衝突〔5〕
「まるで点が動いて描いた…軌跡のような…大きさは、2,3センチほどかな」
小さいが間違いなく今日できたものだ。
何を言っているのが分からない社長は目を丸くする。
早乙女がまず口を開く。
「…なるほど。先ほどのとは…別ですか? 」
「はい。色で何となくわかるんです…少し精度には欠けてますけど…ここまで色が違うと…少なくともここには2人の『脳力者』がいたことになります」
わずかな間を置き
「鮫島さん。被害者と加害者についてもう一度調べてもらいますか? 」
「おし!了解した! 」
快く引き入れた鮫島さんは、社長と警官を連れていく
「良汰君は、私と事故を起こした車を見に行きましょう…何か分かるかもしれません」
「はい!わかりました」
「・・・」
「どうかしました?」
「敬語…大学生でしたよね?仕事だと上ですけど。私、歳下ですし…違和感がすごいので」
…そういえば高校生だったな。学生感覚が抜ききれていない分、歳に乗じる言葉つかいはこっちも助かる
「じゃあ…改めてよろしく。…っとこっちからも1ついいか?」
「なんですか? 」
「下で呼ぶのはいいけど『君』って変えない? 」
年上。に見えていたのは、この呼び方も起因していると考えていた。
「…わかりました。では、鑑識にいきますよ。良汰『君』」
「…え?」
早乙女 茜
脳力『???』
高校生だが、近くでみないと幼さに気づかれず大人びて見える点。
すらっとした体形…胸の無さが…コンプレックス。
そして人呼び名は変えることはない。