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第二巻☆発売記念短編!:「国と戦争になったと思ったら、いつの間にか国王を孕ませていた件……!」

11月25日より、書籍版発売デース!

オリジナルエピソードももちろんあるデスよー!

よろしくね~!


めちゃくちゃ良いおっぱいの表紙が目印です(※ジジイ)

挿絵(By みてみん)



 ――それは、最悪の領主リゼが世界を掌握してから数か月後のこと。


 暇を持て余していたリゼは、ふと居城に来ていたヤルダバート(※ボケているため勧誘に引っかかって違法カジノのバニーのバイトをすることになり、おっぱいほぼ丸出しのバニー姿を見せつけたら息子ヨハンに嫌われて泣きつきに来ていた)にこう問いかけた。


「なぁヤルダバート、そういえばお前っていくつかの並行世界を見てきたんだよな? たしかこの世界以外の俺はネガティブ野郎だったとか」


「あぁ、もしかしたらもっと違うリゼ・ベイバロンもいたかもじゃがな。それがどうかしたのか~?」


 元ジジイのくせに無駄にデカい乳の下で腕を組みながら首をかしげるヤルダバート。

 その仕草が思春期の息子の心に色々ダメージを与えているのだが、彼(あるいは彼女)は気付いていない。

 そして食い込みが気になるのかハイレグ部分をクパクパいじってる家庭崩壊バニー女神をリゼは半目で見ながら、思いついたことを聞くことにする。


「じゃあこんな世界もあったりするのか? ……アリシアとイリーナが、俺の子を産んでる世界とか」


 現在リゼは、数日後に結婚式を控えた身である。

 彼はそのあたりとてもしっかりしている。両親が酒に酔った勢いでデキちゃった者として、それまでの婚前交渉はしないことにしていた。


 だが美少女二人は毎日彼を誘惑してくるのだ。

 もしかしたらそれに耐え切れず、『そういうこと』になってしまった世界があってもおかしくはない。


「あ~あるかもしれないのぉ、おぬしがパパになっている世界! まぁ若い身じゃし、うっかり手を付けてしまったおぬしもきっといるじゃろ」


 その言葉にリゼは「そりゃよかった」と呟く。

 欲望に負けた自分を見るのは少し微妙な気分だが、いつかは父親になる者として、育児風景というやつを予習しておきたかったのである。

 それが自分本人となれば必ず参考になることだろう。


「だったらヤルダバート、俺のことをそんな並行世界に送ってくれるか? 場所はランダムでいいから」


「おーよいぞよいぞ! じゃ、次元魔法ホイっと!」


 女神がそう軽く言い放っただけで、世界に激震が走った。

 次元の壁が歪み、砕け、リゼの目の前に別世界へとつながるワームホールが生まれたのである。

 そんな超次元的行為をポコポコ行っているせいでもはや時空は崩壊寸前なのだが、リゼとヤルダバートは全然気づいていなかった。最悪である。


「並行世界はすなわち無限に存在しうる。もしかしたら次元のどこかにはあるのかもしれないのぉ。儂とリゼが世界の支配者と女神になったことは同じじゃが、日常のほんの些細なことだけが違う並行世界というのも」


「お前が二人も三人もいたら地獄すぎるだろ……。じゃあ行ってくるから、カーテンとか噛まないように大人しくしてるんだぞ?」


「儂は犬かっ! 噛まんわっ!」


「このまえ噛んでたぞ?」


「え……マジで……? うわぁ、儂もうボケてるじゃ~ん……!」


 ショックを受けるバニー女神に背を向け、リゼはワームホールに飛び込んだ。

 途端に眩んでいく視界。そして渦潮に飲み込まれていくような感覚を味わいながら、最悪の底辺領主は別世界へと向かっていくのだった。



 ◆ ◇ ◆



 ――突撃隣の並行世界ッッッ! はい、というわけでリゼくんです!!!!

 えーっ今日はですねぇーえーッ! 暇なのでアホ女神の力を使って別世界に遊びに来ました!!!

