第二十七話:王様を呼びつけよう!
前回のラストを金曜日の0時ごろに改稿しました。
「スネイルは竜になって木になって家になった」という文章を、「スネイルは竜になって木になって『集合住宅』になった」という適切な表現に直しました。大変ご迷惑をおかけしました。
「――素晴らしいッ! 我が盟友よ、貴殿こそまさに救国の英雄だ!!!」
「フッ、お褒めに与かり光栄です。ホーエンハイム公爵」
邪悪なる魔術師スネイル・ジャンゴから国を救ってから数日後。俺はベイバロン城の一室にて、ホーエンハイム公爵に褒められまくっていた!
そうそうそう、リゼくんってば国を救っちゃったわけよ!? あのままだと間違いなく竜モドキどもは他の領も襲ってただろうし、取り返しのつかないことになってたって!
それを何とかしちゃうとか……はぁ~~~、まさに俺こそ平和の使者だな。ジャンゴ領の民衆たちも俺のことを「英雄様ッ!」「救世主様!」って褒めてくれてるし、いやぁ参っちゃうね! 流石は処女受胎で生まれた子、リゼくんですな。
「それで公爵、ジャンゴ領の扱いについてですが……」
「うむ、我が裁量で貴殿にくれてやろう! それと今回の活躍は国王の耳にもすでに入っておる。一か月後に謁見しに来いとのことだ」
おぉ~~~~~~~~~~~!!!
リゼくんの有能っぷりがついに王さまにまで伝わっちゃったかぁ! やったー! 謁見だよ謁見!?
俺が内心ニヤニヤしてると、なぜかホーエンハイム公爵がいたずらっぽい顔付きをする。
「クククッ……謁見を許した男が“こんな城”の持ち主だと知ったら、あの傲慢なる国王はどう思うことか……!」
えっ、そりゃぁ喜んでくれるっしょ!
王城のデザインを丸パクリして色を変えただけとかリスペクト精神あふれまくりっすよ! 熱烈なファンだと思われること間違いなしだってッ!
あ、それとホーエンハイムおじさん。いくら公爵家の生まれで親戚筋だからって、“傲慢なる国王”なんて呼んじゃいけないと思いますよ?
「公爵、言葉遣いには気を付けたほうがいい。国王様には常に礼節をもって接さねば……」
「グハハハハハハハハッ! どの口が言うか、まったくッ! まぁ貴殿のことは“王家に対して強く敬意を持っており、とても従順な態度を示している”と伝えておいたからな。無事に国王に会えるはずだ」
おほぉ! 俺の王家に対する忠義度を嘘偽りなくストレートに伝えてくれるとか、さすがはホーエンハイムおじさんだ!
いやー、本当に嬉しいなぁ! ベイバロン領の底辺領主が国王様と顔合わせできる日が来るなんて、きっとご先祖たちは草葉の陰で嬉し泣きしてるよッ!
よくわからない危険生物になっちゃったスネイルくんにめちゃくちゃ感謝だね!!! 俺の手柄になってくれてありがとー!
――あ、そうだ! いいこと考えちゃった!
「……ホーエンハイム公爵、二つ提案があるのですがよろしいでしょうか?」
「ふむ、申してみよ」
「ではまず一つ……俺の活躍を祝してパーティーを開きませんか? この地方の貴族たちを呼び集めましょう。
そしてもう一つ。国王様をそのパーティーに招いてみませんか?」
「むぅ!? 他の貴族たちに加え、“この城”に国王を呼ぶだとぉ!?」
そうそう、とってもいい考えだと思うんだよね!
元々この城は、貴族たちを呼び集めてベイバロン領の良さを知ってもらうために建てたものなんだよ。だから何か機会があったら貴族連中は誘うつもりでいたし、ついでに国王様も来てくれたら、国中にベイバロン領の良さが広がるじゃん!? 観光客いっぱい来てくれるようになるじゃーん! やったー!
そしたらわざわざ王都に顔を見せに行かなくても済むようになるし、俺ってば頭良すぎかよー!
「公爵、ぜひとも国王様にはこうお伝えください。“ベイバロン領の現状を、どうかその目で見て欲しい”と」
「ふ、む……ああ、わかった……いいだろう! 貴殿の卓越した頭脳を信じ、ここは言う通りにしてみようではないか!」
うむ、やっぱりホーエンハイムおじさんは見る目があるなぁ! IQ9999(自己測定)の俺に対して「お前よりもナメクジのほうが思考力ありそうだ」と言いやがったアホ親父とは大違いだぜッ!
ふふふふふ、早くパーティーしたいなぁ! どうなるか楽しみだぜーーーーーッ!
・投稿が遅れてしまい申し訳ありません!
「この小説を小学生に見せつけたい」「無垢な子供たちの心に刻み付けたい」「園児にも読ませて倫理観をよくしてやりたい」と散々言ってたら、なんと『書籍化』のお誘いが来ました!!!
やったーーーーー編集者さん見る目があるーーーー!!! IQ9999間違いなし!
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