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ドレミファ ソラシ!

空士そらしは何処にでもいるような何の変哲もない普通の真ん中っ子である。

俺は今、両手を縛られ目隠しをされてベッドの上に押し倒され抵抗できないまま、乗っかられて無抵抗な僕は上下に激しく揺れている…


「待ってくれ!も、もうぅ…あぁぁぁ!」


そんな妄想をしながら、あらかじめ用意してあった鼻セレブの上に俺の白い分身を噴射させた。


「朝から空が青いぜ…」


高校生になった俺は一人部屋とスマホを与えられ、男へと扉を開けてしまった。

成長は誰にも止められないのだ。いつも思う、このまとわりつくティッシュのカスカスを指先で摘みながら取る作業が一番虚しい。


「早く、飯くいな!!」

突然ゴジラのような声で俺を呼ぶ母に

「やべっ」っとなる俺はチャーミングすぎだ


空士そらしさっさと食べな!」


テーブルには、ベーコン、ウィンナー、目玉焼き、一昨日のきんぴらごぼう、ヤクルト、切られてないパイナップルと、ずっと置いてあるハガキとチラシが並んでいる


反抗期を終えたばかりの中学生の弟はサッカーをやっているからか、朝から信じられないほど飯を食べる、昨日はパンと一緒に自分の指まで食って痛がっていた。

サッカー選手のような痛がり方アピールで周りの同情を誘うが、母はイラついた顔で

「大丈夫。大丈夫。」と大口を開けて飯を食らっている

同居している、ひぃ婆ちゃんが何を思ったかイソジンを弟の指にかけてた

勉強が破壊的にできない弟はイソジンをかけられた指を見て

「痛みが引いていくよ!ヒミコ!!」と叫んでいた。ちなみにヒミコはひぃ婆ちゃんの名前だ。

二人とも邪馬台国へ行ってきたらいい。



俺は近藤空士こんどうそらし 三人兄弟の真ん中っ子だ。


七つ上の兄は士道しどう三つ下の弟は歩亜ふあ

姉か妹がいたら、きっと名前はレミであったであろう。

こんな名前をつける親は音楽家かバンドでもやっていたのだろうかと思われるかもしれないが、両親は音楽とは無縁の人たちだ。

苗字が近藤だっただけの理由で、こんドウ レミ フア ソラシ シドウにしたかったのだろう、何故長男を士道にしたかは意味が分からんが…

頭が良過ぎた兄とは違い、俺はそこそこ普通の学力、弟は破壊的な学力だ。

邪馬台国とゴジラとの朝食を早々に済ませ、さっさと家を出る俺に

「生きて帰ってこいよ!!」とゴジラな母が叫ぶ。

俺は戦地へ行くわけじゃない。学校へ行くだけなのだが…。


自転車で行くには少し遠い学校へ進学した俺は学割という武器を制服にまといバスを待つ


「シーちゃんおはよう!」

幼馴染のけいが毎朝爽やかな顔で挨拶をしてくる。

イケメンの京は一人っ子のお金持ちの子で塾は勿論の事、ピアノにヴァイオリン、体操教室と親が我が子に課金しまくった結果、クソ頭の良い高校へ進学した。

俺の兄は京の高校の卒業生だ。


「おはよ。」


「シーちゃん朝からスッキリした顔してる」


朝からヌいたからだよ。とは言えない俺は鼻息まじりのため息で


「そお。」と呟く。


真ん中っ子がクールを装うのはきっと賢く振る舞う事もバカみたく元気に振る舞うことも面倒くさいからだ。

クールがモテるとジャンプを読んで学習済みだからだ。

バスを待つ時間、並んでる人たちは、会社の事や天気の事、少しエッチな事など様々な事を考えているであろう、それなのにバスが来る方向を無意識に見てしまうのは、回転寿司を眺めてる光景とかぶる。


桃香ももかちゃんとはどう?どこまで進んだの?」

京は毎朝、同じ質問をする


「別にどうも… 特に普通だけど」

桃香とは俺の彼女である。


一人っ子で大切に育てられてきた京は、恋愛やスケベな事への興味が今湧き出初めているのである。


「そうなんだ…キスしたら教えてね。」


興味津々丸という船の舵をきりたがる幼馴染は五歳児に見える


「うん、キスしたら一番に先に京に言うよ」


この会話で京はおそらく勃起しているに違いないが、エチケットとして奴の股間は見ない事にした。


俺の股間は新たな分身が製造されている最中だ。


バス停にいる人たちが少し前へ出て並びだすとバスが見えた証拠だ。


プーッ

バスの扉が開きゾロゾロと足音がバスに飲み込まれてゆくと、プーッと、さっきと同じ音を立てて扉が閉まると運転手さんはすぐにシューと扉を開けた。

一人の女子高生が息を切らしてバスに乗り込む

「ありがとうございます」

息を切らしながら言う声に俺は勃起してしまった。

自分の体が嫌になるが、もっこりした股間をカバンで隠す俺はチャーミングだ。


「あれ?花音カノンじゃない?」

京の言葉の先に目をやると、息を切らしながらバスに乗り込んだ女子高生がいた。

見覚えがあるが君の声で股間がビックになった俺は彼女を直視できずにいた。


「花音!こっちこっち!」

京は無邪気に女子高生に声をかける


やめてくれ!

女子高生が息を切らしたままこっちへきたら俺の分身が少し出てしまうかもしれないだろ!この一人っ子のボンボンが!

