表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/53

有栖とデート ②

続きです!読んでください!

「おっおぉ……優馬!」

俺は咄嗟に木南の前に立って姿を隠した。


「何してんの?こんなとこ来るんだ。ちゃっかり新作持ってるし」

優馬は奇跡的に気づいていないようだ。


「浅倉くん?どうした?」

「うわぁぁ!!」

木南の声を必死に掻き消す。頼むから喋らないでくれ……!


「なになに……?なんか変じゃね?」

「ちがうちがうっ!全然変じゃないよ!」

俺は即座に首を横に振る。もう汗が止まらない。

優馬は眉をひそめて俺の後ろをちらっと覗き込もうとする。


「お前なんか隠してね?」

「な、なんも!?なんも隠してないから!!」

俺は完全に挙動不審。声も裏返ってる。


「じゃあその後ろの影なに?」

「か、影!?そんなんないよ〜!」

「浅倉くんの友達〜?」 

木南の声に優馬が反応する。


「だ、誰の声かな〜!?」

「いや。普通にお前の知り合いじゃん。隠すなよ」

終わった……!俺の背中越しに木南がちょこんと顔を出した。

覗きこんだ優馬とばっちり目が合った瞬間、優馬の表情が一瞬で固まる。


「……ん?」

「え?」

木南も固まっていた。


「ちょちょ……え?ちょっ。え?」

優馬が壊れてしまった。確かにこの状況は意味が分からない。


「お、おい……北斗お前……その人……木南有栖……だよな……?」

優馬の声が上ずる。まるで幽霊でも見たかのような表情。


「え、うん。こんにちは?」

木南が小さく会釈した。それが決定打になってしまった。


「はぁぁぁぁ!?なんでお前が有栖ちゃんと一緒にいんだよ!!」

ついに優馬が叫んだ。周囲の人がこっちを見る。


「ちょっと……!外で説明する!外で説明するから……!」

俺は暴れる優馬を必死に抑えて、スタマの外へ出た。木南はおいしそうに新作を飲んでいる。


「説明しろ!早く説明しろって北斗!」

外に出た途端、優馬は完全に壊れたスピーカーみたいに叫び続けた。


俺は人だかりの少ないところまで優馬を連れて行った。


「ここらでいいか……」

「おい……!なんで北斗が有栖ちゃんといんだよ。めっちゃかわいいし!」

「ありがと〜」

木南も普通に対応すんなよ……!


「お前……莉子ちゃ――」

「それだけはやめろ……!!」

俺は優馬に飛びついた。莉子ちゃんのこと聞かれたらやばい!


「ん〜?」

木南は新作に夢中で聞いてなかったみたいだ。


「危な……」

「おい!説明しろ!」

「分かったよ……最初から説明するから。まず英語の時間に――」

そこから俺はここまで来る流れを一通り説明した。優馬は荒ぶりながら聞いていたが、そもそもどんな流れであろうとこの状況が羨ましいことなので説明したところで意味がなかった。


「はぁ……?だとしても許せんぞ」

「いやそれは許してよ……」

「ねぇねぇ。浅倉くんの友達?」

木南は肩をトントンとして俺に尋ねた。それがどうしても気になるみたいだ。


「うん……そうだよ」

「へぇ。かっこいいね」

木南は優馬の顔をじっと見つめてそう言った。


「え?」

「…………ん?え?有栖ちゃん……今なんて言いました?」

「かっこいいね。って」

木南はいつもの調子でまるで天気の話でもしているみたいにさらっと言った。


「えぇぇぇ!?!?」

優馬が変な声をあげた。まるで心臓を撃ち抜かれたみたいなリアクションだ。


「ま、まじで!?俺のこと!?あの木南有栖が!?」

「うん。なんか雰囲気も明るいし。浅倉くんとは全然ちがうね」

「え!?」

悪口ですか?


