収まるか、収まらないのか。
秋の夜長を鳴き通した空士は早朝にワンちゃんロードでジョギングをする。
知らないオバサンからキノコをもらい、三文の徳を知る。
そうして一睡もしないまま補習を受けに行くが、翻訳機が暴走してしまうのだった。
= レベル5 収まるか、収まらないのか。=
みなさんは、不思議に思った事はありませんか?
そうです、そうなんです。
女子のパンツってちっさい問題です。
雑誌のグラビア表紙のデカ乳に心奪われる男性諸君、次に気になるのは顔かい?いいや違う!
あの信じられないほど小さな面積に収められた陰部である!男の俺からしたら一体あれはどうなっているのだ!という秘密の花園の甘い蜜!問題なのである。
俺は残念な事に女兄弟がいないばかりか、ゴジラみたいな母のパンツは非常にデカい。
ヒミコ(ひぃ婆ちゃん)のパンツに至っては無常にもベージュ統一だ。
死ぬほど興味が無い。
こんな時、女の兄弟がいる奴を心から羨ましく思う。
俺は女の子の下着を一度は身に着けたいと願っていた。
そんな事を考えながら今日も元気にシコっている。
こんにちわ、真ん中っ子 空士です。
「たのもぉ!たのもぉ!」
外から聞こえる声に、いつの時代の小学生もアホみたな誘い方で友達を誘いにくる。普通に家のチャイムを鳴らせば良いのに、少し緊張するからと言う理由一つで、大声で誘い出す。
この方が確実に遊びたい相手本人が出てくる可能性が高いからであろう。
「たのもぉ!たのもぉ!」
しつこいな!俺はシコシコしながら苛立ちを抑えきれず手を止めて窓を覗いた。
外で叫んでいたのは、同じクラスのレッド石川くんだった。
窓から顔を出した俺に気がつくと両手いっぱいに手を振るレッド石川くん。
即座に顔を引っ込めチンポも引っ込めた。と当時に外では止めどなく「たのもぉ!」を連発するレッド石川くん。恥ずかしさと同時に早く外に行かなくてはと、居留守を決め込みたい気持ちを抑えて玄関へ向かう。
「外でアホみたいに叫んでるの、まさか空士の友達かい?」
ゴジラな母はキレているのか笑っているのか、どちらとも言えない微妙な顔をしている。
俺だってそんな顔になる。
「石川くん、どうしたの?」
「いやぁ、空士くん!この間お借りした翻訳機を返しに寄ったまでだよ、ハハハハッ!」
「明日、学校で渡してくれてよかったのに」
「グットモーニング、まっ、家に上がって茶でも頂こうか!」
「えぇっ…良いけど…」
日曜日の午前中にこいつは何しに来たんだよ。
前回も紹介したがレッド石川くんはオール赤点で見事にダブられもう一年、一年生をしている強メンタルの持ち主である。
「お邪魔しやす。」
クセの強い挨拶をかまし俺の部屋へ
「突然ですまない。」
「いや、良いんだけど…どうしたの?」
「空士くんは柔道着をどうしているかね?」
「どうもこうも…特には…」
「あれって洗濯した後、なかなか乾かないんだ、この時期…」
「あぁ、確かに…」
「それでだ、私はコインランドリーへ行き、吾輩の柔道着を乾燥機にぶち込み100円を数枚ほど投入し、読書をしていたのだ。」
「…本とか読むんだ?」
「なめて貰っちゃ困るよ、〝 熟れた果実 〟というエロ本を読んでいた」
「…お、おう…」
「今度、空士くんにも貸すよ」
「タイトルからして熟女…だよね…」
「いいや!違う!!君は何歳から熟女だとお考えか?」
何の話?と思いつつ自分の部屋に何でレッド石川くんが居るのかが一番の謎だった。
「熟女か…四十代後半とか…かな?」
「なめるな!!熟女とは六十代からだ!と私は考えている!」
「うん……今日は…それでどうしたの?」
「失礼した、取り乱してしまったね」
早く帰ってくれないかな…俺の本音が胸元から喉元もで押し寄せてくる
「これを見たまえ。」
そう言いレッド石川くんはポケットから薄紅色のツルツルしたパンツを出したのだ。