と思いながら窓の外を見て気持ちを落ち着かせる俺はチャーミングだ。


「久しぶりだね、空士くん。」


透明な声とシャンプーみたいないい香りが同時に俺を襲う

お願いだ!ブサイクであってくれ!そう思いながら目線を彼女に向けた俺は股間だけでは飽き足らず目まで大きくなった。


「北原さん?」


「うん、空士くんかっこ良くなったね」


「えっ、北原さんてあの北原花音?」

マジかよ、マジかよ、マジカルバナナかよ、超懐かしいじゃねぇーかと心で叫ぶ俺。


「うん、小学校まで一緒だったけど中学校で離れちゃったもんね」


「京と同じ制服じゃん」マジかよー。頭よし子かよー!。


「そうなの。クラスは隣だけどね」

「今日はバスなの?」

京は自然と花音と会話する


「自転車パンクしちゃって」


「えっ、チャリで通ってたの?」

股間を隠しながら俺も自然と会話する


「バス代の節約にもなるし、いい運動にもなるから…クソ…急いでて弁当忘れたかも!クソかよ!」


「!!!」

突然の彼女の口の悪さに更に股間が熱くなる俺がいた。


「花音、口悪いよー」

京が優しく叱る


こ、これは何だ。俺の中で北原花音という人間データを必死に思い出していた。


小学生の頃一度だけ遊んだ記憶が薄らハゲ程度にはあるが、会話もさほどした記憶も残っていない。


プーッ


バスは音を立てて扉を開けた


「じゃ、先に降りるね!またぁ」

京と花音が先にバスを降りた。

ふと我に返った俺はバスの窓越しに何となく手を振った、気が付かない京に対して花音はキツそうな眼差しを向けた後にウィンクをしてくれた。


ハートブレイク!キットカットの美味さを知った時のように俺の心がざわついた

俺の股間の先からは透明なものがジワジワと溢れ出ていた。


今夜のおかずにしてしまいそうになる。いや、むしろ 〝プレイはもうはじまっている。〟


バスを降りた俺は、この股間を落ち着かせるために、トランプマンの顔を思い浮かべる事に脳を集中させた。


あの白い顔とトランプの数字を思い浮かべる事によって俺の熱き股間は通常モードになるのだ。


校門の前で、桃香が俺を待っていた


「おっはー。今日もいいお天気だぴょん」

と跳ねる桃香は女子から嫌われるタイプの典型的女子だ


「今日の放課後、うちに来ない?」

チワワみたいな顔で俺を見る。


顔が可愛い事を自覚している桃香だが、ぶりっ子だとは自覚していない。性格は優しく男子からモテるのである。

この自覚なきチワワは発情期である。

その事にずっと気がついていたが、童貞の俺は踏み込めないでいた。

何故なら桃香はドMであろう。

キスもしたことが無い俺はきっとすぐにフィニッシュしてしまうだろうし、桃香の初めての男になる自信もないのが本音だった。


「カラオケ行かない?」

世界一しょうもない提案にも関わらず、桃香は笑顔で頷く。

「京も誘っておく、じゃ後で」

少し寂しそうなチワワの目を見ると俺の股間はヘナヘナになる。


桃香はなんで俺がいいんだろう…



放課後、京と待ち合わせたカラオケ屋の前には花音もいた


「あっ、もしかして二人付き合ってる?」


どうしてこの言葉が先に出たのだろう。

普通にやっほー とか無難なセリフを言えばいいのにな俺。


「付き合ってないよー。だってシーちゃん桃香ちゃんと一緒だから僕は花音を誘っただけだよ」


「あれ?桃香ちゃんだっけ?彼女さんは?」

頭をボリボリかきながら話す花音


桃香がチワワなら花音は野犬だ。


「桃香、急に来れなくなってさ。」

京をカラオケに誘った事にヘソを曲げているとわかっている俺は最低だ


「せっかくだし、三人で歌おうか!」

京の見透かしたような言い方に

「はい」としか言えない俺がいた。


俺と京が歌い花音はタンバリンを叩いている、あのタンバリンで叩かれたい衝動にかられた俺はトランプマンを思い出していた。


「次の曲は…」

知らない曲に京と俺は静かにマイクを花音に渡す。

何を歌うのか。もしセクシーな歌詞の曲だったらトランプマンでは抑えきれないかもしれないと葛藤する俺。


曲のタイトルは〝ひまわり〟 知らないが大丈夫な気がする。

イントロは時代劇を思わせる笛の音、花音はマイクを強く握る、あぁ俺のも握ってくれ。

花音は大きく息を吸い込み歌いだす。


「北へ!東へ!南へ、西へぇーえぇぇえ!」

まさかの長渕剛をぶっ込んできた花音に俺は頭にデットボールを食らった気持ちになり、完全に俺は花音の歌声の虜となる。

京にいたっては下を向いて泣いていた。


何故かこの曲を口ずさめる俺に気がつき花音が俺に近づき一本のマイクで一緒に歌おうとするではないか!!


一気に俺の股間が熱くなるではないか!!


次の曲を入れようとして曲を二倍速に押し間違えてしまった京。


「北へ!東へ!南へ、西へぇえーえ!」

は、早すぎます!

あぁあああ!

息遣いも荒くなる花音は、二倍速の長渕を歌い切る頃には俺はすっかりフィニッシュしていた。


「ちょっと、トイレ!」


動揺しながらトイレに駆け込む俺は今まで否定していた自分の性癖に完全に気がついてしまった。


俺は、男らしくて口がちょっと悪い気の強そうな女の子が好きな、〝ドM〟男子だ!


パンツにつく物を拭き取り、部屋に戻ると花音は、〝さとうきび畑〟を熱唱していた。


ざわわ。



次回 いざ!桃香と。

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