文献Ⅰ
第二次世界大戦などの記述がありますが、実際のこととは全く関係がありません。
地名・人名・その他、全てフィクションです。
そこら辺をご理解ください。
第二次世界大戦で、日本は敗戦国となった。その経緯は教科書によって取り上げられ、戦争の悲惨さを後世に伝える教材となった。
しかし、第二次世界大戦の終戦には別の側面が存在する。
第二次世界大戦以前、妖たちは人間と一線を画し、関わらずに暮らしてきた。関わっても、それは個人単位のものであり、政治介入や人間の意思を曲げることはしなかった。それは、妖と関わる人間も同じく、日のあたらない場所でひっそりと暮らし、人間のやることに見向きもしなかった。
しかし、それは間違いだったと知ることになる。
広島、長崎に原爆が落とされた。それは、多大なる被害をもたらした。人間だけではない。妖、その他、多くの人間以外のものたちが火の粉を被ったのだ。それはもう、酷い有様で、人間に対する憎悪で溢れかえった。
日本は八百万の神の国。多くの妖や付喪神、その他たくさんのものたちと、関わり合って暮らしていた。人間が森を切り開こうとも、人間に対して何かをすることはなかった。苦しんでも、呑み込んできた。人間が戦争をしても、それらに加担しなければ、彼らに何もなかった。
しかし、箱を開けてみればどうだろう。自分たちが人間に何をした。勝手に人間がやったことで、なぜ我々が苦しまねばならないのか。
怒り、悲しみ、嘆き。
それらの感情をそのままぶつけてやろうと、これ以上、自分たちに手を出すなと、許さないと。
それから色々とあって、戦争が終結した。
そのとき妖たちを率いた清水、日向、という二人の男と、後に彼らと結婚する二人の女が日本政府と交渉する前の他国の責任者と交渉し、終戦を決定づけた。
彼らが本気になれば、他国に勝ち目はなかった。よって、彼らへの不干渉を約束し、彼らの意思をくんで、日本政府と会談、終戦した。(統治などの支配は出来ずとも、負けるよりはましと考えたと思われる。)
その後、GHQの監視のもと、民主主義の体制が形作られる際に、特殊夜間諜報情報局が設立され、憲法にも明記された。
人間がなにか過ちを犯そうとしたとき、それが自らの害になりうるなら、力ずくで止める手段として。
伝家の宝刀として。
日本が軍を持たなくなってから、他国からの侵略を受けたことはない。
多くの国は自衛隊と、米軍によるものと考えているが、実際のところ、それらは、日本に妖がいる限り、勝てないからである。
多くの者たちは人間に関わろうとせず、奔放に自由に生きている。よって、奇しくも、原爆によって結束させてしまったことで、日本の妖ものたちの結束力に敵う国がいなくなってしまった。
それらはあくまで表向きの話であり、いつ、他国の侵略があるかもわからない。日々警戒し、その技を磨き続ける必要がある。
この特諜局を含めた異能者組織はこの国を守り、自らの居場所を確立するとともに、社会に馴染めない優秀な異能者たちの受け皿である。それぞれの特性に合わせて、綺麗な仕事も汚い仕事もこなす。
それぞれのアイデンティティは異なれど、この居場所が大切ということだけは共通している。
そのために我らは徒党を組み、日々、尽力するのだ。