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第5話 生死の分かれ目……


 インプ。

 小悪魔、使い魔と言われる上位のモンスターだ。


 確かゲームでは毒系魔法、幻惑系魔法、炎系魔法など使うモンスターだったと思う。


 手には鋭い爪があり、小さな三又の槍を持って、素早さをいかして攻撃してくる。


 小さな蝙蝠の羽があるが、方向転換の時に使うだけで、魔法で空中を飛べると言う設定を見たことがあった。

 小悪魔と言う魔族なのだからそれなりに強さは持っているだろう。


 美少女系のゲームでは人間に近い見た目で出てくる作品が多く、小さなかわいい蝙蝠の羽としっぽがあり、ツンデレ系のキャラで出てくる記憶がある。


 12匹ほどいるな、こちらを睨みつけている。


 今のところ警戒してるのか動く気配は感じられない。

 素早そうなので、ちょっとでも目を離すのは危険だ。


 母親ローパーも、警戒をしてる。


 ?  母親ローパーは全身を震わせた。

 体が膨れ上がり、白桃色の肌が赤黒色にかわる。

 大きさも一回りほど、巨大化している。

 

 バーサクモード、ゲームでHPが7割まで減ると変化する。

 攻撃力特化のモードに変化をした。


 魔法? スキルか?

 今まで使っていなかったスキルらしきものまで使いはじめている。

 本気で戦闘態勢に入ったということか。


 赤黒色の肌色に体が変わったら、突然、薄い透明な膜のようなものにつつまれた。


 シールド? 魔法の防御シールドなのか、それに加え青い光のような閃光せんこうに包まれる。

 包まれた瞬間に体が硬くなったように思える。


 肉体強化のスキル、硬質化ハードチェンジか?


 どうして今になって、スキルと魔法らしきものを使いはじめたのだ。

 先ほどヒュドラとの戦いの時に使えば良かったのではないのか?

