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#2 予兆


ピピッ ピピッ


「ん………朝か 」


目覚まし時計の音で目が覚める。俺は一人暮らしのため、二度寝ができない。そのため、早々に起き上がり寝巻きのスウェットから、制服へと着替える。



「さて、行くか 」




歯磨きなどの最低限の身支度を終え、時計を見ると時間も良い頃合いなので家を出る。

そして、例の長い坂道を越え、教室へと辿り着く。



ここまでくる時に周りを見て来たが、もはや文化祭ムード一色となり、生徒達のテンションも最高潮のようだった。



「おはース 」


中へ入った途端に、来栖が声をかけてくる。



「………おはよう 」


「ハル、なんかいつも以上にテンション低くない ? 」



朝っぱらから、そんなことを指摘してきた。全く、コイツは朝からうるさい奴だ。


そして、そんなくだらないやりとりを来栖としていると、すぐにSHRが始まった。



桜水高校の文化祭は、朝と帰りSHRにて、出欠を取ればあとは一日自由となる。

だから最悪、一度帰宅やサボっていたも大丈夫というなかなか適当な学校だ。


まぁ……それのおかげで、俺や来栖などの一部の生徒達が、サボれたりするんだが今は置いておこう。

こんな事を俺が考えていると、いつの間にかSHRは、終わっていた。



「よし、それじゃあどこに行くかー ! 」



すると、担任の教室が居なくなった途端に席を立つ、来栖。なんだかんだコイツも祭り事が好きなようで、やたらテンションが高い。



「そうだな……。行き先は、お前に任せるわ 」


「オッケー。まぁ、メインは舞さんのライブかな。」



ふと、俺の耳に聞き覚えのない名前が来栖の口から出る。

当然、俺はその疑問を投げかける。



「マイさん ? 」


「そうそう。2年の布施舞。昨日、話してた軽音部のライブに出る人だよ ! この学校のスター、美人で有名人なんだってさ 」



……この学校に、そんな有名な人間居たのか。自分がいかに、無関心かということが痛感させられた気がした。



「ふうん。それで、そのライブは何時からなんだ ? 」


「13時から見たいだよ? いくら、無関心のハルとはいえ、美人と聞いたら興味湧いた感じ? 」



とても下品なニヤつき顔で喋りかけてくる。

正直殴りたい。



「そんなんじゃない。ただ、他に見るものないし……。というか、目潰していいか? 」


「ひいぃぃぃい。 恐いこと、言うな! 」


「うるさい、お前が悪い 」


「ごほん、まあ期待しとけよ? 舞さんは、モデルにスカウトされたとかも噂されてるしな 」



なんか、適当に誤魔化された気もするがそろそろ面倒なため、無難に流しておくことにした。



「そうか。それなら、適当にぶらつくか 」


そうして俺は、教室から出ようと机に手をつく。すると、俺よりも早く、勢いよく飛び上がる来栖。



「よし! なら、まずは他校の女の子も来てるだろうし…。可愛い子探して、ナンパでもしようっ 」


来栖は、目を普段の5倍は輝かせ、大声で俺に言ってくる。当然、周りの生徒達が何事かと、こちらを見てくる。


正直……視線が痛い。



「……勝手にしてろ 」



居心地の悪さを感じた俺は、そう言って教室を後にする。後ろでは、今でもナンパなどと、騒いで居る馬鹿が居た。



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