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秘密は決して甘くない

童貞の空士そらしは、腹を決め桃香の家へ行き初めてキスをしたが、別れてしまう。

別れてから自分は桃香が大好きだったと気がつき、毎晩泣く日々が続いていた。

そんな時に単身赴任をしている父親から連絡が入り...

= レベル 2 =  秘密は決して甘くない



みなさんは一日に何回、ご自分の性をご自分で癒した事がありますか?

俺は5回です。

だって、健康な男子なんだもの。


桃香と別れてからの俺は落ち込んでいるのを悟られないように普通を意識しすぎて異常になっていた。

例えば、泣き腫らした瞳をカバーするために前髪の量を増やし片目を隠して制服のズボンを膝まで折り曲げて登校する事で視線を下半身に向くようにした。


朝食に母が〝さけるチーズ〟を出してくれるのは、元気のない俺に好物を出してくれる、母の愛なのであろう。

弟が生まれる前は兄と半分ずつに分けて食べてたけど、三兄弟になってからは特別な日にしか食べれない物になった。


「ウヒョーさけるチーズだ!」

朝からアホ丸出しの声で喜ぶ弟。俺はこいつのさけるチーズの食べ方が嫌いだ。


ここでさけるチーズ問題をあげていこう。


1、食べ方問題


俺の食べ方を紹介する。まず、さけるチーズを片手に持ち、適量をさいていくお手本の食べ方だ。


兄の食べ方は、クソほどチビチビ、チビチビとさいて時間をかけて食う イライラ食べだ。


弟の食べ方は、丸かじりだ、下品にも程がある、商品名まで否定した食べ方だ。


ヒミコ(ひぃ婆ちゃん)の食べ方は、そこらへんにある文房具用のハサミなどで、さけるチーズをコロコロに切り、ティッシュの上に置き気が向いたら食べるといった具合だ。 時間が経つにつれ表面は固くなり、それを口の中で転がしている。

戦争体験者の食べ方に胸が熱くなるが、ヒミコにもちゃんとした食べ方で召し上がって欲しいのだ!


母にいたっては時々〝チン〟して食べているではないか!!!

俺は思う、チンして食うなら他のチーズでいいじゃないかと。


こんな家族に少し嫌気もするが、俺はさけるチーズを愛している。


2、パッケージ問題


さけるチーズ最大の特徴は、2個売りだ。三兄弟になってから、おやつの時間に出なくなったのは、二つ買わないとならない、コストがかかるからだ。おやつに三連プリンが増えた理由は明白である。


3、色問題


これは先ほどと同様にパッケージ問題と被るが、さけるチーズには大きく分けて、青いパッケージと黄色いパッケージがある。

最近では赤色のパッケージや緑色なんかも登場している。

えっ?どの味が好きですか?だって?

クソみてぇな質問してんじゃねぇよ!!

青色に決まってんだろ!結局普通が一番、うめぇんだよ!!


俺はさけるチーズをご機嫌に食べ終わると、鏡の前に立ち腫れた目を何度も開き、玄関へ向かう。

周囲の視線をより下半身に向けさるために、俺は下駄箱の奥に眠っていた、親父の下駄を出し足に装着させた。

完璧すぎて、自然と笑みが溢れた。

バス停で、幼馴染の金持ちんこのけいと会う

「上手に目を隠せてるよ。」と励ましてくれた。

桃香と別れて、京の前で俺は子供みたく泣いたのだ、親友っていいよな。

少し遅れてやってきたバスに乗り込むと、人々は俺の下半身にひどく注目している。

作戦成功だ!圧倒的勝利感に俺は小さくガッツポーズした。


「今日のシーちゃんさ、鬼太郎みたいだね!可愛いっ。じゃ先に降りるね!」

京の言葉に俺は震えた。

前髪で片目を隠し、制服を膝まで折り下駄を履いている、確かに俺は、ゲゲゲじゃねぇかよ!

ドMな俺は猫娘に興奮するし、引っ掻かれたい!そう思った瞬間、勃起しそうになり俺はパニックになった。

今だけは、俺の上半身を見てくれ!!みんな!!

俺の心の葛藤をよそに、金持ちんこ京が先にバスを降りていく。偏差値の高い学校に通うアイツに今日の課題を出された気分だ!