 子供が4匹も居なくなり、説破詰まった状態だ。

 これからなりふりを構わず攻撃を繰り出すのかもしれない。


 母親ローパーは、口から赤い霧のようなものを噴出した。

 小さな部屋が全体を赤紫色の霧に包まれていく。


 強力な毒霧だ。

 毒を吸って壁にはりついていたインプの数匹が地面に転げ落ちた。


 その転げ落ちたインプの体に大きい触手でたたきつける。

 3匹ほどのインプがペシャンコにつぶれた。


 大きい触手も硬く強化している。

 インプをたたいた、床が陥没しているのだ。


 他のインプも毒霧のせいか、体をふらつかせ意識がもうろうとしている。

 そんな状態でも、2匹のインプは飛びかかり襲ってくる。

 手には鋭く伸びた爪が見える。


 母親ローパーは鋭い爪をかわす、だがインプの攻撃は速くさけきれない。

 大きい触手の1本が切りさかれてしまった。


 硬質化ハードチェンジしているのに触手さえ切り裂くのか、私も少しだけ体にかすってしまった。

 ほんの少しかすったみたいだが、体の傷がひらき、どろっとした透明な液が出てきてしまう


 他のふらふらしていたインプも、状態異常が回復したようで、こちらに3匹ほどむかってくる。


 近づいた瞬間、母親ローパーの体が激しく光り、雷撃がはじけ飛ぶ。

 雷系の魔法だろうか、激しくスパークしている。


 広範囲の雷撃攻撃のため、小部屋全体に電撃が走る。

 感電し、床に崩れ落ちるインプが多数でてきた。


 床に崩れ落ちたインプに近づき、大きい触手でたたきつけ、とどめを刺す。

 床に崩れ落ちたインプは5匹、ペシャンコにつぶれてしまった。


 残りのインプは4匹か、1匹は子供を連れさったインプだが見当たらない。

 いつのまにか逃走してしまったようだ。


 残り3匹だが数が減ってもインプは逃げだそうとはしない。

 3匹のインプは目の前に炎の塊を作り出す。


 魔法か? 炎の塊を投げつけてきた。


 魔法の火炎球魔法ファイヤーボールか母親ローパーにあたる寸前に魔法のシールドの膜に弾かれ炎玉は消滅した。


 だか、インプは連続で、炎の塊を投げつけてくる。


 魔法のシールドを貫通して火炎球魔法ファイヤーボールがあたりはじめる。

 母親ローパーは炎に包まれてくる。


 私も炎の中でダメージを受けている。

 母親ローパーはたまらず奇妙な声で咆哮した。

 部屋全体が震るほどの奇声をあげる。


 3匹のインプは咆哮で委縮し固まる。

 その瞬間に、母親ローパーの頭の中央の細長い触手8本が伸びて来て、2匹のインプの体にあたりくし刺しにする。


 先端を鋭い槍状に変化させていたみたいだ。


 発射した時はかなりのスピードで、形状は細く長くなっていた。

 長くなるほど細く伸びでていたように見えた。


 最後のインプがわれに返り、逃走しはじめる。

 母親ローパーはすぐさま、頭部にある別の触手を出してインプの全身を絡みつかせた。

 インプの首に巻き付きしめ上げる。


 首に巻きついた触手は、ねじり切り、首を落した。

 頭部にある触手は体から出せる触手より硬く強力な武器にみえた。


 12匹いたインプは、逃走した1匹を残し全滅した。


 ! しかし、母親ローパーはいっこうに警戒を解いていない。

 なにか別のものに警戒しているようだ。


 ? 壁が動いた。


 なんだあれは、インプがつぶれたところに、透明な膜が這うように動いている。

 ペチャンコにつぶれたインプの亡骸を包みはじめる。


 あれはスライム? それも体長5メートルいや7か8メートルの巨大スライムがいるのだ。

 母親ローパーの大きさだと、体全体が覆われてしまう大きさだ。


 透明色だったのが水色に変化して見えてくる。

 こんなスライムはここにはいなかったはずだ。

 透明化し気配を消して隠れていたのか?


 巨大なスライムがインプの残骸を捕食してるあいだに、母親ローパーは逃走をはかる。


 赤黒色に体を変色させたまま、この場をすぐさま立ち去る。

 それも、ものすごいスピードで逃走を開始する。


 かなりの距離を移動したようだ。

 なんとか逃げのびられたのか……


 残念なことに、生まれてきた子供たちは、私を除いて食われてしまった。

 はかない命だったな、これは悲しい。


 ある程度進んだところに折れた柱、壁が崩れた残骸がある部屋にたどりつく、隠れるのにはちょうどいい、モンスターの気配はなさそうだ。


 警戒はいぜんとして、といていないのだが、母親ローパーは変色を解いて壁にもたれかかってしまった。

 かなり体力を消耗している。


 傷もひどい状態だ、大きい触手も1本失い、肌も焼けこげている。

 切り裂き傷も多くある。

 私もけがをおってしまった。


 母親ローパーは落ちついてきたようで、体ら触手を出し、私の事を触りはじめた。

 触手で私の傷を確認しているみたいだ。


 母親ローパーから白い淡い光のようなものが発光した。

 その瞬間に、私の火傷と切り傷が瞬時に治った。


 これは回復魔法なのか? 回復魔法ヒールを使えるみたいだ。

 母親ローパーも、失った大きな触手以外のけがは、治っているみたいだ。


 これは良かった、回復系魔法が使えることは大きいな。


 先ほどの戦い、たぶん母親ローパーはあの巨大なスライムを警戒して変化したのだろう。

 インプよりスタイムの方が怖いと感じたのだ。


 その前にヒュドラとの戦いであの変化能力を使えば余裕で勝てたのではないのか? 

 それともあのヒュドラになにかあるのか?


 ヒュドラを見た瞬間、私も嫌な悪寒が感じた。

 天敵というものがいるのだろうか。


 30分に満たない戦いの中、逃走という形で終わった。

 母親ローパーは子供を4匹失い、自らも大ダメージを負ってしまった。


 このダンジョン内で生きる過酷さを身をもって体験した1日だった。


 生まれたばかりの私だが、強くならなくてはいけないと心にきざんだ……

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