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莉子ちゃんが大好き

続きです!読んでください!

「ここでかいな。まじで」

水族館に入って約一時間経った。水族館の攻略度で行ったらまだ10%くらいだ。


「まぁ……あの人のせいでもあるけどね」

柴田が横目で見るその先には木南がいた。


「ねぇあの魚すごい!やばい!写真撮ってー!」

「はいはい……」

木南に振り回される莉子ちゃんと水瀬。


「水族館入ってから中々話せないな」

「別にいいよ……まだまだ時間あるし」

時計を見ると時刻はちょうど十一時になった頃だった。帰りの時間を含めても集合まではまだまだある。焦る必要はない。


ピコン。俺のスマホに通知が一つ来た。

"浅倉改造計画"からのLINEだ。


「やば……」

絶対古川じゃん……。ブチギレてる図が頭に浮かぶ。


「なぁ柴田……これ」

俺は柴田に通知を見せた。


「古川だな。キレてんじゃね?」

思うことは同じのようだ。俺は通知をタップして開く。


"浅倉と柴田は覚悟しとけ"


「なんで!?」

「あー……それ多分、インスタ見たらわかるよ」

柴田が頭をかきながらそう言った。俺は慌ててインスタを開く。


「あっ……木南がストーリー上げてる」

「多分それが原因。見てみ?」

俺はタップしてストーリーを開いた。


「……っ」

そこには木南、水瀬、莉子ちゃんのスリーショットが載せられていた。私服+メイクの破壊力。この三人には加工なんてものは必要なかった。


「こればかりはキレる理由も分かるわ」

柴田が軽く笑いながら呟く。


「確かに……」

「そう考えると俺ら結構やばいよな。なんであの三人と回れてんだろ」

「……あっ」

柴田にそう言われて、俺の頭の中で点と点が繋がった。


「水瀬だ……」

水瀬はもうあの時には気づいていたんだ。だからそれっぽい理由をつけて俺を誘ったのか……やばい。とんでもない策士じゃないか……


「鈴香ちゃん?」

「あぁ……うん。実はさ――」

俺はこれまでのことを柴田に話した。


「あははっ、まあ確かにバレてもおかしくないわな」

「そんな分かりやすい?」

「分かりやすいな。有栖ちゃんとと鈴香ちゃんに動じなくて莉子ちゃんに動じてたら分かるって」

「ミスったな……」

確かに莉子ちゃんにだけきょどりすぎだよな……


「でもいいじゃん。これ以上ない味方っしょ」

「それはそうなんだけど」

「前向きに行こうぜ。莉子ちゃんも絶対浅倉のことマイナスでは見てないから」

「そうかなぁ……」

いまいち実感が湧かない俺だった。


「ねー。私、あっちみたい。ペンギンとかいるところ」

「えー?次はあっちでしょ?クラゲいるよ?」

「クラゲはさっきもいたし」

「でもさっきとは違うクラゲだもん!」

無言で歩いてると、前方での会話が耳に入ってくる。どうやら木南と水瀬がこの二手に分かれた通路をどっちにいくかでちょっと揉めているようだ。


「莉子はどっち行きたい?」

水瀬が莉子ちゃんに尋ねる。


「うーん……私はどっちでもいいかなぁ」

莉子ちゃんらしい回答だな。でもそれじゃ――


「莉子はこっちだよね!?」

「莉子は私と行くの」

さらに揉めるよなぁ……。


遠足が始まって約二時間。俺は分かったことがある。それは木南と水瀬、どちらも莉子ちゃんがマジで好きだ。

どっちも「莉子〜写真撮って〜」とか「莉子。あれ見て」とか最初に莉子ちゃんの名前を呼ぶ。その度に莉子ちゃんは優しく微笑んで返していた。

木南と水瀬、タイプが違うのに仲良いのはなんでだろと思っていたが、今日それが判明した。莉子ちゃんが二人を繋いでいるんだ。


「じゃあ二手に分かれる?」

水瀬がそう言った瞬間、木南が眉をひそめる。


「えー!?やだよ。分かれたらつまんないじゃん!」

「でもどっちか選ばなきゃ進めないし」

「莉子決めてよ〜!私たちは莉子に従うから!」

「え、私……?」

急に振られて、莉子ちゃんはちょっと困ったように俺の方を見た。


なんで俺を見るんだ……!視線がぶつかった瞬間、心臓がひと跳ねした。


