参加するのは必然だからだ。


僕は目を瞑りながら祈っていた

誰も死なないでくれと。



5時間後



ブラックホライズン前線基地


物資を下ろしている時に不安は現実になる。


「敵のNAIの侵攻が早い、迎撃態勢に入る!コードレッドだ、持ち場につけ!」


無線のあとサイレンが鳴り

基地二階部分での狙撃部隊

基地一階での地上迎撃部隊にそれぞれ割り振られて持ち場についた。


「ついてないな。」


俺の真横にいるのは1つ年上のロッドだった。

ロッドはずば抜けた射撃のセンスを軍曹に買われていた。


「できる事なら戦いなどしたくないな、自分を守るので手一杯なのに」


愚痴をこぼしながらロッドは銃のスコープを覗いていた。僕とロッドは狙撃班と共に行動する


レーダーには確かに敵のNAIの反応がありこちらに向かってきていたが何か違和感を感じた。

目視出来てもいいはずなのに敵の姿は全く見えなかった。


二週間前 このブラックホライズン前線基地は一度敵の攻撃を受けている

NAIは見たこともない兵器を装備し遠距離射撃によって この基地を攻撃した。

その時は辛くも撃退に成功 死傷者は指の数ほどだったらしい。


今回も大丈夫だと誰もが思っていたが事態は急変した。


「狙撃班!敵は確認出来んのか!」

怒鳴り口調で連絡がはいるが敵は確認できなかった。


「悪い予感が的中しなければいいが...」


俺は信じられない気持ちでいっぱいになった。


「リダル、俺は空をみる お前は...」


ロッドの言葉が終わる前に予想通りになった。

基地の真下から爆発が起き 周りは黒煙に包まれた。


「クソっ..地下からの襲撃だ!迎撃開始!」


狙撃台にいた僕たちは煙のせいで下の階にいる仲間がどうなっているかわからなかった。

激しい銃撃音が響き渡る。


「リダル!空からも来るぞ!」


ロッドの声で空を見上げた


30以上はあるであろう飛行型NAIが真上から向かってくる。


「地下と空からのサンドイッチなんて ついてないな」


ロッドは正確な狙撃で確実にNAIを破壊していた

下からは仲間の悲鳴が聞こえる。


次の瞬間 真横にあったもう1つの狙撃台は正面からの攻撃で大破した。


「正面からも来るぞ!!」


俺は今までにないくらいの大声で周りに伝え 引き金を引き続けた。


地下 空 そして真正面からの攻撃を受け事態は深刻を極めた。


「ブラックホライズンを放棄する!ログライン基地から救出船がくる!それまで生き残れ!」


ノイズだらけの無線がはいり 部隊は後方に下がった。

地下から攻めてきた敵は殲滅したが奇襲を受けた地上迎撃部隊の兵士の状況は深刻だった。



「ロッド!弾が尽きてしまう。補給物資を持ってきた船まで下がろう!」


無言でロッドは頷き 全力で船まで走った。


「リダル!無事だったか!救出船がくるまであと20分はかかるようだ!」


ハリスは生きていた。

300人以上いたはずの地上迎撃部隊はハリスをいれてわずか40人ほどしか生き残ってはいなかった。


狙撃部隊も空と真正面からの攻撃で俺とロッドと数えるほどの数しか生き残ってなかった。


「残り10分耐え抜くんだ!」


敵の攻撃は緩むことなく続いた

そして僕やハリスの弾は尽きた。


「リダル、死ぬ時は一緒だ」


「ああ だがここでは死なない」


周りに転がる仲間の死体の下に僕らは隠れ やり過ごそうとする。

まるで地獄を見ているような気分だった。

容赦ない敵の攻撃に僕たちは死を覚悟した。

しかしまだ運には見放されていなかった



「ハリス!リダル!こっちだ!」

叫び声の先にはロッドとブラックホライズン前線基地指揮官 レビン司令がいた。


そして救出船が向かってきた。


「救出船に攻撃をさせるな!武器のないものは急いで船までいけ!」


レビン司令の命令にしたがい 救出船まで走った。

後ろの方で司令の叫び声が聞こえたが振り返る間もなかった。

数名が乗り込んだところで船は急浮上した


「まて!まだ仲間がいる!」


ハリスは操縦士に怒鳴りつけた!


「ここはもう落ちる!捕まっていろ!離脱するぞ!」


救出船に備え付けられたガトリング砲で追ってくる敵を迎撃しながらログライン基地に向かう途中思いもよらぬことが起きた。


一瞬のことであった


大きな爆風により救出船は激しく揺れた。

噴煙が立ち上がる

ちょうどブラックホライズン前線基地のあたりだ


まさかの事態に僕は言葉を失った。

天まで伸びそうな煙

そう NAIは核兵器を使用したのだ。


第1話 完

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