第82話 狐の村・・・
私が言葉をかけたらいっせいに起きだしてきた。
まさかほんとに死んだふりをしているとは思わなかったよ。
それも完全に心臓を止めているという荒業をやってのけるとはな。
たいしたものだと感心する。
・・・
先ほど戦っていた狐の獣人の少女、確かリードットとか言ったかな。
右腕を切られて、狼の魔獣に食われてしまってたよね。
!
そして狼の魔獣を私が食べた。
ということは狐の少女の右腕を食べたと言うのは最終的に私ではないのか。
それもついさっき。
私は神剣に魔法を付与させ超回復魔法 を使い狐の少女を回復させる。
お願いします。
どうか狐の少女の右腕が再生するようにと祈る。
食べてしまったのは結局私だ。
間接的には私がこの少女の右腕をなくしたのと同じだと思い、焦ってしまう。
神剣の魔法付与効果アップとダンジョンからのエネルギー供給で超回復したので、なんとか狐の獣人の少女の右腕は再生して元どうりに治ってしまった。
狐の獣人の少女リードットは自分の腕が再生したのに驚いて、手を開いたり閉じたりして確認している。
ふぅ、よかった再生したか。
彼女の腕は私のお腹の中だからね。
もう消化してしまったみたいで吐き出すことできないので良かったよ。
・・・
私の事を恐る恐る見ているな。
さてどうしたんものかな、なんて話をしたらいいだろうか。
私が困っている中で、狐の獣人の少女リードットは私に声をかけてきた。
「先ほどは助けていただき有難う御座いました」
とお礼を言ってきたのである。
好戦的な少女だと思っていたのだが、なかなか礼儀が正しい。
それに悠長に話ができるな。
高い教養があると見える。
私は答える。
「いえいえ、たいしたことはしてないですよ」
「私の名はリードットこの狐族の村長の娘です。
失礼ですがあなたのような方がどうしてこの村にお越しですか」
と恐れた声で聞いてきた。
「おっと失礼、私の名はみつぐです。
よろしくお願いしますね。
ちょっと地上へ仕事がありましてやって来たのですよ」
「仕事ですか?
もしかして少し前ですが天空が異様な輝きをしました。
あなた様は天空からやって来たのですか?」
「あ、それは違いますよ。
まぁ、あの光は私が関係していることは確かですが天空から来たのではなく、この近くにある遺跡からちょっとした仕事で来ているだけですからね」
「遺跡ですか?
少女は少し考えながら、突然真っ青な顔になり震えだしてしまった」
「あぁ、大丈夫ですよ。
あなた方には危害をくわえる気は全くございませんので、怖がらないで下さいね」
「遺跡って南にあるの山の、山頂にそびえ立つ遺跡ですよね」
少女が聞いた瞬間に周りにいた狐族の獣人達も震えだしてしまった。
「南かどうかは私にはわかりませんが、山の山頂付近から出てきたのは確かですね。
あ、そうそうここから見えるあの岩山ですよ」
私は大きな触手でさし示した。
少女はびっくりしたように驚きを隠せないでいる。
やはり地上では相当恐れられていたダンジョンだったのかな。
これはすぐさま立ち去ったほうがいいかな。
目的はあくまで臭獣人だ。
私とかかわりあって怖い思いさせるのは気の毒だろう。
私は少しだけ質問をしここを去ることにする。
・・・
「お聞きしたいことがあるのですがいいでしょうか」
「はい」
「ここら辺に体長4から5メートルの黒い顔押した大きな熊の獣人を見かけませんでしたでしょうか。
これはここにいる皆さんにも聞きたいです。
知っていたら誰かお願いしますね。
それと特徴で何か変な匂いするみたいなのでどなたかご存知だったら教えて下さい」
狐の獣人は顔を見合わせてお互い知っているか確認している。
誰もいないかな、と思ったら。
子供達でへんな匂いするのを知っていると話はじめたのだ。
話を聞いてみると東の山で遊んでいたら、嗅いだようなこと無い匂いがしたそうだ。
匂いの方向へ行ってみたら大きな切り蕪があったらしい。
背丈以上にあったので詳しくは見られなかったみたいだが嗅いだことないくさい匂いがしたのでそのまま立ち去ったと言う話だった。
そこに私はいってみたいので案内してもらいたいと言ったが、さすがに子供たちは私を恐れているみたいで案内は無理そうみたいだ。
場所だけ聞いて行くだけいってみようかな。
私はすぐさま移動しようとした時に狐の少女に声をかけられた。
「あの、みつぐ様もしかして神様の使いでこの地に来られたのですかと?」
「うーん、半分はそうであり半分は違うかなと」
曖昧な答えをした、私もどう答えていいのかわからないのだ。
そうしたら突然狐の少女は、
「お許しください」
と言って頭を下げて地べたに這いつくばった。
?
