水族館で海鮮丼
続きです!読んでください!
ペンギンを見終わり、柴田が見たいと言った深海魚をみんなで見た。
深海魚を見終わった時に時計を見ると、時刻は十二時を過ぎていた。
「お腹すいたね〜。ご飯食べます?」
木南が振り返って提案する。
「さんせ〜」
「私もお腹空いたなぁ……二人はどう?」
適当に答える水瀬と俺と柴田を気にしてくれる莉子ちゃん。
「俺もお腹空いたかな。浅倉もさっきお腹鳴ってたから空いてたと思う」
「言うなよ……!」
柴田、莉子ちゃんが引いたら許さないぞ……
「ふふっ、そうなんだ」
莉子ちゃんの笑みで全てが許された。柴田超ナイス!
「じゃあ行こっか!」
木南が弾んだ声で言って、四人の先頭に立つ。
「このフロアの奥にフードコートみたいなのあったよね?」
「うん。あったあった。なんか海鮮丼とかいろいろあった気がする」
「海鮮丼!?絶対それがいい!」
木南のテンションが爆上がりする横で水瀬が小さくため息をついた。
「水族館で海鮮食べるの……?思いやりとかある?」
「あるよ……!やめてよ鈴香!」
そんな言い合いを聞きながら俺は自然と莉子ちゃんの横に並んで歩いていた。
少し前を歩く木南と水瀬、後ろで必死にスマホをいじる柴田は多分、古川に言い訳をしてる。
「……なんか賑やかだね」
莉子ちゃんが笑いながら言う。
「そうだね……なんか学校と変わらない」
「ふふっ、確かに」
莉子ちゃんは両手を後ろに組んで少し上を見上げながら歩いた。
水族館の天井には光が反射して波のような模様がゆらゆら揺れている。
「きれいだね」
「……うん」
言葉が喉でつまった。その光よりも隣にいる君の横顔の方がよっぽど綺麗に見えたから。
⭐︎
俺たちはフードコートに着くと一旦みんなで席に着いた。
やっぱり平日はいいな。人が少なくて席に座れる。
「何食べる?」
木南がメニューの看板を見上げながら言った。
海鮮丼、カレー、ハンバーガー、うどん、パスタ……けっこう種類があるな。
「私はパスタかな〜。なんか急に食べたくなった」
莉子ちゃんが少し考えてから言う。
「私は海鮮丼!」
木南は迷いゼロ。
「俺はカレー」
柴田が即答する。
「じゃあ俺もカレーで」
「男子ってカレー好きだよね〜」
水瀬が呆れたように言う。
「カレーが好きじゃダメかよ?」
「子供っぽい」
「そんなことないでしょ!カレーは正義!」
柴田の抗議に笑いながら、みんなで立ち上がる。
「水瀬はなに食べるつもりなの?」
「んー……?莉子、パスタじゃなかったらなに食べたい?」
水瀬に聞いたはずなのに水瀬はなぜか莉子ちゃんに聞く。
「えっ?私?」
「うん。二番目はなに?」
「えー……何かな。オムライスとか?」
「じゃあオムライス食べる〜。一口あげるね」
「そういうこと……?」
莉子ちゃんのこと好き過ぎないか……?俺に見せつけてるまであるぞ。お前もやってみろよ的なこと?
「私もオムライス欲しい!」
「……まぁいいよ」
「何で渋々!?莉子には自分からあげるって言ったのに……!」
毎回してんなこの小競り合い。間で止める莉子ちゃんがかわいいから許してるだけだぞ。
「はいはい。早く行こ」
柴田が切り上げる。配置的にカレーはここから東へ、三人はここから西に売り場があった。
俺たちは男二人でカレーを注文しにいく。
「古川たちも楽しそうだったな」
あの後、藤本があっち側の動画を送ってきてくれた。古川たちのグループは遊園地に行ってるみたいで、ジェットコースターに乗って叫んでいる古川が下から撮影されている動画が送られてきた。
「よかったよ。咲斗がブチギレだとまんまだとやばいからな……」
「藤本のおかげだな」
「あいつは包容力あるからな。いいパパになるぞ」
「なんか分かるかも」
俺たちは何気ない会話を繰り広げながら歩く。
「浅倉も午後は頑張らないとなぁ」
柴田が頭の後ろで腕を組みながら呟いた。
「え?