 降り立った場所はどこかの庭園ですね!!! よく手入れされてて大変いい感じです!


「さーて、この世界の俺は一体どこに……むっ?」


 そうして、自分のことを探そうと思っていた時だ。

 少し離れたところから「わぁーーーーーーんっ」と赤子の泣く声が聞こえてきた。

 誰にも見つからないようにコソコソとそちらに近づいていくと、なんと丸椅子に揺られながら笑顔で赤ん坊をあやす俺の姿があったのである……!


「ってうわぁ、俺ってばマジでパパになってるよ……!」


 赤ん坊に「よしよし」と語りかけるもう一人の俺。

 そこにはもう、表情筋の死んでいた底辺領主の姿は完全になくなっていた。

 幸せを精一杯に享受するただの一人の父親だ。


「……いつか俺もああなるとはいえ、なんか見てて胸が詰まっちまうなぁ……」


 今まで感じたことのない気分になってしまう。

 あれが、様々な苦難を乗り越えた果てに平和を掴んだ自分の姿かと。


 あぁ、俺もいつかはあんなふうに自然に笑えるようになるのだろうか?


「いや、きっとなれるんだろうな。アリシアやイリーナと愛を紡いだはてに、きっと……」


 そうして俺が感慨にふけっていた時だ。

 赤子をあやすもう一人の俺のところに、「ママでちゅよ~!」と甘い声で駆け寄ってくる女性がいた。


 そういえばあの赤ん坊はアリシアかイリーナかどちらの子なのだろうか?

 最後にそれを確かめてから帰ろうかと思った――その瞬間、


「あぁヤルダバート、俺たちの子は今日も元気だぞ……!」


「ふっはっはっ、それはよかった! いやぁ、お互いに酒に酔った勢いで作っちゃった時はどうしようかと思ったがなぁ!」


「フッ、あの時は俺もすまなかった。アリシアやイリーナの誘惑で、色々と溜まっていたものでな。だがそのおかげで、俺は真実の愛を手に入れることが出来たッ!」


 ――そう言ってヤルダバートのアホを抱き締めるもう一人の俺。

 無駄に絶世の女神のほうも見たことのない気恥ずかしそうな表情をし、「まったく、もう二人目をお望みか」と艶っぽい声で呟く……!


 って、なんじゃこりゃあああああああああああああああああッ!?

 どんな並行世界に飛ばしやがったんだよあのアホ女神ッ! こんな世界があって堪るかーーーー!


 俺はここに来てからの記憶を全力で忘れながら、元の世界に帰っていったのだった……!

 



 そして、


「お~帰ってきたかリゼよ、早いのぉ。どうじゃどうじゃっ、これから酒でも一緒に飲まんか?」


「絶対にやだッッッ!!!!!!!!」


「えー!?」


 おっぱいをバインバイン揺らしながら駆け寄ってくる女神より全力で距離を置く。


 ――あんな悪夢みたいな幸せを掴んでたまるかッ!


 俺は結婚式までの間、一滴たりとも酒を飲まないことを誓うのだった……!



※【悲報】ここまでの登場人物、全員男――!【地獄】


ご評価と書籍の購入、ぜひぜひご検討をー!


新連載はじめました!

「俺は長男だから諦めない」~『ファイヤーボール』しか使えず『ブラックギルド』を追放された俺、『10万年』修行したことで万能魔法に到達する。戻れと言われても『もう遅い』。ホワイトな宮廷に雇われたからな〜

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― 新着の感想 ―
[良い点] 勢いw [一言] 頭悪すぎるとしか言いようがないww
[良い点] テンション死ぬほど高くて好き [一言] リゼくんに回復魔法掛けて貰いたいです んほおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!
[良い点] 勢いがすきw [一言] なんかもう、1話から勢いで全部読みました。笑 こうなったのもすべて本人の仕業かって考えたら笑っちゃいました笑 おもしろい。
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