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アニキと少女の変身戦闘もの? ※現代変身少女? 物

初めての3人称で書いてみました。


おかしい所などありましたら、指摘お願いいたします。

「兄者、このあたりで間違いないのだな。」


「そうだ、弟者よ。我等が探しておるお方ははこの辺りに転生しておる筈。」


筋肉隆々のスキンヘッド、真っ黒に日焼けした壮年の男性2人がスーツ姿で町を歩いている。


「しかし、現世も変わりましたのう兄者よ。」


「そうだな、弟者よ。この国も以前は人力車が走っていた物だが・・・」


「人力車は良かったですな・・・」


「ああ、御者の引き締まった上腕2頭筋、躍動する大腿直筋、それをサポートする外側広筋と内側広筋・・・

 あれを眺めながら、座席から景色を見るのは最大の楽しみだったのだが、残念だ・・・」


2人は無念そうに肩を抱き合うと、周りの目を気にせず男泣きをしていた。


まわりの人たちはそんな2人に関するべからずと、避けて歩いているうちに、2人の周囲5Mは空間となっていた。


その空間に1人の少女が自転車で突っ込んでいく。


「遅刻遅刻~。

 昨日はちょっとゲームに集中しちゃったなぁ。

 遅刻がかさんじゃ、またゲームを取り上げられちゃうよ。」


ポニーテールの似合う、活発な感じの少女が立ちこぎで通り過ぎようとする。

咽び泣いている男達は目立つもので、ふと少女の視線が寄った時、男達と少女の視線が交差する。


「うっわ・・・往来のど真ん中で暑苦しい男2人が抱き合って泣いてるって・・・撮影でもしてのかな。カット出てたらどうしよ~。

 取り合えず逃げよう。」


少女は更にスピードを上げてその場を去っていく。


「兄者・・・今の少女・・・」


「弟者も感じたか、今の少女・・・まさかな・・・」


「だが兄者よ、我の三角筋が間違いなくピクリと感じたぞ。」


「そうか弟者よ、実はワシの大胸筋もピクリと感じたのだ。」


「「となれば・・・」」


2人は頷くと、先ほど少女が駆けていった方向へ走り出していった。


まわりで見ていた人たちは、その状況を一部始終見た居たのか。


「朝から面白い物見たわー」


と言ってツイッターに呟いたり、


「少女追いかけていったが、大丈夫か?・・・まぁ、触らぬが吉とも言うしな・・・」


と興味を失って職場の方へ歩いていったり様々である。


だが、その中に一際雰囲気の違った集団が居た。


「クケケ、どうやら奴等も探しに来ているみたいだねぇ。」


「ええ、見つかる前に手を打たぬばなりませんな。」


「追っていったあの少女が怪しいかと・・・」


「なれば私めにお任せいただいてよろしいでしょうか。」


「お主か、あの少女の制服からすると、おぬしが一番の適任じゃろうな。

 任せて良いか。」


「必ずや、我が主上へ彼奴の心臓を捧げさせていただきます。」


そう言うと集団もそれぞれの方向へ歩いていった。




キーンコーンカーンコーン


「ふ~、間に合ったぁ。」


少女が机に突っ伏すと、隣から声がかかる。


「今日も遅刻だと、両親に連絡が行くからね。

 きぃちゃんの場合、ゲーム取り上げになるんでしょ?

