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柴田尾行計画

続きです!読んでください!

そして放課後がやってきた。帰りのホームルームを終えた俺は周りが帰宅するのを眺めていた。


「……なんか緊張してきた」

行こう。校門で桜ちゃんと……優馬が待ってる。

あの後桜ちゃんに優馬が来ることを連絡したら、『北斗くんのご友人なら心強いです!』と返ってきた。放心優馬を見たはずなのにやっぱり桜ちゃんはいい子だ。


「……よし」

俺は松葉杖をついて歩き出した。


「浅倉くん」

背中に柔らかい声が届いた。振り返ると、そこには莉子ちゃんがいた。制服のスカートの裾を指でちょっと摘んだまま、俺をまっすぐ見て立っていた。


「帰りだよね?大丈夫?」

その一言で心臓が跳ねた。莉子ちゃんが俺の心配をしてくれている。心配されるたびに怪我してよかったっていう思考がよぎるのはおかしいだろうか。


「大丈夫だよ。ありがとね」

俺は笑顔を見せた。心配してくれるのは嬉しいけど莉子ちゃんを不安にさせるのはダメだ。


「……そっか」

莉子ちゃんは小さく呟いた。


「天城さん?どうかした?」

俺が聞くと、莉子ちゃんは一瞬だけ目を見開いた。迷いながら唇が動いて、でもすぐに首を横に振った。


「ううん。なんでもないよ!」

そう言って笑った。その笑顔はいつもの莉子ちゃんででもなぜか一瞬だけ影があった気がする。


「また明日!浅倉くん!」

くるっと体を反転させて廊下を駆けていく。走り去る後ろ姿があっという間に遠ざかっていった。


「え、ちょ……もうちょい話したかったけど」

思わず声に出していた。でも莉子ちゃんはもう振り返らない。


「……なんだったんだろ」

引き止めたほうがよかったのか?何か言いかけたような気もしたけど、結局聞けなかった。


「まぁ……大丈夫か」

遠足のことがあったんだ。莉子ちゃんはそんなあからさまな隠し事はもうしないはず。俺に言えなくても木南や水瀬には言えてるよな。


今はこっちが先だ。俺は松葉杖を握りなおして、校門へ歩き出した。

桜ちゃんと優馬が待っている場所へ。今日、確かめるんだ。


⭐︎


松葉杖をつきながら校門までやってきた。そこにはもう三つの人影があった。桜ちゃんと優馬と……あれは――


「騎士長……?」

夕陽を背にしたその人影は、桜ちゃんの近くにベッタリとついて、優馬を睨んでいた。


「何したのあいつ……」

俺は既に呆れながら三人に近づく。


「あ、北斗くん!」

桜ちゃんが俺に気づくと、嬉しそうに手を振った。


「ごめんごめん。遅れた」

「松葉杖にしては早い方だろ」

優馬が笑いながら言う。


「…………」

「……ん?」

なんか俺まで睨まれてないか?優馬と仲良さげだから?


「来てくれてありがとうございます。言ってなかったんですけど冬華も連れてきました」

そう言って桜ちゃんは騎士長……冬華ちゃんの肩に手を置いた。


「……宮村冬華です」

冬華ちゃんは俯いて名前を言った。


「よろしくね。俺は浅倉北斗って言います」

俺は笑顔を作って見せる。先輩の余裕ってやつを教えてやるよ。


「……あなたが最近桜と仲良くしているのを知っています」

「……え?あーうん。そうだね……」

冬華ちゃんの表情は硬い。というか完全に警戒色。


「……桜にはたくさん変な男が寄ってくるので」

「ちょっと冬華!?そんな言い方――」

桜ちゃんが焦って冬華ちゃんの肩を揺らす。だが冬華ちゃんは一歩前に出た。


「私の目の前で桜に変なことをしたら容赦しないですよ」

「…………」

俺は松葉杖を握り直した。その横で優馬が小声で囁く。


「殺気が伝わってくるよ……」

冬華ちゃんの視線は本物だ。言葉こそ丁寧だけど、完全に剣を抜く雰囲気。


「冬華。北斗くんはそんな人じゃありません」

桜ちゃんが俺の前にちょこんと立った。その姿は小さいけど、それでいてちゃんと守ってくれてるみたいで。


「……まだ分かんないよ」

冬華ちゃんはゆっくりと視線を外した。でもまだ納得してない目だ。


「まぁまぁ落ち着けって。今日は喧嘩しに来たんじゃねぇし」

優馬が軽く手を上げて言うと、冬華ちゃんはようやく一歩下がった。


「とりま柴田が来るの待とうぜ。俺いちばん最初にここに来てたけど、まだあいつは通ってねえから」

優馬が周囲を見渡しながら言う。


放課後の校門前はまだ生徒がぽつぽつ帰っていく時間帯で、柴田の姿はどこにもない。


冬華ちゃんは腕を組んだまま、まだ油断していない顔で周囲を睨んでいる。警戒心の塊みたいな女子高生だ。なんで桜ちゃんの周りにはファンタジーみたいなキャラばっかいるんだろう。


「……何してんだろ」

柴田は俺より先に教室を出て行ったはず。桜ちゃんは不安そうに指先を組んでいる。


「もうちょいで来るっしょ」

優馬が呟いた。


その瞬間、桜ちゃんが小さく声を漏らした。


「あ……!」

校舎の影から柴田が歩いてきた。スマホを片手にいつもの表情。でもどこか落ち着かない足取りだった。


「来た……!」

桜ちゃんが息を呑む。俺たちはそのまま物陰に隠れる。


柴田は校門を素通りし、ゆっくりと前へ進む。俺たちには全く気づいていない様子だ。


桜ちゃんが俺たちに小さく囁いた。

「よし。四人でついて行きましょう」

冬華ちゃんが頷く。


「距離はあけて。絶対に気づかれないように」

優馬もノリノリで言った。


「どの立場だよ……」

そうして俺たちは四人で柴田をつけ始めた。


⭐︎


「……迎えにいくと言うことなので他の高校に行くのでしょうか」

「いや。大学の可能性だってあるぞ」

桜ちゃんと優馬が電柱の後ろからジロジロと柴田の後ろ姿を見つめている。


「そのメガネどこから持ってきたの……」

「北斗くん。形が大切なんですよ」

「そうだぞ」

「何でお前もしてんだよ」

桜ちゃんと優馬は伊達メガネをして探偵ごっこをしているようだった。


「桜がそう言うなら」

そう言って冬華ちゃんもメガネをかける。


「何で持ってんの……?」

「何があるか分からないので」

「何それ……」

こうして俺以外が伊達メガネをかけている状況が生まれてしまった。なんか俺だけノリ悪いみたいになってるけどまあいい。目的は柴田の尾行だ。松葉杖でもついてけるし、思ったより隠れる場所が多い。るこのままいけば待ち合わせ場所まで行けるはず。


「曲がったぞ……!」

「行きましょう!」

俺たちは再び柴田を追いかけた。


ありがとうございました!

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