第5話 『連走』
特別何か書くことも無いですね・・・・
でも何かしらこの『前書き』でつぶやきたくなってしまうゲーヒーセブンです。
では、第5話 アップしますwww
攻めるというのは力があってこそのものだ。しかし、守るというのも力があってこそのものだ。
当然のことだが、守る側と攻める側があればそこには優劣が生じる。力というものは何も、1つしか形がないというわけではない。
――――だから、攻める力と守る力のぶつかり合いは勝者と敗者を生む。
第5話 『連走』
2台の連走。正直なところ、真人より圭太の方が上手い。
確かに圭太のスカイラインは速く走るためのクルマではないが、それでも真人のロードスターより200ps以上パワーがある。扱えないパワーはただの足枷だが、振り回せるパワーほど強い武器はそう無い。
アングルの浅い高速ドリフトで逃げ回るロードスターと、深いアングルで迫力が桁違いのスカイライン。
パワーを下げて空気圧を落としたせいか、白煙の量はかなり落ち着いた。
決して無理をしているわけではないが、真人も安全マージンのギリギリで走っている。
少ないパワーを無駄遣いせず、確実に車速に変えていく。それでもすぐ後ろにはスカイラインがいる。
(GT―Rに限らず・・・・スカイラインってクルマはどいつもこいつも・・・・・)
心でそう毒づきながら、バックミラーをチラ見する。迫力のR34フロントマスク。
コースも終盤、その差は少しずつ開いていく。
速く走るテクと、かっこよく走るテクとでは大きな違いがある。
ハイパワーでヘビーなクルマはいくら上手く扱えても、いずれは限界に近づくところがある。タイヤと温度だ。
問題はタイヤである。圭太のスカイラインは軽量化をしていない。
1600kg以上あり、それだけの車重を支えるタイヤに大きな負担がかかるのは言うまでもない。
磨り減るのではなく、熱を持つことでグリップ力が低下してくるのだ。
(やはりこのクルマでは、水越は辛いのでしょうか・・・・・・)
歯を食いしばりながら、圭太は暴れるテールを押さえようとする。
折り合いを欠きつつあるスカイラインと圭太。
それに対して真人は、軽量でローパワーなクルマのおかげで多少無理をしてでも攻め込むことが出来る。
『人馬一体』
初代ロードスターからのメーカーのテーマであるこの言葉を、真人は確実にものにしていく。
もともとドリコンでの上位入賞を視野に入れたクルマと、こういったワインディングで振り回す目的で作ったクルマとでは、並べて走らせるとどうしても差が目に見えてしまう。しかし圭太は臆することなく、もう一歩先の領域へと踏み込んでいく。
(それでも僕は・・・・・このクルマで彼らと並び、追い越すんだ!!)
次の瞬間、真人の背筋が震える。
(!!?)
猛烈な威圧感に、自分が飲み込まれてしまいそうな気分。
(何だ、今の感じ・・・・・)
威圧感の正体は分かっている。圭太とスカイラインだ。
ウィンドウから覗く彼の風貌と威圧感のギャップが、真人にはあまりにも衝撃的だった。
「面白い、面白いですよ・・・・・」
圭太はずっと呟きながら、ゆっくりとアクセルを開けて立ち上がっていく。
「走るのってこんなにおもしれぇのか・・・・!」
真人も呟きながら、シフトノブに手を掛ける。4速。
BP―ZEがうなる。真人の期待に答えるべく。軽い吹け上がりは、ペダルから真人の足を掴んで離さない。
2台の差は縮まることもなく開くこともない。一定の間隔を維持したまま。
「遠慮は要りません、スカイライン、あの赤いのをぶち抜いてやりましょう」
アベレージスピードが上がる2台。それでいて互いに全くプレッシャーに動じない。
GT―Rでなくとも、スカイラインはいつの時代もスポーツカー。たとえ4ドアであっても、その意志は変わらない。
(これがドリコン東北地区大会3位の走り・・・・・)
圭太がいない間、真人は圭太について翔太から話を聞いていた。
野村圭太、当時OVER FLOW所属。ドリコン東北地区大会最高位ベスト4、D1ストリートリーガル最高位ベスト4。
どの大会でも準決勝でマシントラブルに見舞われてリタイア、もともと上手くて異常なくらい白煙を出すくせに、あまり競技では勝ち負けにこだわらない性分らしく、『消極的な白煙番長』という通り名を持つ。
そんな走り屋と走っているということを、真人は少なからず喜んでいた。人間の上にはさらに上の人間がいるし、右にも左にもまた違った人間がいる。
性格と行動が矛盾する瞬間こそ、人間の最も怖い瞬間。
最終コーナー、スカイラインがアウトからかぶせてくる。
(来たかっ!!)
2台ツインドリフトの状態でコーナーを抜ける。しかし・・・・・
「くっ・・・・・!!」
スカイラインのテールスライドが止まるのがロードスターより遅くなる。
ガードレールギリギリまで流れるスカイライン。その間にロードスターが前に出る。
(うっしゃぁ!!)
すぐにウインカーを出して減速、そのまま待避所にゆっくり車を停めた。
水越の麓には駐車場がない。下りきったところにある、少し広めの待避所。そこが転回点であり、休憩の場でもある。
「ふぅ・・・・」
神経を使い果たす勢いで1本を下りきった真人。疲れが顔に出つつある。
「さすがですね・・・それで霧島司に負けたとは思えない」
「アイツのおかげだな。大差で負けてなかったら今の俺はないさ。いいきっかけをもらった感じだ」
「結局、バトルみたいになっちゃいましたね・・・・」
「悪かった。俺もアツくなりすぎたんだ」
「でも楽しかったです・・・・・」
「そうだな、俺も楽しかった」
2人は笑顔で言い合った。
「朝田さん、今度『CAS Night』観に行きませんか?」
「キャスナイト?何だそれ?」
「チューニングカー、主にドリフトのイベントを昔の空港駐車場でやるんですよ」
「今までここで走って車も自分で触っていたからな、なにも知らない」
「これでもう3回目なんですが・・・・いい機会です、チームのメンバー探しついでに行ってみるのも面白いですよ」
「そうだな、行ってみよう」
「そうですか、じゃあ来週金曜の夜にやってますから、いつものローソ●で9時に」
第5話 終