これって土下座よりひどくない。
全身うつ伏せになって頭を地面につけているのだ。
「お嬢さん、どうしたのですか。
頭をあげて頭をあげて」
狐の少女は頭をあげ私に
「井戸を枯らすのはやめていただきたい」
と懇願した。
?
えーと、私の事案とまったく関係ない話が来たんだがどういう事だろう。
まったく見当が見当たらない。
聞いてみると先月から急に井戸の水位が下がっていまほとんど枯れた状態になっているらしい。
私は雨が最近降ったのとか聞いてみると、ひと月は降っていないという。
ただ雨が降らないだけで地下水がたまっていないのではと言ったのだが意味が分からなかったみたいだ。
でも変だな、ここら辺乾燥した地域でもなく、木や草も十分生い茂っている。
地下水とか豊富にありそうな気がするんだけどどうなんだろう。
うむ、時間がおしいがをここまで頭を下げられては見るだけ見てみるか。
私に治水の事はわからないけど、望遠透視能力で見えるから水脈があるか見てみるとしようかな。
まずはこの下に地下水があるか覗いてみるかな。
覗いてみたらかなりの水脈があるぞどういう事だろう。
望遠透視能力 でかなり深い地面を透視してしまったのかな。
まぁ、とりあえず井戸のところへ行って見てみよう。
私は井戸のところへ行く事にした。
・・・
井戸があった。
直系1メートルのただ掘り下げてみたような井戸だった。
まわりにレンガのような石が詰まれ何かの物質で固められているな。
コンクリートとかではないなけど似たような石材で固めたものだな。
井戸の中を見たが少しだけ水があるが何よりも5メートルの深さもみたない井戸だった。
あれ? 井戸て何メートル掘ればいいのだったかな。
まあ地域によりそれぞれだけど5メートルでは微妙に浅くないか?
まあ水脈にあたれば深さは確か関係ないはずだったが、これって浅井戸ってやつだよね。
一番近い水脈にあたるやつで水質があまり良くなかったと思うけど直接雨水が溜まったりしているのを使っているやつだよね?
この下を望遠透視能力で見てみると豊富な地下水脈があるんだよね。
20メートルで3層くらいの水脈にあたるんだよ。
せめてあと5メートル掘ればかなりの水脈にぶつかる。
井戸は2カ所この村にあったが、もう一カ所は3年前に枯れてしまったそうだ。
枯れそうだったので、新たに1年かけて掘って作ったのだが2年足らずして水が底をついた。
井戸を掘り続けている間足りない分は、ここより10キロほど離れた川のところから水をくみ暮らしていたそうだが、水をくみに行く途中魔獣に襲われたりして亡くなったものが多く出たらしい。
それで今回も同じことがあったので、神様が私たちに罰をあたえてしまったと思っていたっらしいのだ。
なんでここで神様が出てくるんだろう。
そして神様が罰あたえるなんんて思ったんだろうか?
理由を聞いたら口ごもってしまった。
なにか悪い事でもしたんだろうか?
