第47話 見えてきた事……
蝙蝠のモンスターを倒し終え、いつもどおりに食べる準備をする。
子供たちを床面に置きはじめた。
私は彼女たちの前に立ち、見張りをする。
黒服のボディーガードってこんな気分なのかなと思ってしまった。
でも、こちらのほうが危険度高すぎなんだけどね。
彼女が蝙蝠のモンスターの内臓を取り出し子供たちに与えはじめた。
今日は先に子供たちに食べさせてしまうのね。
いつもと違うと思っていたら、索敵の反応に引っ掛かりがある。
1匹か、これは見覚えがあるモンスターだ。
でもなぜここに?
このフロアでは見かけなかったモンスターの反応があるのだ。
距離があるが用心をしておいたほうがいいな。
確かここから3階層下にいるモンスターだ。
それも強くて凶暴性がありかなりひつこい、厄介なモンスターだ。
今は食事中だから動かないほうがいいかな。
距離もあるし、彼女たちがあわなければ問題ないはず。
どのみち、私が始末しに行かなくてはいけないモンスターなので、今は索敵を全開にして見守ろう。
…… …… ……
まずいなこちらの方面に動いている。
あいつ、足がものすごく早いから襲われると厄介だぞ。
やばい、こちらに気づいたのか、ものすごいスピードでむかってくる。
彼女のほうも気づいているのだが、子供たちが夢中になって蝙蝠のモンスターを食べているので対応できないみたいだ。
もう来やがったか。
ラプトルのモンスターが見えてきた。
私は前方に中位範囲雷撃魔法を唱え迎撃する。
「バシューン、バリバリバリ」
ラプトルに雷の衝撃破が直撃する。
ラプトルは中位範囲雷撃魔法をまともにくらい吹っ飛んで壁にぶつかり倒れこむ。
だが平然と立ち上がりこちらへ向かってきた。
中位範囲雷撃魔法の雷を「バリバリ」とまとっていても平然としている。
こいつ全然痛みとか感じないみたいで、ダメージなど関係なく襲ってくるんだ。
それも耐久力が高く、素早い。
体長が3メートルある、恐竜のモンスターだ。
漫画でラプトルと言われるモンスターで、ファンタジー世界では人間を乗せる馬の扱いで出てくることが多い。
でも違う、このダンジョンではとんでもなく頭の弱い凶暴なモンスターだ。
3階下のフロアで戦ったけど、ひつこい、本当にひつこい。
いくら殴っても殴って噛みついてくる。
本当にバカみたいに噛みついて来るのだ。
歯が鋭く、強力な歯と顎でひたすら噛みちぎる。
私は何度こいつに噛まれたことか。
ファンタジー世界ではよく調教されて馬よりも賢く、強く頼られて出てくるが、このダンジョンではジェラ〇ック〇ークの映画のまさに凶暴な恐竜だ。
神経があるのかも不明なくらい痛みを感じない。
鋭い爪をした小さな手があるが、手の部分をはぎ取っても、普通に攻撃し襲ってくるのだ。
ない手で引っ掻いてくるんだよ。
あまりにも凶暴なんで、ある程度下の階層で数を減らしたんだけど、ダンジョンからまた生まれ出てきてしまったのか?
危険なモンスターなんだよね。
獲物を追いかけてこちらの階に紛れこんでしまった可能性が高い。
まったく厄介なことになったよ。
聖魔絶対魔法領域魔法の魔法の準備をする。
上位防御魔法を使わないと彼女たちが危険だ。
聖魔絶対魔法領域魔法の魔法を使おうと思っていた時に、私の前に彼女が立ってしまった。
あれ、子供たちは?
確認すると後ろで縮こまって固まっている。
私は先に子供たちがいる中心へ、神剣を使い魔法を付価させ聖魔絶対魔法領域魔法の結界を張る。
魔法が発動し聖魔絶対魔法領域魔法の結界が展開する。
青い半円球の膜が広がり、外側には金色の象形文字が浮かびまわりはじめる。
これでオッケーだ。
絶対防御フィールド、やつではこれを破れまい。
問題は彼女か。
私の前に立ってラプトルと向きあっているが、私はどうしたらいい?
彼女は勝てると思うが、無傷では済まないかもしれない。
…… …… ……
彼女はラプトルと向きあっている。
ラプトルが猛然と襲いかかってきた。
彼女は襲ってくる牙をかわし、大きな触手をカウンターでランダムで打ち込む姿が見えた。
「バシュ、バシュ、バシュ、バシュ、バシュ」
正中線5連付き? 5発ほど打撃があたったのだが……
打撃が弱すぎる、いくら雷をまとって、混乱魔法付加しても威力がなさすぎだ。
ラプトルは、すぐに体制を整え襲ってくるぞ。
私は大きい触手で割り込み、打撃を放とうと思ったのだが、そのままラプトルは動かず倒れこんでしまった。
「えぇぇ」
どう言うこと? あれだけ耐久力があるラプトルが今の打撃で倒れるとはおかしくないか?
