衝突〔4〕
規制線がしかれ、数人だが警官が残っている。
住宅街あってか見晴らしがいい…とは言い難い。
車というのは衛星のもと人を感知し止まるのだから、よもや直進してくるとは思ってもみなかっただろう。
「あ!鮫島さん! 」
「おぉ。茜ちゃん久しぶりやな」
降りると何かに気づいたように走るので追いかけると
数人のうち一人…見たところだと、ここだと一番偉いの人…かな?
話しぶりからして、知り合い…同業者なら知ってて当たり前か。
「そこの兄ちゃんは新人かい? 」
「はい! 飛騨良汰といいます」
僕より一回り大きく、ギザギザとした歯。見た目は怖いが、声音はやさしい」
「俺は鮫島や。よろしく」
「まさか鮫島さんがいるとは」
と早乙女は規制線に入り、それを飛騨も追うようにして入る。
「それは、こっちのセリフや。今日、平日やろ?高校は?」
ん?高校?
「今、人手がなくって…今日は休み貰ってるんです」
「はぁ~。そっちもそっちで大変なんやな。こっちも人手が足りんとかで、うちが管轄外にも出んといかんようになっとる…ってどうした兄ちゃん?驚いた顔して」
「い、いま高校生って」
「あ。はい。私、現役の高校生ですよ? 」
…たしかに。言われてみれば、スーツで大人びて見えていたが。顔は少し幼いような。しかし、妹と同じくらいとは思えない...
「あの…私。そんな老けて見えます? 」
「い、いや。そういういみでは…」
「じゃあどういう意味ですか? 」
…まずい。女子高生にたいしてこの言い回しは。
何を答えても失礼になる…早乙女さんだんだん頬が膨らんで…
「仲がいいのは置いといて…そろそろ事件の方行こうか…」
助けてくれ…た訳ではなさそうだ。鮫島さんの顔はさっきとは打って変わり、真剣である。
「そうですね 」
早乙女は少しふて気味で答える。
破片はあるものの。車自体は見当たらない。
「さて…ここが現場やけどどうや?脳力…使われとるか? 」
「すいません…私、今脳力使えなくて…だから学校を…」
「そいうことか…じゃあ分らんわけか。」
「いえ、大丈夫ですよ」
僕に視線を向けてくる。
「え?僕?」
「はい!…脳力を発動してください」
と、言われても
「僕の脳力って『身体能力強化』ですよ? 」
「え?…『探査眼』と聞いているのですが」
あ…なんだそっちか
「そっちは副産物みたいなもので…脳力の痕跡ぐら…あ、そういう事ですか」
…ようやく配属の理由が分かった。
そもそも、冷静に考えればコレしかないか。
「…まさか。今更気づいたんですか?…案外、ばかなんですね。」
年下に言われることじゃないと思ったが、否定もできないので言葉に出すのをやめた。
「それじゃあ。。。」
目を閉じ、5秒。
「『探査眼』」
言葉を発することで脳に指令を送り、目を開く。
閉じる前より、辺りが暗く。
そして先ほどはなかった白い粒子が見える。
その粒子は僕の身長より少し高く、
一対は肩幅ほど、もう一対は10センチ程の四角柱状に固まっている。
近くによる。
「ここに、脳力の反応がありますね。これくらいで…壁みたいな…」
「…供述通り。」
鮫島は驚いた顔で早乙女のほうを向く。
「良汰君に渡した資料には詳しい場所までは、わざと載せていなかったので。間違いないですね」
「お疲れ様でした」
ちょうど脳力を解除しようとしたとき
「鮫島警部!三富田社の社長がお見えになりました」
「これはこれは」
3人は正対する。
若い警官の隣。いかにも社長という感じの服のおじいさんだ。
「どうも」
と一礼し、続ける
「事故があったのは。ここですか。」
落ちていた破片を拾う。
「うちの製品は安全が第一です。1台1台。何度も点検し改良してようやく売れて。しかしこんなことに…今でも信じられませんよ」
今まで築き上げてきた信頼を考えると。こちらまでうなだれてしまう。
と、社長の足元に視線を落とす…ん?なんだ?
飛騨は、脳力の解除を忘れて近づく
「どうしました? 」
早乙女も後を追う。
驚いた社長は1歩引く。が、それは動かない。赤い粒子が宙に浮いている。
「ここにかすかですが…脳力の反応があります」