かわいそうなので詮索するのはやめておこう。
今回の襲撃も神様が怒って狼族をよこして来たのだと思っていたらしいな。
うーん、なんだろうこれは、知識の差とか習慣の差とかそんな感じなのかな。
なんともいえないいわく感があるのだけど、宗教とかなんかあるのかと思ってしまったよ。
神様がらみで揉める事は、どこの世界でもあるけど日本人の宗教感覚だとわからないんだよね。
本当にこの狐族達、神様の事信じているみたいなんだよね。
神様にあった事あるのって聞いてみたら、無いって言ってたんだけど、まぁ、そうだよね。
根本的に私が知っている話と違うので話を合わせるの難しいとはこういうことを言うのか。
だいぶ狐族の人たち勘違いしているよ。
わたしも勘違い多いけどそれ以上にあるんだね。
とりあえずもう一カ所の井戸のところへ行ってみる。
・・・
うーん、中は空っぽだ。
枯れ井戸になっているね。
やはり深さは浅いな、こちらも同じ5メートルくらいかな。
望遠透視能力 で覗いてみると下にはたくさんの水が見える。
やはりそんなに深く掘ってはないんだよね。
まあ狐の人たちじゃ5メートル掘るのも難儀な話かな。
たぶん水が出たのでそれで掘るのやめてしまったんだよね。
その水脈が少なかったという事か。
この下を5メートルほど掘れれば、たくさんの水が出てくるんだよ。
できれば20メートルくらい掘れば深井戸の水脈にあたると思うがさすがにそれは狐の獣人には無理かな。
5メートルで1年かやり方もあるけど住民の数が少ないし、人でも足りていなさそうなので少しづつ時間が空いた時に掘ったのかな。
とりあえずこの2カ所を掘り下げてしまえばいいのだろう。
早めに事を済ませたいので魔法を使ってで掘り下げてしまうか。
重力弾 を使って地下水までたどり貫通させればいいだろう。
私は狐族の人たちに一応説明しておく。
この井戸の深さでは掘り足りないと伝える。
この倍の深さを掘り続けないと水はでないんだよと告げた。
教えたが呆然としている。
たぶん苦労して掘ったんだろうな。
とりあえず私がやってみると言う。
さてそれではここは重力弾 の魔法で下に掘り下げてみようかな、深く貫通すれば地下水脈の何層かにぶちあたって水も多く出てくるだろう。
そうすれば水の事は問題なく解決できると思う。
私は神剣を握り魔法を付与する。
重力弾 の魔法を唱え、掘り下げた井戸の真下に放つ。
「ドスン」
重い音がのした。
途中何回か音が変わったので、どうやらうまく掘り下げられたらしい。
望遠透視能力 で確認をする。
おぉ、やはり水脈貫通しているな。
あれやばい深すぎたかな。
4層くらい水脈にぶち当たっている。
おそらく30メートルくらい掘り下げてしまったらしい。
まぁ、深いぶんにはいいか。
一応かなり深く掘ったので気をつけるようにと告げる。
水がすぐさま上がってくるのがわかり喜んでいるな。
でも深いので気を付けないとね。
もう一ヵ所のとこも同じようにやってあげる。
今度は神剣無しでやろう。
5メートルほれば水脈にあたるからそれでいいだろう。
念の為2層下の水脈まで貫通しとくかな、そうなると15メートル近く掘り下げればいいだろう。
もう一カ所のところの井戸もやってしまう。
魔法を使い掘り下げてしまう。
どうやらこちらもうまくいったな、しばらくしてきたら水がたまりはじめた。
これでいいだろう。
でも最初は汚れているのできれいになるまでかきだしたいいと告げる。
うむ、喜んでいるが私は忙しいのだ。
変な匂いが付いた場所に案内してもらいたい。
せめて井戸を掘ったのでそれくらいはいいだろう。
子供たちは怖がっていたがいっしょにリードットがついていくので案内してくれた。
私は匂いがついていた場所に到着してみた。
「うわー、臭い」
なんだこの匂いは。
結構遠くからでも匂うよ。
本当に嗅いだこと無い匂いだ。
匂いの元に切り蕪がある。
この切り蕪から匂うんだよね。
本当に嫌な匂いだ表現のしようがない。
しいて言えば、赤い薬品が腐ったような匂いだ。
意味が分からない、そんなの想像もできないだろう。
でもそんな感じがするのだ。
なぜ切り蕪がこんなところにあるのだろう?
それも切られた断面は鋭利な刃物でスパッ切られた感じなんだよね。
それに切った木はどこへいってしまったのだろう?
倒れたりしたら地面に痕跡とか残るはずなんだが、それも無い。
というか人がいた足跡さえも無いんだけどね。
うむ、謎だね。
でも確か臭獣人って5メートルくらいの巨人だよね。
もしかしてこの切り蕪に座って休んでいたのではないかな。
考えすぎかなでもそんな感じがしてならないんだよね。
足跡がないのは飛べたりしてね。
まさか宙を浮いているとか、でも魔法とか使えないって話聞いたけど。
アイテム等とかで使えたりしないのかな。
直視の宝珠で見た時、持っていたあいつの槍が気になったんだよね。
あれは絶対特殊な能力秘めている武器に違いないと思っている。
そう考えるとここにいた可能性は高いな。
これが3日前か、それで消えていないとはよほど臭いみたいだね。
もしかして近くにいるのかもしれないな。
私は一端、狐の村に戻ってみる。
頭を整理して考えてみよう。
今日はここで一晩お世話になることにするかな。
・・・
狐の村へ戻ってきた。
ここから臭獣人を望遠透視能力 で探してみようと思う。
直視の宝珠でも調べてみよう。
現在の風景は森林地帯のままだった。
変わった様子はない。
だが今日のように狐族の獣人は襲われていた。
見えないだけで他ではこんなことが起こっているのかも知れないな。
早めに奴を探さなくてはいけないな・・・




