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第十三話:テロリストになろう!


※前回出した牛さんたちはあのあとみんなで食べました。





「――リゼ様ー! 握手してくださぁい!!!」


「我らが救世主様ー!」


「リゼ様サインしてー!」



 はっはっはっはっは!


 ジャイコフをぶっ殺してから一週間、俺はすっかりボンクレー領の民衆たちに受け入れられていた!

 通りを歩けばみんなが笑顔で手を振ってくるぞい!


「フッ、お前たち騒ぐな。サインならいくらでもしてやろう」


「「「きゃーリゼ様ーッ!!!」」」


 いや~モテモテで困っちゃうなぁ、俺!

 せっかく敵陣地に攻め込むんならカッコいい感じで登場したかったから、スラムの奴らに指示して民衆に暴動を起こさせてジャイコフをキレさせた甲斐があったわ! そこを助けちゃうリゼくんってすごいよね!


 というわけでジャイコフくんには悪役として地獄に行ってもらったけど、あいつは元々領地を経済崩壊させちゃうような悪い奴で、逆に俺はいっぱいお金を儲けてみんなを幸せにしてる大正義マンだから問題ないのだ! 天国行き不可避ッ!

 

「――民衆たちよ、ジャイコフの杜撰な経営によって経済は大きく疲弊してしまった。だがしかしッ! お前たちにはこのリゼ・ベイバロンがついているッ! 力を合わせて共に希望の未来を目指そうッ!」


「リっ、リゼ様ーーーーーーーーーーーーっ!!!」


「ああっ、まさにアナタこそ我らの英雄っ! アナタの輝きに比べたら、今まで見てきた貴族とは何だったのかっ!!!」


 俺の正義に溢れた言葉に、人々はさらに沸き立つのだった!


 はーっはっはっは! これからも仲良くしてくれよな、ボンクレーの民衆たちよ!

 オレが『反逆者と疑われたくない』って釘を刺してからは過激派邪教シスターのアリシアも大人しくしてるみたいだし、この調子で平和に向かって頑張るぞー! いぇーい!





 ◆ ◇ ◆



 

 ――ボンクレーの地下礼拝堂にて。



「新たなる信者たちよッ、『創造神デミウルゴス』様を信じるのですッッッ!!! その使徒であるリゼ様を信仰するのでーーーーーーーーーすッッッ!!!」


「「「ウォオオオオオオオオオオオオッ! アリシア様ーーーーーーーーッ!!!」」」


 ……薄暗い闇の中で、数えきれないほどの人々が銀髪のシスターと共に熱狂の声を上げていた。


 リゼの言葉をしっかりと聞いたアリシアは、言われた通り()()()()()()()()()()()()()()()、全力で宗教活動を推し進めていたのである……!


「ではみなさま、わたしと共に聖歌を歌いましょう。

 ――イェアッ!!! リゼ様こそが我らが英雄ッ! 彼を信じる道こそ栄光ッ!!! 俗な貴族は全員ファックで国家を壊してやろうぜフゥーーーーーーッ!!!」


「「「乱世ッ!!! 乱世ッ!!! みんなでテロって逝こうぜチェキラッ!!!」」」


 ……アリシアの謎の聖歌に合わせ、トランス状態になっていく信者たち。



 頭のおかしいアリシアとは違い、彼らは元々、ごく平凡なボンクレーの領民たちだった。

 だがしかし、リゼ・ベイバロンという男が全ての価値観を破壊してしまったのである。


 かの英雄は凄まじかった。

 邪悪なる領主・ジャイコフを抹殺するや、すぐさまボンクレー領の復興に着手。まず不景気による貧困に喘いでいた民衆たちすべてに、有り余るほどの食料を用意したのだ。

 さらには貴族の身でありながら怪我人や病人たちを無償で治療して周り、死病すらもたやすく取り払ってみせた。


 それに加えて、コピー品がばらまかれたことで失職してしまった職人たちへのケアも抜かりなかった。

 遠方の領地から逃げてきたベイバロン領の職人や、独特の技術を持つ獣人たちを呼び集め、全員でアイディアを出しあわせて数々の新商品を開発させていったのだ。


 税金面のほうも『俺が領主である限り、せいぜい月一で、払えそうな時だけ稼ぎの一割を納めてくれればいい』と豪語。

 一般的な領地ならば月に五割は無理やり徴収されているというのに、その適当にすら思えるほど軽すぎる税率に民衆たちは心から感謝した。

 


 ……まさにリゼ・ベイバロンこそ、全ての平民の味方である。奇病を患った者やスラムの者にすらも喜んで手を差し伸べてくれる救世主である。

 そんな偉大なる男のことを知ってしまった結果、もはやボンクレーの領民たちは『貴族の家畜』には戻れない。



 もしも……ここら一帯の大領主である『公爵』の采配によりリゼが追い出され、またもやジャイコフのような男が派遣されてこようものなら、民衆たちは躊躇なく暴動を起こすつもりでいた――ッ!


 

「あぁ、リゼ様万歳!!! そしてそのうち作る予定のわたしとリゼ様の赤ちゃんにバンザーーーーーイッ!!!」


「「「バンザーイッ! バンザーーーーーーーーーイッッッ!!!」」」


「出産祝いは王族の首でお願いしまーーーーーーーーす!!!」



 ……かくして、経済崩壊を招いた張本人であるリゼの自作自演によって好感度がマックスになってしまった民衆たちは、こうしてあっさりと過激派暗黒宗教にドハマりしてしまったのだった……!


 



※アリシアの宗教テロラップを考えるのに20分かかりました。


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― 新着の感想 ―
[良い点] >コピー品がばらまかれたことで失職してしまった職人たちへのケアも抜かりなかった。 彼らに救いがあってよかった……(ノ∀`。) [気になる点] >貧困に喘いでいた民衆たちすべてに、有り余る…
[良い点] 聖歌とは一体?www [気になる点] リゼ的には世継ぎは必要だし可愛い子が居れば手を出したいだろうけど、どんなにまともな人間でも側に来たときには漏れなく狂信者、怖すぎて触れられないwww…
[良い点] ガチでおもろいww 一話一話で笑わない日はないww
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