「俺は明るい男だからな!」

優馬はドヤ顔で拳を突き上げる。


「木南……こう言う男がタイプなの……?」

確かに男前ではあるけどさぁ……


「んー?タイプかどうかは分かんないけどかっこいい」

「夢じゃないよな……」

優馬は空を仰いで、まるで天に祈るみたいに両手を広げていた。


「……どうなってんの?」

俺はため息をついた。やっぱり木南ってこんくらいすごい存在なんだよな……俺が異常か?


「ねぇ浅倉くん。あの人だいじょうぶ?」

木南が心配そうに俺の袖を引く。


「たぶん無理。放っとこう」

「え、いいの?」

「いいよ。俺たちにはもう何もできない」

俺はまだ石像みたいに固まっている優馬を一瞥して、

「行こう」

と木南に言った。


「浅倉くんがいいならいいけど……」

木南は頷いて、ストローを咥えたまま俺の隣を歩き出した。


振り返ると優馬はまだ動かない。

まるで悟りを開いた修行僧みたいに空を見上げていた。


「あの人と仲いいんだ」

「まぁ……腐れ縁みたいなもんだよ」

スタマの前を離れ、通りに出ると夕方の光が街をオレンジに染めていた。

木南の髪の先が光を受けてきらきらと揺れる。


「いいな〜。そう言うの」

「いや……木南さんにも水瀬さんと……り、天城さんがいるじゃん」

「でも私だけ高校からだしさ〜?思い出で言ったら私だけ少ないんだよね〜」

木南は少しだけ切ない顔をした。


「まぁそんなもんじゃない?この先死ぬまで友達でいたらそんなの誤差になるよ」

俺がそう言うと木南は少し驚いた表情を見せてから笑った。


「……ふふっ。やっぱりいいね。浅倉くんは」

「何それ……」

「なんでもない!」

少し間をおいて木南がぱっと笑顔を取り戻す。


「あっ!そうだ!ストーリー撮ろ!私のカップと並べて!」

木南はポケットからスマホを取り出した。


「え、俺も映んの?」

「はいこっち寄って〜」

気づけば木南の肩がすぐ隣にあった。スマホの画面に映るふたりの距離が思ったより近くてちょっと焦る。


「いくよ〜。はいっ」

俺の様子なんか気にせずに木南はシャッターボタンを押す。そこには楽しそうに笑う木南と少しぎこちない俺の姿があった。


「よしっ投稿完了〜!」

画面を見せてくる木南のストーリーには“友達とスタマの新作!”という一文とカップだけを切り取った写真。


「あれ……」

俺たち友達になれたの?なんとなく胸の奥がくすぐったくなる。


「ね、浅倉くん」

「ん?」

「せっかくだしインスタ交換しよ」

「え、いいの?」

「いいに決まってるでしょ?」

木南はスマホを差し出し、アプリを開き、プロフィール画面を俺に向けた。


「これ探して〜」

プロフィール画面を見る。そこには女子って感じが溢れていた。フォロワーも俺の八倍くらいいて格の差を感じた。


「あった……」

木南のアカウントはすぐに見つかった。フォローしていない状態だと鍵がかかっている。


画面上でフォローのボタンを押す。"フォローリクエスト中"が表示される。


「あっ来た来た。承認するね〜」

“有栖がフォローを承認しました"通知が来てちょっと舞い上がる。木南有栖をフォローできたぞ。


"有栖からフォローリクエストが来ています"その通知でさらに舞い上がる。木南有栖が俺をフォロー?俺は目を擦りながら承認した。


「はい、交換完了〜!」

木南は満足そうにスマホをしまい残ったドリンクを飲み干した。


俺は木南のストーリーを見る。顔は分からないが手がバッチリ写っていてちょっとビビった。


「まぁ……いいか」

木南有栖のストーリーに友達として写った優越感に浸りながら、俺はそのストーリーにいいねを押した。


 

ありがとうございました!

感想、評価をぜひお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