「え、パンツじゃん!」
「シーッ、声が大きいぞ、空士くん! それにパンツではない!パンティだ!」
ファ〜オ! 俺は生パンツ。いや、生パンティとご対面した。
「パンティ…」
「空士くん、現物を見るは初めてかい?」
「うん…」
俺は気が付くと体を前のめりにし、まじまじとパンティを見た。
「小さい…」
「うむ。空士くん、匂いを嗅ぎたたえ!」
「え、いいよ。」
「大丈夫だ!私の柔道着と同じ香りだ。」
「えっ…」
「しっかりと柔軟剤を入れてから乾燥機にぶち込んだ、つまりこのパンティは南国のアロマな香りに仕上がっている」
俺の股間が反応し始めていたが、理性がまだ勝っていた。
「石川くん、このパンティは前の人が取り忘れた物って事だよね?」
「うむ。」
「石川くんの家族のって事はないの?」
「それは無い、母のパンツはもっと大きなサイズである、妹はまだ保育園児だ。うさぎのパンツを履いている。」
頷きながら、俺とレッド石川くんは目を合わせた。
そうである、とんでもない罪をこれから犯そうとしている事に。
生唾を飲み、レッド石川くんが薄紅色のパンティを優しく持ち、そっと鼻に近づけた。
「クンカ、クンカ、スースー」
嗅ぎ方のクセが気に触るが俺は早く薄紅色のパンティの香りを嗅ぎたくて堪らなかった。
嗅ぎ終えたレッド石川くんは強く息を吐くと、静かに俺の前にパンティを差し出してきた。
平然を装うのが得意な真ん中っ子な俺も流石に息が荒くなる。
そして俺は静かにパンティを受け取った。
何なんだ!このツルツルした素材は! 俺は初めてパンティを触り興奮のバロメーターが沸々と上がっていく。
俺は草原に咲く一輪の花の香りを嗅ぐように、静かにそっと薄紅色のパンティを鼻に持って行き
息を吸い込んだ。
「!! 良い匂い…」
俺は完全に勃起してしまった。
そうしてしばらく、パンティの香りを俺とレッド石川くんで交互に嗅ぎ合う日曜日の午前は見事なまでに優雅な気持ちにさせてくれた。
やっている事は実に下品である。
ふと我に返り俺は罪の意識に襲われる。
「石川くん、これ返しに行かないと…だよね?」
「うむ。私はそれを相談しに来たのだ。」
「でもさ、持ち主さんも少し気まずいだろうし、元あった乾燥機の中に戻すのも…どうしたら良いのかな?」
「コインランドリーには落とし物、取り忘れボックスが設置されているのだ」
「そうなんだ。そしたらそこに入れて置いておこうよ。」
「やはり、それが人として一番正しい行為だ」
人として正しくない行為をした後に言う台詞では無いが、このままではパンティ泥棒になってしまう。
「空士くん、一度装着してみないかい?」
夢にまで見たパンティ履きたい願望が今、叶おうとしてる事に俺は最高潮にビンビンになった。
だが、理性が俺に嘘をつかせる。
「…履かないよ…」
俺はこの時ほど、自分の気持ちに嘘を付く事は今後ないであろうと思った。
「うむ。君は私が思っていたよりも、ちゃんとした男だという事がわかった。」
俺は溢れそうになる涙を堪えた。
そんな俺にレッド石川は背中をさすってくれた。
昼になり、俺の部屋でカップラーメンを二人で啜りながら、きっと二人の気持ちはパンティを装着したいと思っていたのだ。
「すまないがトイレを借りてもよろしいか?」
「うん、玄関の横だよ。」
「うむ。ちなみに大きな方だが問題はないかね?」
「…うん。」
そう言うとレッド石川くんは腹を押さえながら俺の部屋を後にした。
この部屋に俺と薄紅色のパンティと二人きりになり、俺は我慢できなかった。
勢いよくパンティを掴むと、クンカ、クンカ、スースー。クンカ、クンカ、スースー。
アルティメット高速シコシコを成し遂げ、気がつくと俺は薄紅色のパンティを頭に被っていた。
俺を牢屋に入れて下さい!
あぁ、あぁああああああ!