俺は学校前のバス停より二つ前で降りた、この格好をクラスメイトに見られない為だ。


バスを降りた俺は、静かにズボンの裾を下ろした、コンビニの鏡で髪をセットし直す、少しダサいが真ん中に軽く分けるようにして目を隠す配慮は欠かさず完璧にした。

「ゲゲっ遅刻しそうだ!」

俺は思わず、ゲゲっと口走った自分に鬼太郎からの脱却に失敗している気がした。

〝走ろう!〟俺は遅刻する事でみんなに注目され目が腫れてる事がバレてしまう事を恐れた。


俺は走った。

カランコロン、カランコロン、カランコロン!

は、走りずれぇ!!鬼太郎をナメてたぜ!

下駄で走る姿に通行人は、みんな俺の下半身に注目している、圧倒的勝利感だ!

あ、足痛ぇ!!鬼太郎の身体能力の高さを思い知らされた俺は、鬼太郎がピンチの時は必ず来るあの白い布の名前を思い出せずにモヤモヤしながら走った。

カランコロン、カランコロン、

何だっけアイツ…。心のBGMは〝君の名は〟の挿入歌が流れていた。

俺は足の痛みが酷くなり少し涙が出かかった時、ふと白い布の名前を思い出した。

「いったんもめーん!!」

気がつくと俺は大声で奴の名前を口にしていた。

学校の門の前で、下駄で走りながら〝いったんもめん〟と叫ぶ俺は下半身だけではなく全体的に注目されてた。


俺の名は…近藤空士こんどうそらし。普通と、さけるチーズをこよなく愛す真ん中っ子で、ドMな男子高校生だ!!!


その日から俺は一部の生徒からゲゲゲと呼ばれるようになった。


散々な一日を終え帰宅する。

足の皮が剥けてジンジンする、俺は江戸時代の全ての人を尊敬した瞬間だった。

ゲゲゲな日々は俺を更に追い込む。

それは単身赴任の親父からの呼び出しである。

アレを持ってこい、特産品を食わせてやる。などと理由をつけるが、ただ子供に会いたいのだ。

チャーミングで可愛いが凄く禿げている。

俺が小3の頃に親父は昇進し単身赴任になった。9歳の俺は単身赴任先まで兄と電車に乗り、知らない街並みを電車の窓越しに眺めるのが好きで、お金を持って子供だけで遠い街に行く事にワクワクしたものだ。

今はそのワクワクは消えつつある、親父に会ったところで感動もなく酒を一緒に飲める歳でもない。何となく釣りをしたり、会話の少ない晩飯を一緒に食う時間だ。

思春期の弟は部活の合宿もあり呼び出しには応じれず、家庭を持った兄は呼び出されてもいないであろう。

こんな時の真ん中っ子である。「あぁ、わかった。いいよ。」とボソッと言えるのが真ん中っ子なのだ。

どこの家族も子供で夫婦仲の調和とやらをとっているのかもしれない。

親父に会うことが決まってから、桃香と別れて毎晩泣いていたのが嘘かのように涙が流れなくなった。

俺はきっと親父が好きなのかもしれない。


田舎の無人駅には人などおらず、無人の駅から電車を乗り継いで数時間電車に揺られる時間がたまらなく良かった。

電車から見る景色は変わらず、少しだけワクワクしている自分がいた。

通路を挟んだ横の席には9歳くらいの少年が鬼太郎を読んでいた。俺はこの少年に最近まで俺は鬼太郎だった事を伝えようか迷ったが辞める事にした。

親父の単身赴任先の駅に着くとホームに見覚えのある禿げた頭がトレードマークの親父が手を振ってこっちを見ている。

何歳まで、駆け寄って親父に抱きついていたのかは思い出せないが、この瞬間の気持ちは変わらず嬉しかった。

「空士!!」

おとなしい親父が少し大きな声で俺を呼ぶのは気持ちが高鳴っているのであろう。

「久しぶり… ]

「行こう!」

「あっ…うん。」


予想通り釣り堀に着き、静かに魚を釣る。そしてこの魚を隣の居酒屋で焼いて食べるパターンだ。

「空士…最近はどうだ?」

「別に何もないよ」

「高校生だろ、彼女とかはいないのか?」

「…最近別れたよ」

「そうか…空士は素直だ。話を聞くのも子供の頃から上手だったな」

「そうかな…」

「空士に大事な話があるんだ」

「…うん」


親からの〝大事な話案件〟は突然にやってくる、俺は真ん中っ子で平然を装うのが得意だが内心ドキっとした。


「お母さんにはまだ、言わないでほしい」

「うん…」


母さんには言わないでくれ案件は一番深刻を意味する、どっちみちバレる案件なのだ。

借金か女か…まさか仕事を辞めるとかか…めんどくせぇ…

「お父さん実は素晴らしい出会いをしたんだ」

「うん…」

禿げエロ親父め!!女か!この禿げ上がった頭で老い楽の恋とか勘弁だぜ!

