これは禁忌?
「いや~お疲れ様!細かいことはいいから今日は飲め!乾杯!」
「いや、どこの社長だよ」
「怜は本当にツッコミの適正高いよね」
ということで、ついに、待ちに待った(?)体育祭関係で最も地獄の濃度が薄いと言われる競技。
陽キャのいない打ち上げ。兼反省会(名目上)が始まりました。
まあ、打ち上げに行く友達がいる私はいわゆる「勝ち組」なんですけどね。
え?義務感、同情、その他諸々?いいえ、友情です。です…
「あの…すみません。飲みません?皆さん」
涼は、自分の言ったことを見事にスルーされ、ちょっと下から訴えている。
皆さんっていう程に人はいないけど。
「あと、ここ喫茶店だからあんまり煩くしないでね」
「あ、はい。すみません」
(喫茶店で良くそのテンションを作れたな、涼)
煌夜が以外にきつめなことを言ったのは置いといて、まあ何か頼もうと思う。
そう、まだ何も頼んでなかった。
「すみません。えっと…じゃあ俺はベーコンのホットサンドで」
「僕はパンケーキで」
「いや、飲み物は頼まないのかよ!」とツッコミそうになったが、直前で止めた。本当にさっきの茶番はなんだったのか。いや、ここまでが茶番なのか?なんて奴等だ!
と思ったが、もう忘れてそうだ。
「ブラックで」
「…じゃあ以上でいいかな?お願いします」
「いや、二人ともなんでそんな重いんだ?」
「怜こそお腹空いてないの?」
「まあ」
涼がコホン、とわざとらしく咳を切った。
「…blackで」
「死ね」
いや、実際それは自分でも思った。ちょっとかっこつけ過ぎてないかって。でも、まあ普通に選んだし。
どうやら、注文したものが出来たらしい。
「お待たせしました。ベーコンのホットサンドとパンケーキとblackコーヒーです」
(え?マジで?殺していい?)
「ありがとうございます」
「はい、怜くん。blackコーヒー」
「うん、ありがとう」
俺は、一生に何回か数えられる程しか使わない、微笑みを煌夜に向けてあげた。
「いやー、それにしても二人とも速かったね。短距離」
ああ、そっか。これ一応体育祭の打ち上げ。兼反省会(名目上)なのか。
「いや、あれは煌夜が異常だった」
「そ、そうだった?」
実際、あれは異常な速さだった。それに、まだ本気じゃなさそうだったし。
「煌夜のことばっか言ってるけど、怜もまあまあ速かったよね。ていうかめっちゃ速かった」
「意外だよねー」
「煌夜に言われると皮肉にしか聞こえない」
なんてことを言いながら笑っていたら、突然煌夜が言った。
「何だろ、これ?」
そこには禁忌ノ鎖凍 (きんきのさとう)と書かれた紙が置いてあった。
メニュー表(?)を開いてみる。
「なになに?なるほど。えっとね」
煌夜がメニュー表を読み上げる。
終焉ノ甘罪 (しゅうえんのかんざい)
説明 ホワイトチョコレートとキャラメルをベースにプラリネナッツを添えた、贅沢な味わい
氷華ノ雫 (ひょうかのしずく)
説明 結晶糖をベースにした透明感のあるスイーツ
月下ノ果実…
「普通にうまそうだな」
「いや、甘味致死量な説明だな」
「なにこれ…禁忌ノ蜜?」
明らかにやばそうだが…煌夜はもう終わったと見た方がいいか?
「いや、それはやめとけ」
「え?」
声のする方向を見ると、隣の席に漆原朱華が座っていた。
なんで、今まで気づかなかったんだろうか。
「それは、本当に止めた方がいい。まあ、どうしてもっていうなら止めないが」
「それより、先生は暇なんですか?」
(涼…さん?嘘だろ?)
「…殺すぞ」
(ガチじゃないですか)
「あ、すみません」
「まあそれはいい。それと、そこのお前。見てたぞ、凄かったな。短距離」
「ありがとうございます」
え?何この会話。めっちゃ気まずいんだけど
「じゃあ、店員さん。この禁忌の蜜?ください」
「かしこまりました。煌夜様」
あーあ終わった
届いたときも同じことを思っちゃったよね、もう。
「では、至高の甘美を」
(この人さっきの人だよな?ホントに同じ人か?)
「じゃあ、いただきます」
もう、なんかすごいことになっている。見ただけで胃もたれするようなモノを食べている。
説明はもう面倒くさくなってきたので止めます。
「…」
「…」
「…」
先生も…ですよね。ちょっとこれは引きますよね。
あと、楽しそうに食べている煌夜がとにかく可愛い。
スイーツ男子もありだな。というか甘いものが好きな男子は可愛いかもしれない。
でも、これはちょっと趣旨が違うかな?煌夜くん
結局、店員が煌夜の名前を知っていたことには誰も気づかなかった。
一人を除いて