 間に合って良かったねぇ。」


少女が机から顔を上げると、そこには肩のあたりで髪を切りそろえたメガネをかけた少女が立っている。


「やっちゃん、人事みたいに言わないでよ。

 取り上げられたら、みぃちゃんも私の家でゲームできなくなるんだからね。」


「そりゃ、私も取り上げられたら困るけど、モーニングコールしても起きてこないきぃちゃんが悪い。」


「う~、やっちゃんのいけず・・・」


「さてと、そろそろHR始まるだろうから、席に戻るね。」


そう言うとやっちゃんと呼ばれた少女は2つ隣の列にある自分の席に向かっていく。


ガラッ


「皆席についていますか。」


入ってきたのは、若く少し長めの髪をぼさぼさにして白衣を着崩した男性である。


「「「「先生、おはようございます。」」」」


席に座っていた生徒全員から、朝の挨拶を受ける。


「はい、おはようさん。

 では、出席を取ります。」


教師は一通り周りを見渡すと。


「っと、休みは無しだな。おう、吉祥」


誰かを呼ぶと、先ほどきぃちゃんと呼ばれた女生徒が立ち上がる。


「はい、何でしょうか。」


教師はにま~っと笑うと、


「今日は遅刻ぎりぎりだったな。夜はちゃんと寝るように。」


と言うと、教室中から笑いが漏れる。


「うう、見られてたか・・・」


きぃちゃんはそういうと顔を真っ赤にして椅子に座りなおした。


「それと、放課後ちっと用事がある。

 帰らずに待ってるか、職員室まで顔出してくれ。

 今日の報告事項はそんなもんだ。

 今日も一日勉強頑張ってくれや。」


それだけいうと教師は教室から出て行った。


「きぃちゃん、先生から呼び出しかかったけど、どうしたの?」


教師の姿が見えなくなるとすぐに、やっちゃんがきぃちゃんに質問を仕掛ける。


「う~ん、なんだろう。

 心当たりは特に無いけ・・・やっぱり、遅刻の事かなぁ?」


「きぃちゃんは常習犯だからねぇ。

 しかもきっかりと朝のHRだけ遅れてくるとか。

 先生としては顔合わせたく無いと思われてるんじゃ・・・とか考えてたりして。」


「まっさかぁ。」


軽口を叩き合う2人であったが、きぃちゃんは手に鳥肌の立つような不安感を覚えていたのだった。



--放課後--



「職員室に来てもいいって言われていたけど、行くよりは待っていた方が気分的には楽なのよね~。」


少女は不安感を感じながらも、軽口を叩き、気分を落ち着けようとしている。


ガラッ


「吉祥君、待たせて申し訳なかったね。」


教師が入ってくる。


その手には赤い液体の入った瓶と緑の液体の入った瓶が握られている。


「いえ、それより用事とは何でしょうか。」


「そうそう、それなんだが、君は朝のおかしな2人組みを見なかったかね。」


「おかしな・・・あぁ、号泣していたマッチョなお兄さんですか。」


「まさしくその2人なんだが、見覚えは無いかね。」


「まっさかぁ、あんな濃い人始めてみましたよ。」


「そうかい。でもあの2人は君の事を知っているようだったんだがね。」


教師は2つの液体を混合していく。


「えー、・・・なんで知ってるんだろう、怖いなぁ・・・」


「まぁ、あの2人もこの学校までは来たみたいなんだが、君の事は見失ったみたいでね。」


「追い返してくれたんですか?良かった~。」


「追い返したかったんだが、面倒な事に諦めずに近くにいるんだよ。」


「ひっ・・・ちょっとっ、先生驚かさないでくださいよ。」


混ぜた液体が色を変えていく。


「いやいや、驚いて貰うのはこれからなんだけどね。」


「先生?」


混ぜていたビーカーから液体があふれ、人の形を取っていく。


「せっ・・・先生、これ何っ?」


「これかい?これからこの子の餌となる君には言っておいたほうがいいかな。

 この子はスライムと言って、人を溶かして食べる魔界の生物の一種なんだよ。」


「先生、何言って・・・」


少女は先生に問いかけようとするが、形を取ったスライムが少女に向けて手?を伸ばす。


「ひっ・・・」


「大丈夫、主上へ捧げる為、心臓だけは残して置くように命令してあるから。」


「それ大丈夫って言わない~。誰か助けて~。」


「大丈夫、今この教室は私の魔力で誰も入ってこれないし、誰にも気づかれる事は無いからね。」


そう言うと、教師だった男はスライムを手伝うように少女に手を伸ばす。


「「そこまでじゃー」」


バリンッバリンッ


窓を破って人影が飛び込んでくる。


人影はスライムと教師だった男を跳ね飛ばすと、少女の前に立ちふさがる。


「我っ、参上っ」


「同じく」


そして、妙にテカッた体でボディービルで見られるポージングをする。