「父さんな、腰を振りすぎて調子が良い!」

不倫の告白とかやめてくれ!!きっしょ!!!


「父さんな、フラダンスに出会ってしまったんだ!今の俺が一番に輝ける場所に!!」

「フラダンス!?」

「そうだ!フラだ!!」

「えっ、あの頭に花輪つけて赤いビニールテープみたいなスカート履いて腰ふるやつ?」

「そうだ!あのフラだ!」


まじアロハな発言に軽く動揺したが、同時に安心もした。

「明日、野外ライブがある。出場するから見にきてくれないか?」

「もちろんだぜ!」

この時の俺の顔は複雑骨折していたと思う。

赴任先のワンルームの小さなアパートに微かに流れるアロハなメロディ。

親父はどハマりしている。

おやすみアロハ!


翌朝、親父のソワソワが止まらない。興奮状態にも見えるが、これは戦闘準備にかかっているのであろうと見守る事にした。

朝から親父は俺に〝ロコモコ〟を作ってくれた。

親父はアロハに染まっていた。

「うまっ」

俺の言葉に真夏の太陽みたいな笑顔をする親父を初めて暑苦しいと思った。

「父さんな、昼から準備があるから、家にいてもいいし会場をブラブラしてもいいぞ!これ!」

「えっ一万も?いいの?」ラッキー。

「良いんだ!受付に名前を言いなさい!家族枠で招待予約しているから!!」

「うん!」

俺が来なかったら親父…

「親父、頑張ってね!!」

「おう!!!」

おう!の声が大きくてアパートが壊れるかと思ったが、こんなワクワクした親父を見るのは初めてだった。


一足先にアパートを出た親父を見送り、ポツンと狭い部屋に一人になった俺は朝食の食器を洗いながら、〝親父…毎日一人で寂しかっただろうな…〟としみじみと感じフラという生きがいに出会えてよかったと安堵した。


観光がてら俺は街並みを散策することにした。途中で〝ヌキヌキパラダイス〟の看板が目に入り一瞬勃起したが、童貞を卒業してから行くべき場所だ!と心に刻み看板にアディオスした。

天気も良くて気持ちが良い。


野外ライブの会場まで四十分ほど歩いたが知らない街を歩くのは苦ではなく楽しかった。

会場に着くと想像よりしっかりしたイベントで出店が多く並び小さな子供は綿飴や

変な剣を持って楽しそうにしている。何やら歌声まで聞こえてくる

「へぇー。」

俺は心の声が思わず漏れた、その時だった。

「ヘェー、ジャナイヨ!チケットアル?ナイノカ?!」

「えっ?」

「エッ、ナイノ?ナイト、トウジツ、ティケット、センエン、アル、ゴヒャクエンネ!」

受付の体格の良い何処かの国の方が高圧的に聞いてくる

「あ、家族枠で…」

「カゾク?ファミリー?」

「イエス…」

「ナマエ、イエ」

「近藤空士です」

「コンドー?テコンドー、コレギャグネ、ワラエヨ!」

何故だろう、ここに来たことを少し後悔したが、俺は真ん中っ子だ、合わせるのは得意だ。

「ナイス、ギャク」

俺は精一杯に歯を見せて笑った

「ソラシ!コッチコイネ!トクベツセキネ!」

「ありが…サンキュー… 」

この野外ライブの受付を何故コイツにしたのか聞きたいが、さっさと席を覚えて、出店を見て回りたかった。

「オマエ、ココネ!」

「! ……サンキュ …」

用意されていた席は一番前の真ん中で、パイプ椅子に名前が貼り付けてあった。

マジかよ、特等席じゃん俺…後ろで立って見る程度で良いんだが…


「ソラシ、ワタシノムスコ、コレカラオドル!」

そう言い彼は肩を組んできた。

出店見てぇ、と思いつつ椅子に座ると受付の男は俺の席の横に座った、マジかよ!隣かよ、てかコイツ誰だよ!