「午後は一時からのイルカショー見たら四時まで自由時間にするって鈴香ちゃんが言ってたよ」
「え、まじ?」
「まじまじ。有栖ちゃんは鈴香ちゃんと俺が面倒見るから浅倉は莉子ちゃんと回れよ」
「簡単にいうけどなぁ……」
自由行動か……莉子ちゃんが俺と行ってくれる保証なんてないし、そもそも誘えるかすら怪しい。
「莉子ちゃんは木南と水瀬と行きたがるんじゃないの?」
「それは大丈夫だって。鈴香ちゃんになんか作戦があるみたい」
「え。何だろ……」
「俺は知らないけどまあいけんだろ」
そう言って柴田は笑った。二人にしようとしてくれるのはありがたいけど二人になったら多分俺終わるんだなぁ。
十分後。フードコート特有の提供スピードで俺たちの机にはすでに全員分の料理が並べられていた。
「いっただきまーす!」
木南の元気な声が響く。それを合図にみんなも続いて手を合わせた。
「いただきます」
海の見える窓際の席。トレーの上にはそれぞれのメニューが並んでいて、なんだか遊びに来ましたって感じがする。
「ん〜っ!うまっ!」
一口食べた木南のテンションが上がる。
「海鮮丼最高!めっちゃ新鮮!」
「……さっき見てた子かもね?」
「怖いこと言わないで……!」
昼食中でもこの二人の絡みは変わらない。
「カレーも結構うまいな」
柴田がスプーンを動かしながら言う。
「うん。うまいうまい」
俺も一口食べて同意する。水族館の飯って正直もっと適当かと思ってたけど普通に街中のレストランとかと変わらないレベルだ。
ふと前を見ると莉子ちゃんがフォークを手にパスタを巻いていた。
口に運ぶ動作がゆっくりで、めちゃくちゃ微笑ましい。
一瞬、フォークが口元で止まって俺と目が合う。
「……どうしたの?」
「えっ、いや……なんでも」
やばい。見すぎてた。
「そっか」
莉子ちゃんは小さく笑ってまたフォークをくるくると回す。
他の人がやってもかわいげのない動作がめちゃくちゃかわいいの、ほんとどうにかしてほしい。持たないから。
「午後はまずイルカショーから?」
柴田が食べながら尋ねる。
「そうそう!外のステージのとこ!」
木南が元気よく返す。楽しみなのがすでに伝わってくる。
「前の方はめっちゃ水かかるんだって!」
「えー。それはやだな」
「着替え持ってないもんね〜」
「私は近くで見たい!」
女子で会話が盛り上がる。やっぱり三人いると会話が途切れなくて付け入る隙がない。
「とにかく私は早く食べて早くイルカショーを見る!」
そう言うと木南は食べるペースを早めた。
「いや有栖が早く食べようが、食べまいが開始は一時だけどね」
冷静なツッコミに木南以外の全員が頷くが、木南はそんなの気にしていない。
「いいの!気持ちの問題だから!」
木南は頬をぷくっと膨らませながらスプーンを勢いよく動かした。
「はいはい。気持ちね」
水瀬が笑いながら返す。
そんなやり取りを眺めながら俺もカレーを一口、口に運んだ。
外は相変わらず晴れていて窓の向こうでは小さな波がきらきら光っている。
二十分後。
「……ごちそうさま。ごめんね遅くて」
最後に食べ終わった莉子ちゃんが小さく手を合わせる。
「女の子は遅いくらいがかわいいんだよ。ねぇ?」
水瀬がこちらを見てくる。
「え……ま、まぁまぁ……そうなのかな……?」
曖昧な返ししかできない。かわいいとか聞くなよ……!
「よし!じゃあ食べ終わったしイルカショー行こっか!」
木南が勢いよく立ち上がる。
「行こ行こ〜」
莉子ちゃんが立ち上がる。その笑顔につられて俺も自然と腰を上げた。
空になったトレーを片付けながら心の中で小さく息を整える。
イルカショーの次は自由行動。午後が今までで一番の勝負になりそうな予感がした。
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