中位範囲雷撃魔法を食らって平然と起きあがってきたんだよ。
なんかおかしくない?
もっとおかしいのは、ラプトルの生命反応が消えていたのだ。
……マジかよ、死んでるよ。
ちょっとまて、彼女はラプトルの秘孔でもついたのか?
あきらかにおかしいだろう。
ただランダムに殴ったようにしか見えなかったぞ。
彼女は倒れているラプトルにむかい、大きな触手の先端を槍状に変え、頭と胸辺りに突き刺し止めを刺した。
あっさりとラプトルを倒してしまった。
…… …… ……
彼女は子供たちに向かうが私の張った聖魔絶対魔法領域魔法の結界のせいで入れない。
すぐさま私は結界を解く。
彼女は子供たちとむきあい、体から無数の触手を出して触りはじめている。
うむ、ひとまず危機は去ったのだが、なんとも腑に落ちない戦いだった。
いったいなにがおこったんだろう?
まず私から見た感じ、大きい触手に電撃をまとわせて5発くらい上段から殴っていたのは見えた。
魔法で混乱魔法が付価している効果もあったのだろうが、効果は少なそうに思える。
殴ったのは上段から下段へ、正中線状に殴っていた。
確か人間でも急所があり、格闘漫画で正中線4連付きとかを使う格闘家がいたけど、それと同じようなことをやったのかな?
急所を狙い確実に仕留めたとしか見えないんだ。
あきらかに彼女はモンスターの急所が見えているのは確かなようだ。
目が良く見える?
いや違うな、実はローパーって目が良いのは確かだが、意外に見えづらいんだよ。
外側に大きな触手が8本ある、それが柳の用に垂れ下がって邪魔で長い髪の毛があるように見えづらくなる時がある。
目のような赤いルビーの宝石が、細かい間隔でまわりに360度の範囲についていて全体的に見える。
目は良いはずだが、垂れ下がる触手があって、見えづらくしているのは事実なんだ。
! もしかして、まさか、とある考えが浮かんだのだが、まさかね。
彼女が何やらこちらへ近づいてきた。
子供たちに蝙蝠のモンスターを食べさせ終えたらしく、自分も食べ終わってしまったらしい。
それで私に向かいなにか言っているようだ。
ラプトルにむかい、触手でなにかジェスチャーしている。
うむ、倒れたラプトルにむかって触手で線を引くように合図をしてくるのだ。
もしかしてこれって私に切ってくれと言っているのかな?
私は神剣を出し、彼女が示すところに剣の刃をむけ置いた。
どうやらラプトルを切る意図はあっていたけど、切る場所が違っているらしく彼女の言うとおりに調整して切る場所を整える。
彼女のOKが出たので、神剣でラプトルを切りさく。
切り裂いたのは胸まわり付近だ。
神剣で切り裂いた。
刃を乗せて上から力を入れただけなのに真っ二つになってしまった。
あいからわずとてつもない切れ味をしている。
でも、なんでこんな細かく指示したんだろう。
切り裂かれた上部胸まわりから、小さな丸い黒く染まった宝石のようなものが出てくる。
! これってモンスターにある魔核ではないか、大きさはゴルフボールくらいの玉だ。
拾い上げると嫌な感じがする。
やはり魔核のようだな、持っていると気持ちが悪い。
拾いあげた魔核には大きな亀裂が入っており、ちょっとだけでも力を入れたら砕けそうだ。
私が魔核を見ていたら、彼女は切り裂いた下半身のほうを子供たちのほうに持っていってしまった。
残りは私に食べろと言っているみたいだ。
彼女は魔核を避けて切りわけたのだろうか?
魔核を見ると気分が悪くなるので、どこか違う場所に捨ててこよう。
索敵をし、モンスターがいないか確認してから動き出す。
この魔核は子供達に触らせてはいけない物だ。
私は別の部屋に移動する。
移動した別の部屋で魔法を使い魔核を壊してしまう。
子供たちに魔核を近寄らせるのは良くないことだと、直感で感じとれた。
もしかして彼女が、モンスターを解体し内臓を子供たちに与えてるのは、他のモンスターの魔核を避けているのではないかとも思えてきた。
いつもは彼女は丸ごと食べるのに、子供に餌をあたえる時はやけに慎重にモンスターを弄っているからね。
大人は魔核を食べて大丈夫でも、子供が食べてしまってはいけない食べ物と同じ扱いなのだろうか?
人でははちみつとかはよく言われる食べ物だったりするな。
理由までは詳しく聞かなかったけど、与えてはいけないといわれる。
ニュースでも間違って食べさせてしまって、子供が亡くなった話とか聞いたことがある。
いくら凶悪でタフなモンスターでも何かしらあわない食べ物はあるだろう。
特に違うモンスターの魔核とかなんかありそうだな。
モンスターの世界も意外に奥深いな。
いろいろ知らなかったことが少しだけ見えてきた。
それよりも気になる事がある。
帰ったら検証してみよう……




