第51話 巣立ち?……
子供たちはだいぶ成長し、かなりの大きさになっている。
体長は1.5メールほど大きくなり、触手も立派に生えそろい、もうすぐ一人前になってもいい頃だと感じている。
5匹とも無事に生存できており、いまでは私がついていかなくても問題なく狩りができるところまで成長している。
彼女の指導があってか、狩りの仕方がうまく潜在能力の高さをうかがえるのだ。
性別は雄が2匹の雌が3匹だった。
触手の色が青と赤で判別ができる。
子供たちに名前をつけようと思っていたが、彼女にも名前はないのでつけないでいる。
最初は悩んだのだが、見ればどの固体だかわかるのと、モンスターの世界では名前という概念がなさそうなので別につけなくても良いと判断した。
それにこのダンジョンは生存競争が激しいのでいつ死んでしまうかわからない。
名前をつけてしまうと思いが残ってしまうので躊躇(ちゅうちょしてしまったのだ。
無事に生き残ってくれればいいと思うくらいだ。
…… …… ……
私は最近まったく狩りをしていない、ニート生活真っ最中である。
子供たちが狩りをして、私に持ってきてくれるのだ。
彼女と違って気が利いている。
それも、触手が赤い雌の子供が持ってきてくれるので、嬉しい限りでだ。
でも、一度も子供たちを触らせてもらえなかった。
ローパーの世界ではそういうものかと思って、これについては非常に残念に思っている。
やる事がないので、ガゼルの持ってきたアイテムを整理している最中だ。
今のところ、ガゼルのアイテムの整理しながら、広範囲索敵で子供たちのことを探りながら、透視能力で状況を見守るというのが日課かな。
そろそろ動きたいけど、食糧を持ってきてくれるので、まさにニート生活を満喫しているところである。
ある意味、駄目なローパーになっている。
ガゼルが持ってきたアイテムの整理もだいたい終わってきた。
何となくだが、人間がどんな生活をしているのか、予測出来てきた。
時代背景はヨーロッパ中世の時代設定で魔法が存在し、モンスターと覇権争いをしている定番なファンタジー世界って感じか。
漫画やラノベで多くみられる時代背景だ。
争いごとは多いらしいが、それほど強いモンスターなどは地上にはいないと思う。
けれど、私の予測はことごとくはずれていて反対の方向へいっている。
あてにならないので気をつけたほうがいいと自分でもおもっているのだ。
そろそろ子供たちも巣立ちしてりっぱな成人だ。
巣立ちを機会にこの階層から離れようと思っていたのだが、その前に別れが突然やってきてしまった。
…… …… ……
今日の狩りを終え、彼女と5匹の子供たちが帰ってきた。
いつもどおり雌の子供の1匹が狩ってきたモンスターを運んでくれる。
それも今日は、まだ食べたことのなかった蛙のモンスターを持って来てくれたのだ。
おぉ、この子はいい子だ。
いつも気が利いて持ってきてくれるんだよ。
さてと、いただくとするかな。
私はさっそく蛙のモンスターを食べるとしよう。
蛙のモンスターはうまかった。
母親ローパーがおいしそうに食べていたのがわかる。
しみじみと思うことがある。
そんな中、今日は彼女の視線が冷たいような気がするのだが、気のせいだろうか?
…… …… ……
蛙のモンスターを食べ終わって、アイテムを整理しようと思ったら、彼女が私に寄ってきた。
体を赤くして、私にたいし威嚇してくるのだ。
え、ちょっとまってなんで怒っているの?
もしかして最近狩りをしていないから怒っているのかなと思ったら、様子が違う。
これって前に母親ローパーが私を巣立ちさせようととった態度と同じだ。
まさか、私にここから出て行けと言っているのか?
子供たちを巣立ちさせる前に、巣立ちの練習を見せているのだろうか?
ここから出て行けと言っているのは確かなんだ。
そういえば母親ローパーと別れた時も、蛙のモンスターを食べていなかったか。
これは蛙の呪いではと一瞬思ってしまった。
うむ、どうやら彼女は本気らしい、ここから出ていかなくてはならないようだ。
唐突たが、ここでお別れとすることにしよう。
モンスターの世界ではこういうことが良くあるものだ。
納得がいかない展開だが、仕方ない。
子供たちも大きくなったので私がいなくても大丈夫と判断したんだろう。
この部屋を作っのは私だし、愛着があったけどまさか私が追い出されるとは夢にも思わなかった。
まぁ、仕方ないか。
私はガゼルの持っていた荷物をアイテムボックスに収納し持っていく。
それじゃ、私は出て行くとしよう。
「彼女にさよなら、元気でな」
と声をかける。
彼女は赤くした色をやめ、心なしか寂しそうに見えた。
私は部屋から出て行った。
…… …… ……
彼女は私を追いかけてきた。
そして、奇声をあげる。
「いままでありがとね、ダーリン愛してるわ。
また、ここに帰ってきてね。
待っているわ」
彼女の奇声はそう言っているようにはっきり聞こえた。
私は触手で手を振りそのまま歩き出す。
あぁ、もしも泣けるというならば、涙が止まらない。
私も彼女の事を愛していたんだとこみあげてくる。
いつか絶対にこのフロアに戻ってこよう。
彼女のことだ無事にまってくれているはずだ……




