第二十三話:奇跡の誕生!
・ついに明かされるリゼの誕生秘話と、亡き両親の甘いラブロマンス――ッ!
「――よーしお前たち、今日は引っ越しだ。その準備を手伝ってくれ」
「「「おー!」」」
城が完成してから一日。領主邸に仲の良い連中を集めて荷造りだ。
これを機にいらない物なんかを整理して、スッキリした気分で新生活を迎えようと思っている。
というわけで、さっそく作業を開始したんだが――、
「リゼ様リゼ様っ! リゼ様の子供の頃の下着を見つけたのですが、もらってもよろしいでしょうかッ!?」
「ああ、別にいらないし好きにしてくれ」
「やったぁ! このアリシア、一生の宝物として大切にしますね! あっ、こちらの下着はご神体として飾っておいて、こっちは使用用にして~……!」
「使用用……?」
うーん、それ俺が子供の時のやつだぞ? 胸以外は小柄なアリシアでもたぶん履けないと思うんだが……まぁいいか。本人が幸せそうにしてるから良しとしよう。
「リゼ殿リゼ殿ッ! 引っ越しとなれば、食べ物などは邪魔になると思うのだがッ!」
「ああ……せっかくだから片付けちゃってくれ、イリーナ」
「うむっ! 獣人族の誇りにかけて食い尽くしてやろうッ!」
安っぽいな~獣人族の誇り!
あっ、食料庫にはだいぶ古いやつもあるんだが……ってイリーナもう行っちまったよ。まぁいいか。
はぁまったく……アリシアの奴は古着の海にダイブしてるし、イリーナの奴はしょっぱなから食糧庫に引きこもっちまったし、こいつら真面目に荷造りしてくれよ……!
フリーダムな女子たちにやれやれと思ってると、衛兵長のクラウスが近づいてくる。
「リゼさん、屋敷内の本や資料を全部まとめて持ってきました。一応ジャンル分けしておいたんで、引っ越しした時に並べ直しやすいと思いますよ」
「クラウス、やっぱりお前が一番だ」
「えッ!? リ、リゼさん……っ!?」
いやーこいつを雇ってよかったよかった。
ノリは軽いけど真面目に仕事してくれるし、マジでいてくれて助かってるわー。これからもよろしくな?
――そんな思いを伝えていると、メイドのベルが片付けてるほうから「ふしゅぅッ!?」という謎の鳴き声が聞こえてきた。なんかモンスターでもいたのかな?
「そ、そういえばリゼさん……本を整理していたら、こんなものを見つけたのですが……」
「おっ、これは……」
疲れたのか少し顔を赤くしているクラウスが、一枚の絵画を差し出してきた。正装の男女が描かれた古い品だ。
ああ、間違いない――こいつは俺の両親の人物画だな。
「懐かしいなぁ、亡き父と母の絵だ。たぶん、結婚した時のものだろう」
「やっぱりですか。本の間に適当に挟まってたんですが、女性のほうがずいぶんとリゼさんに似てらしたんで」
うむ、そのへんはお袋に感謝だな。親父のほうは冴えない顔してるからなぁ~。
なんというか、未来に絶望しきったベイバロン顔だ。無表情を通り越して今にも死にそうな顔をしてやがる。
……俺も思い切って領地改革に乗り出してなきゃ、きっとこんなツラになってたことだろうなぁ。
「……ずいぶんとお綺麗な方だったんですね、リゼさんのお母様は。その……失礼ながら、ベイバロン領に嫁いでくる女性といったら、こう……」
「ああ。俺はまったく気にしてないんだが、平民と結婚して魔力が少ない子が生まれると不味いからな。昔から、不細工すぎて嫁ぎ先がなかったり、何かしら問題を起こして勘当された貴族の女性を、ベイバロンの領主は嫁として引き取ってたもんだ。
俺の母も、元々はどっかの伯爵家だったんだが……まぁちょっとやらかしてしまってな。絵を見ればわかるだろ?」
「あぁ、はい、なんとなく察しておりました……」
そう言ってクラウスは――妙にポッコリとした母親のお腹部分を見る。
「――俺の母親は頭が残念な人でな……家から脱走して酒場で飲みまくってたところで、何でもネガティブに捉える性格のせいで絶望してヤケ酒してた父と知り合い……そのまま酔った勢いでだな……!」
「語らなくていいですっ、語らなくていいですリゼさん!!! マジすいません、この絵は地中深くに封印しておきますんでッッッ!!! リゼさんは処女受胎で生まれた子とかそんな風に思っておくんでッ!!!」
「ああ……もしも俺が死んで人物伝をまとめることになったら、なんかそんな感じの出生だったってことにしておいてくれ……」
「はいッ! この命に代えましてもッ!!!」
よし、クラウスだったらきっちり仕事を果たしてくれるだろう。これでいつ死んでも大丈夫だな。
……親父にお袋、あの世で見ていてくれよ。
アンタたちの考えなしな行動で生まれた超有能な俺が、国家を平和に導く姿をなぁ――ッ!
※昨日考えなしに国家に宣戦布告しました。
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