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衝突〔2〕


 辺りにそびえたつは、ビル。ビル。ビル。

 ここは中央都市_山延市。ここ日本において、そこそこ有力都市だ。


 「中央都市は居住区に囲まれ。その外は壁_生物を寄せ付けない。しかし害のないレーザーカーテン_を隔てて森、海となっている。勿論。海水浴、登山も可能だが、持ち物に制限が付く。これは戦後。人間だけでなく地球上に存在する生物種がよりよく生活を送れるようにするためだ。_今回は、桜木市周辺のイノシシの生態について観察してきました!(字幕:※特別な許可を得ています)」

 あるビルの巨大なモニターの映像。

 写真は自分で自由には撮りに行けない。なのでこのような『外』の映像は、手元で情報を操作し、買い物、手続き、仕事、なんでも行えるリストバンド型デバイス『アルテマ』がある世の中でも注目を集める。


 良汰は走っていた。言うまでもなく、イノシシに魅せられたのだ。


 数分走った後_ようやく着く。

 「ここか? 」

 一際大きいビルではないが、桜模様が堂々と掲げてある。


 「あの…魔法課ってのはどこにありますか? 」

 通じるかは別として、ちょうど入口に立っていたメガネの男性に聞く。

 「魔法課…あー。それでしたら…」「私が。案内します」

 彼の声にかぶせるように、背後から声が投げかけられる。

 振り向くと1人の女性が立っていた。

 長い髪を後ろで1つにまとめてある。スーツのよく似合う姿は、いかにも仕事ができるといった雰囲気をかもし出していた。

 「いきなりお声かけして、すみません。私は魔法課のものですので、あとはお任せください」

 彼女は隣に来ると、メガネの男性に『アルテマ』の上部に投影されたモニターを見せる。

 「あ。そうでしたか。それでは後はお願いします」

 どうやら…彼女は僕の…先輩にあたる人のようだ。


 「えっと…たしか今日配属になった良汰君でしたよね?…案内するのでついてきていただけますか?」

 「はい」と返事を返すと、颯爽と歩みを進める。

 入口からそう遠くないエレベーターに乗ると上…ではなく、下に向かう。


 「地下なんですか?」

 「えぇ。そうですよ?何か…お気に召しませんか?」

 「…地下って駐車スペースのイメージなんで。珍しいな…と」

 「そういうことですか。ちなみに駐車場は、このうえにありますよ」

 彼女は口に笑みを浮かべて答えた。

 声音、容姿から歳は近いように思える。


 エレベーターから降りると、白壁の通路。突き当りに…ドアがある。


 突き当りまで来ると、彼女はセンサーに『アルテマ』をかかげ

 「それでは…ようこそ! ここが、警視庁魔法課一係です」

 と言い放つ。やがてドアは自動に開く。

 中にいたのは…たった一人の男性。

 スペース的には6人は余裕。

 というか、真ん中に置かれた円卓の周りには6つ椅子がある。


 「ようこそ。急にすまないね。まあ、とにかくここに座りたまえ」

 少しばかり長い髪に、無精髭、見たことのない白い筒状のモノから煙を焚いている男性。

 彼女とは打って変わり、スーツは似合わない。

 彼は、白い筒を人差し指と中指で挟み口から離す…煙を吐いた。

 その後。手前の椅子の背もたれに腰を掛けていたが、そこを空け…向かいに座る。

 立つと意外と身長は高く、がたいがいい。

 案内をしてくれた彼女は彼の隣に、

 「早乙女、知り合いか? 」

 「いえ、ちょうど入口で…どこかの誰かさんは気が利かず、出迎えもしていなかったようなので」

 強い口調で言い放つ。


 男は、顔を引きつらせたが、すぐに話を立て戻した。

 「…それじゃあ…まずは自己紹介と行こうか…俺は、ここの係長…兼、魔法課課長。東雲(しののめ)託也(たくや)だ」

 「…そういえば、自己紹介がまだでしたね…私は、早乙女(さおとめ)(あかね)といいます」

 それぞれ挨拶と一礼。

 「今回、君に来てもらった理由としては…まず警察官の中でも君が捜査課を志望していたこと。それと、単にこちらの人手不足だ」

 人手不足? …まさかとは思うが

 「…今まで、2人で事件を? 」

 「いえ…私たち2人を含め4人。そして今回、良汰君…ともう一人が加わることになりました」

 「まあ、今は諸事情…でいない。数日は私たち3人だと思ってくれ」

 ただでさえ増員を有するのに…大丈夫なのか?やっていけるのだろうか。


 男…改め、東雲…係長?…課長?は、白い筒を口に…そしてまた煙を吐き…話を続ける。

 「それと魔法課…については職務の中で知っていってれ…長くなる」

 …どうやら面倒くさがりらしい。


 「さて…飛騨君…早速だが仕事だ」

 立とうとしたところを、早乙女さんに肩をつかまれ強制的に座らせられる。

 「課長? 始末書。書き終えたんですか? 」

 「・・・」

 「…良汰君。今回は二人で…頑張りましょう」

 …ますます心配になってきたのだが…。


 始末書という言葉に不安をおぼえつつも、返事をし立つ。

 「場所は鳩谷。詳細は…それぞれ送ってある車内で目を通してくれ…それじゃ頼んだ」

 落胆の表情。ため息。

 良汰は何故、始末書を書くのか。気になったが時間を空けて聞くことにした。

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