「アニキっ、怪我は大丈夫か。」


白い歯をキランッと光らせながら、笑顔で私の方へ向かって声をかけてくる。


「あ・・・ありがとうご・・・ございます。

 あと・・・わたしアニキって名前じゃないです・・・」


「オーノー、アニキッ、我等を忘れたと言うのですかっ。」


もう1人が私の答えを聞くとガクッと崩れ落ちた。


そのポーズは私でも知っている。『ロダンの考える人』だ。


「弟者よっ、アニキは転生したのだ。忘れているのも仕方なかろう。」


「ですが、兄者っ。」


「弟者よっ、悲しいのが自分だけだと思うなっ。」


バキイッ


兄者と呼ばれた男が弟者と呼ばれた男を殴る。


弟者と呼ばれた男は地面に凄い勢いで叩きつけられると、号泣して兄者と呼ばれた男の方へ向かっていく。


「兄者っ、すまなかった。兄者もつらいのを我慢しているのに、弟の私だけがショックを受けていた・・・」


「弟者よっ。」


「兄者っ。」


ガシイッ


2人はがっしりと抱き合うと、人目もはばからず号泣している。


「あの・・・」


そんな事をしている間に少女は教師だった男に捕まり、スライムへ投げつけられる所だった。


兄者と弟者もそれに気づくと、慌てたように教師だった男とスライムへタックルを行った。


少女はタックルの余波を受け、地面に投げ出されたが、スライムへの投下は何とか免れた。


「スマヌ、アニキ。」


「申し訳ないアニキ。」


2人のマッチョは少女に向かって土下座をする。


「いや、いいので、あれを何とかして貰えないでしょうか。」


2人は顔を見合わせると、1つの小瓶を取り出し、


「我等の力では魔族と創られし者を滅する事はできませぬ。

 滅するにはアニキの力が必要なのです。」


そう言うと少女に小瓶を渡し、


「この小瓶を握って我のセリフと同じセリフを唱えてください。」


「ええっと・・・」


「血沸き上がり、肉はじけ飛ぶ。」


『血沸きあがり、肉はじけ飛ぶ。』


「我、マッスルの守護神なり。」


『我、マッスルの守護神なり。』


「聖なる力よ、ここに集え。」


『聖なる力よ、ここに集え。』


「マッスルメイクアップ」


『マッスルメイクアップ』



呪文を唱え終わると、小瓶の中から液体の雫があふれ出す。


少女は身に纏っていた服がはじけとび、体にあふれ出た雫が張り付いていく。


か細い両腕は、丸太のごとき太い豪腕へ。


ふっくらと柔らかく盛り上がってた胸は、くっきりと割れた厚い胸板へ。


すべすべで少し贅肉のあるお腹辺りは、6つに分かれた堅剛な腹直筋へ。


自転車で鍛えた健康的な太腿は、腕の倍近苦膨れ上がった強靭な足腰へ。


そして、股間に今までには無い盛り上がりが膨らんできて、真っ赤なブーメランパンツがぴっちりとフィットする。


最後に体全体が薬品でも塗ったかのようにテッカテカに光る。


「今ここに、マッスル神 こうっりんっ」


オリバーポーズの格好を決める。


「アニキ、今度は我と同じポーズを決めて、「マッスルビーム」と唱えてくだされっ。」


「はっ、はい。」


少女だったマッスルは、兄者のポーズ(サイドチェスト)を真似して叫んだ。


『マッスルビーム』


すると、大胸筋のあたりから光があふれ、スライムに当たると、スライムは溶けていった。


「ぐぎゃぁぁぁぁぁぁぁ~」


「くっ、我のスライムを倒すとは・・・

 おのれ、マッスル神、食らえっ」


教師だった男は薬品を少女だったマッスルへかけようとするが、途切れない光が振り返ったマッスルから浴びせられ、男ごと消滅していく。


「お・・・・・おのれぇぇぇぇぇぇぇ~」


後には2人のマッチョと、少女だったマッスルが残っている。


「終わったようだな、兄者よ。」


「そのようだな、弟者よ。」


2人はにっこりと笑い合うと、少女だったマッスルに向き直った。


「やはり、アニキで間違いが無かった。」


「先ほどのように魔界の者が進行を開始しておるのじゃ。

 昔のように3人で魔界の者を殲滅していきましょう。アニキっ。」


恐怖によって我を忘れていた少女だったマッスルは、改めて自分の体を見直す。


そして固まった・・・



10分後、そこには土下座する2人のマッチョと1人の少女が居た。


「この世界を救う為、アニキへ変身して戦って欲しいのです。」


「戦うのはいいけど、あんなマッチョはイヤーーーーーーーー。」



その後、世間では、世界を征服しようとする悪の軍勢と、世界を守ろうとするマッチョな兄貴達の戦いが至る所で見られる事になったかは、定かではない。

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