『次は、月丘小学校ダンス部で〝サマーゴーゴ、ゴーです。』

アナウンスが会場に響き渡る


時は待ってはくれない、軽快なリズムの曲が爆音で流れると高学年くらいの子供たちがワーっと出て来て踊り出す。

俺の隣の男はアゴ出しながら頭を揺らしてノリノリだ、俺は軽くリズムに乗っておく、ダンスの終盤、一人のイケメンな男子がバク転を決めると、隣の男は立ち上がり指笛を吹いて

「フォオオ!!!」と叫んでいる。

いつも思う、その指笛どうやって鳴らしてんだよ


「アレ、ワタシノ、ムスコネ!」

男は拳を何度も胸に叩きつけ興奮している。もう、ドンキーコングじゃねぇかよ

ダンスが終わると隣の男は涙を拭っていた。


よし、出店見て回るぞ!俺が立ち上がると、男は握手を求めてきたので手を出すと俺の手の骨を全て折る勢いのパワーで握ってくる

「ワタシ、ナマエ、ウーゴ。デス!」

「ウーゴ、ナイスネイム!」

発音に気をつけないと、ウンコって言いそうだ。




「ツギ、ワタシノ、オクサン、オドル」

「ナイス、ナイスナイスナイス…」

マジか…

「ソラシ!オマエ、ミルベキ!!」

「イエス!イエス!イエス!」

俺はだんだん親父に腹が立ってきてしまう。このイベント何なんだよ! 


『次は、ママさんサークルで結成された、リオ・サンバ!です』


ホイッスルが鳴り、サンバ、カーニバルの女性たちが独特なリズムで登場し軽快に踊り出す


俺の股間も軽快に高鳴りだす


「ソラシ!ナニ、スワッテル? タテ!」

ウーゴが俺の腕を引く


ウーゴ!俺はもう勃ちまくってる!! 童貞の俺は洋物はまだ見た事もないんだ!


〝プレイはもう、はじまっている〟


あぁあ、あのヒールで踏まれたい!

あの、メロンのようなおっぱいに乳首だけを隠すキラキラしたのが、めくれてしまえば良いのに!

乳首!乳首!見せてくれよ!

ケツも丸出しじゃねぇかよ!

俺は、親父に激しく感謝した。サイコーだぜ!親父!

そしてサンバを踊り狂うママさん達は情熱的に俺をあおってくるではないか!

もう、が、我慢できない!!

サンバの曲のフィニッシュと共に、俺の股間もフィニッシュした。


会場から水しぶきの演出で俺は豪快に濡れたが、俺の今のパンツ事情を考えれば、最高の演出だと感謝した。

気がつくと陽がくれ初めていた

『次は、最終演舞。チーム、アロハゲです』


親父の出番じゃないか!俺はウーゴを抱きしめ

「ネクスト、マイ、ファーザー」と大声で言っていた

「パパサンネ!」


軽快に鳴る太鼓、ぞろぞろ出てくるおっさんたち、禿げた頭に花輪をつけて上半身裸で登場する親父の乳首は全開だった


あれ?男しかいなくね?しかもゆったりとしたフラの曲じゃねぇな…まぁいい、俺はさっきイってしまったのだ、腹を出してゆっくりと腰を振る女性を見たら、俺はまたイってしまうかもしれないからだ。


親父は長い木の棒を持ち、棒の先に火を付けクルクル回し出す、真剣な男の顔だ!

だらしないおじさんたちの上半身がカッコ良く見えてくる、額には汗が流れている

頭の光沢が眩しすぎるぜ!

「親父、カッケェ!」

俺はらしくもなく、立ち上がって声を出した、それに気がついた親父は俺の顔を見て炎よりも熱い顔で微笑む

学芸会の親の気持ちが少しわかった気がした俺は、アゴを出して頭を振っていた、隣のウーゴも同じくアゴを出して頭を振っていた。


「ウーハッ!」

最後の決めポーズを決めた親父の頭の花輪に炎が燃え移り親父は頭に軽い火傷を負ったが清々しい顔をしていた。


「ソラシノ、パパ、サイコウネ!」

「ウーゴ!」

俺らは強く抱き合った。

ウンコ、いやウーゴ、お前と出会った時は正直イライラしたけど、俺はお前が大好きだ!


出番を終えた親父は頭に冷えピタを貼って成し遂げた顔でこっちにやってくる

「親父、最高だったよ!」

「そうか!」

こんな素敵な親父の趣味を母に秘密にしないといけない俺は幸せ者だ。



次回、幼馴染の恋

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