豪快にフィニッシュし俺は懲役刑を覚悟した。
素早くパンティを元の戻し、とんでもない速さでチンポコを拭きあげた。
そして何事もなかったように漫画を読み始めた頃、レッド石川くんが俺の部屋に戻ってきたのだ。
「特大のが出たよ、感謝する。」
お礼を言いたいのは俺の方だった。
日曜日に突然現れたレッド石川くんは俺の家に薄紅色のパンティも持ち込み特大のうんこを産み落としていった。
午後になり俺と石川くんはコインランドリーまで行き、完全に人がいない事を確認してから、空の忘れ物ボックスに薄紅色のパンティをそっと入れた。
そして二人は肩を組み、コインランドリーを後にし、しばらく歩いていた。
パンツとパンティの違いって何だろう…二人の話題はまだパンティに支配されていた。別れを告げた後に女々しくも未練がましい会話だ。
「空士くん!」
聞き覚えのある声に俺はビクッとした。
「あ、花音じゃん」
俺はこの時、自分が今日どれだけ下品な事をしたかを思い出し胸が締め付けられた。
「この可愛らしいお嬢さんは?」
「あぁ、小学校の同級生で北原花音さんだよ。」
「こんにちは、私は空士くんと同じクラスの石川蓮二です。」
俺はこの時初めてレッド石川くんの名前が蓮二である事を知った。
「こんにちは!何だか温めたくなる名前ですね!」
「ハハハハハハッ!いつでも温めましょう!」
レッド石川くんが両手を広げ花音を見る
「うわぁ〜遠慮っす!私、食べ物じゃないんで!」
「気が向いたらいつでも私の胸に飛び込みなさい!」
やはりレッド石川くんは強メンタルの持ち主である。
「花音はどこか行くの?」
「コインランドリー。取り忘れた物あるから忘れ物ボックスに無いか見に行くの」
「これは、これは!それは早く行った方がいい!」
レッド石川くんの声が無駄に大きくなる。
「うん、私のじゃないんだけど…」
「早く、行きたまえ!」
「うん、空士くん、蓮二くんまたね!」
花音は足早に走り去っていった。
「これは驚いた!彼女のパンティだったとは!」
「でも、本人のじゃないって言ってたから家族のってことだよね。」
「どちらにせよ、彼女の姉か妹か、母上のかもしれないと思うだけで、一週間はシコれそうだ」
そうしてレッド石川くんは満面の笑みで家路へ向かった。
俺は言えなかった、花音はお爺さんとお爺さんとの三人暮らしだと言う事を。
花音のお爺さんとお爺さんは同性愛者で愛し合っている。
つまりはあの薄紅色のパンティは花音のお爺さんの物だ。
知らなくていい事だってこの世の中にはいくらだってあるのだ。
つまり俺は、花音のお爺さんのパンティで激しくシコったのだ。
俺は色々な罪の罰を受けようと思った。一週間はシコるのを押さえられそうだ。
こんな日曜日は二度とごめんだ。
翌日、うちのトイレが詰まったのは、レッド石川くんのせいだと思った。
教室に入るとレッド石川くんは何とも言えない笑みで俺を見てくる。
俺は頷くことしか出来なかった。
体育の時間になり柔道着に腕を通す。
そもそも柔道着から始まったパンティ物語の結末は、お爺ちゃんの下着で激しくシコったというストーリーに終わったのだ。
そして今からエピローグが始まる。
俺はレッド石川くんと向かい合い、一例をする。
互いの柔道着を掴み足に力を入れる。レッド石川くんは目を瞑っている。
そして、近づけば近づくほど、絡みつけば絡みつくほど、あの思い出の香りが蘇る。
南国アロマの香りだ。やめてくれ俺はこの香りがトラウマだ。
そして俺は気がついてしまった。
レッド石川くんは激しい興奮状態であるということに。目を瞑りパンティを思い出しているに違いない、そしてこの香りに包まれながら人肌を感じながら取っ組み合いをしている。
これはもう、擬似セックスなのである。同じ男である俺は察した。
こいつ、(レッド石川くん)は今ここでヌク気でいると。
あぁ、いいだろう、この罪を一緒に背負ってやるよ!!あぁ、そうさ背負い投げでもして
一本スカっとしようじゃないか!
そうして息遣いが荒くなるレッド石川くん
〝 プレイはもう、はじまっている 〟
レッド石川くんは俺の柔道着を強く掴むと巴投げ体制を決め込む。そして彼の怒号とも思える雄叫びと共に俺は宙を舞い投げ出された。
昨日からの出来事が走馬灯のように巡っていく。
俺は床に叩きつけられレッド石川くんをみた。彼は正座をし土下座をしていた。
「ありがとうございました。」
彼は見事におイキになられたのであろう。
例え、パンティの持ち主がお爺ちゃんだとしても、例え、それが真実だとしても。
俺らはどうしようもない罪に囚われてしまった、お年頃ボーイなのだ。
「ありがとうございました。」
俺はその場で土下座した。
顧問の先生は感動している様子だった。
知らないって時に無敵だ。
帰り道俺は、花音のお爺ちゃんのパンティについて真剣に考えていた。
あの薄紅色のパンティは確かにツルツルで小さかった。はたして全てのモノが収まっているのだろうか。
収まっていない場合はモゾモゾしないだろうか。そもそも、はみ出しまくりな毎日なのでは無いか。はたまた、手術をしているのだろうか。
俺は収まるか収まらないか問題に直面し想像ではあるが収まらないという結論を出した。
人はどんな下着をつようが自由である、着けないタイプ人もいるだろう。
言いたい事も言えない、こんな世の中じゃポイズン。なのである。
ポイズンを翻訳してみた。
〝 毒 〟だった。
薄紅色の空に、あの日のパンティを重ね、俺は…今日も生きてゆく。
次回 野蛮な太陽