プロローグ
何も無いところからゴオォォと炎が巻き起こった。
「自分の魔力の性質理解し、魔法を操るようにしろ。」
と新人の兵士にそう注意しながら手本となるように魔法を使った。
「珍しいな、テュールお前が直接教えてるなんて。」
「スレイか、お前だってほとんど来て無いだろ。」
と、あきれたように言った。
「仕方ないだろ、最近は平和でやることないんだから。どうせお前も暇だったから魔法教えてたんだ
ろ。」
スレイがからかうように言うと、
「・・・・平和な時こそ自らの能力を高める為に訓練する必要があるんだ。お前はもっと真面目にや
れ。」
と少し考えながら言った。
「お前他の兵士がいるときだけ真面目にやってるな、普段は面倒なこと俺にやらせようとしてくるのに。」
スレイがボソッと言うと、テュールは兵士たちに
「スレイと話しをするから後は自分たちで訓練してくれ。」
と言いながらスレイを連れで訓練場を出て行った。
「お前は俺の立場を考えて発言しろよ、誰か聞いてたらどうするんだよ。」
テュールは周りに人がいないのを確認しながら言った。
「テュール、そんなんだからテュール様は厳格で厳しい人だなんて思われてるんだぞ。」
スレイが言うと、テュールは、
「わかってるよ、けどどうしようもないだろ癖になってるんだから。」
と少し落ち込みながら言った。スレイは、
「まあ、そのおかげで隊長になれたんだから良かったじゃないか。」と笑顔で言った。
その時、突然地面が盛り上がりスレイの身体を動けないようにした。
「スレイ、俺が隊長になりたくなかった知ってるだろうが、喧嘩売ってんのか。」
「買って無いのにいきなりすんなよ!」スレイは言った。
「じゃないと捕まらないだろ?」テュールは、当たり前のように言うとスレイに水球が飛んで行った。
「危ないな~まったく、ストレス解消に人を使うなよ。」
緊張感のない声がテュールの後ろから聞こえた。
「やっぱり避けられたか俺もまだまだな」テュールが悔しそうに言った。
「もしもの事があったらどうすんだよ。」スレイは呆れながら言ったが、テュールは、
「その時は訓練中の事故として丁重に弔ってやるよ。」と言いながら今度は火球を無数に放った。
「死ぬこと前提かよ、手加減しろよ。」スレイはそう言いながらも避けようとせず迫ってくる火球が消え
た。
それを見たテュールは、「相変わらず反則級の魔法だな。」といいながらもスッキリとした顔をした。
「全くだな、自分の才能が怖いくらいだ。」スレイは自慢げに言った。
「でもお前だってそうだろ、テュール。」
「スレイには全く歯が立たないけどな、攻撃当たったこと無いし。」
「そりゃ痛いのはイヤだしな、けどお前が本気出したら負けるかもな~」
「その時はお前だって本気出すからほぼ無理だな。」
その時スレイが急に身構えた。
「どうした、スレイ。」緊張した声で言った。
「此処の近くの空間が歪み始めた。しかもかなりの規模で。」スレイは焦ったように言うとテュールに、
「俺はこの事を城に伝えてくるそれまでの間此処を見張っててくれ。」と言い呪文を唱えた。
「我は空間を無視する者、全ての距離は我にとっての一歩。-空間跳躍-」
スレイが一歩動いた瞬間に消えた。
テュールは、声に出しながら何が起ころうとしているか考えた、「何処かが攻めてきたのか?、テロにしては周りに何も無さ過ぎる。自然現象にしても何の前触れもなかった、この国を攻めてこれるほど軍事力がある国もないが、何処かがいつの間にかこの国に勝てるほど軍事力を増やしたか。」自分で考えまとめているとき、
「バリッベリ、ビリッッッ」
という紙の破けるような音が辺りに響いた。