「浅倉くんは……どっち行きたい?」

「えっ……あ、俺?」

「うん」

柔らかい笑顔でそう聞かれたら、まともに言葉なんて出ない。


「俺はその……ペンギンの方……かな」

「じゃあペンギン行こう!」

莉子ちゃんはふわっと笑って、迷いなくクラゲの通路へ進んだ。


「決めたの莉子ちゃんじゃなくて浅倉くんじゃん!」

木南が頬をふくらませて抗議する。


「浅倉くんと柴田くんはここまで二人についてきてくれたんだから。こっからは浅倉くんと柴田くんの番だよ」

莉子ちゃんの優しい言葉に心がふわふわする。顔だけじゃなくてこういうところも好きだな。莉子ちゃんはすごく気が使える人なんだ。


「分かったよ……でもペンギンの次は――」

「ペンギンの次は柴田くんが選びます」

莉子ちゃんが軽く笑いながらそう言った。


「……はーい」

木南は俯いてはいるが、小さく返事をする。莉子ちゃんには逆らわないらしい。


「私には逆らったのに莉子には何も言わないの?」

「莉子に言うわけないじゃん。嫌われたくないもん」

「はぁ〜?私には嫌われてもいいってことですか?」

「そ、そうは言ってないけど!」

木南が慌てて手を振る。


「……まぁまぁ。ケンカしないで?」

莉子ちゃんが笑いながら間に入る。その声が優しくて二人はすぐに黙った。


やっぱりこのグループの中心は莉子ちゃんだ。

莉子ちゃんがいるだけで空気が丸くなる。優しくて温かい不思議な雰囲気を纏ってる。


「じゃ。ペンギン行こっか!」

莉子ちゃんがそう言って歩き出す。


「……まじで好きだわ」

その思いを心の中で抑えるなんて不可能だった。


ペンギンゾーンに入った瞬間、空気がひんやりと変わった。

さっきまでとはどこか別の世界に迷い込んだような気分になる。


「わぁ……!」

莉子ちゃんの声が澄んだ空気に溶けた。

目の前の大きな水槽では、ペンギンたちが水の中を滑るように泳いだり、たまに氷の上をヨチヨチと歩いてつまずきそうになったりしていた。


「かわいっ!やばい!見て浅倉くん!」

木南がガラスに顔を近づけながら叫ぶ。


「クラゲ行きたいって言ってたよね?」

「来てみたらとんでもなくかわいかったの!やばい!」

「ペンギンより木南のテンションがやばいよ……」


賑やかな声の中、莉子ちゃんは静かにガラスに手を当てていた。


「……ずっと見てられるね。これ」

その横顔は穏やかでまるで我が子を見ているかのようだった。


「天城さん動物好きなの?」

俺が思わず聞くと彼女は少しだけ笑ってこっちを見た。


「うんっ。動物園とかも好き。癒されるんだよね〜」

「あははっ……分かる分かる」

一番の癒しがそう言ってるならそうなんだろうな。


「でしょ?」

そう言って目を細めた瞬間、ペンギンが勢いよく水面にジャンプした。


「わっ!」

莉子ちゃんが少し驚いて、反射的に俺の袖を掴む。


「……え?」

「ご、ごめん!びっくりして!」

莉子ちゃんは珍しく焦って手を離した。少し顔が赤らんでいるように見えるのは気のせいだろうか。


「全然……大丈夫……!」

息をするたびに胸の奥がざわざわしてまともに声が出せなかった。


「浅倉。莉子に触るな」

水瀬が俺たちの間に割り込んでくる。


「俺!?」

「鈴香違うよ〜。私から掴んじゃったの」

「でも触るな」

「えぇ……?」

もう敵か味方が分かんないじゃん……


俺をじっと睨んだ後、水瀬は満面の笑みで莉子ちゃんに問いかけた。


「莉子〜。ペンギンと私どっちがかわいい?」

「え〜?」

「何その質問……」

水瀬って莉子ちゃんの前だとめんどくさい彼女みたいなムーブするんだな……


「それはもちろん……鈴香でしょ?」

「そんなことないよぉ〜……」

水瀬が照れ隠しみたいに笑って、ペンギンの群れを見つめた。


「……なにこれ?」

クールな水瀬の意外な一面に俺は少し引いていた。


ありがとうございました!

水族館の知識が足りないので、ん?って思うところがあるかもしれませんが大目に見てください!

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