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第3話 狩りの仕方……


 母親のモンスターは、体から出している触手で子供のモンスターを絡めはじめた。


 私を含めた5匹の子供を、触手で絡め胴体に張り付かせたのだ。


 どこかに移動するのだろうか? このダンジョンはざっと見た限りでも巨大だ。

 部屋、通路、柱などが桁違いに大きく見える。

 まるで巨人が作ったと思われるほどの大きさなのだ。


 外壁の崩れや巨大な柱が折れて、転がっているのも多くみられる。


 朽ち果てた古代遺跡と思われる。


 モンスターたちにとって、隠れ住むには良い環境なのか、これからの事を考えると気になるな。

 母親のモンスターについていって詳しく見て回ろう。

 

 …… …… ……


 母親のモンスターに連れられてダンジョンを徘徊はいかいしている。


 このダンジョンは巨大だ。

 通路も部屋も天井も広く巨大に見えるのだ。

 5メートルクラスの巨人が余裕で通れる感じで造られている。

 

 あれ、もしかして、生まれたばかりで小さいから感覚が間違っていて錯覚をおこしているのか?


 このダンジョンは人間から見た場合、それほど大きくなくて、実はこのモンスターが小さく、単に部屋や柱が大きく見えるだけかもしれない。


 人間が4メートルクラスの母親のモンスターにあったらどうにもならないだろう。


 もしかしたら、私の勘違いかもしれない。

 人間がいるのかもわからないのにそんな事を思うのもおかしな話だ。


 …… …… ……


 そういえば、この母親のモンスター、雌? それとも雌雄同体? 性別があるのかわからないが、私を生んでくれたのは確かだ。

 名前はないと思うので、母親ローパーと呼ぶことにしよう。


 彼女は歩くスピードが思ったより早い、なんの目的で徘徊はいかいしているのかわからないがかなりの距離を進んでいる。


 このダンジョンの中は、迷路のような部屋が数多く存在する。

 まるでゲームでありそうな仕様でできている。


 巨大な鬼のような石像、モンスターをかたどった彫刻、通路の壁には象形文字が刻まれており、凝った作りになっている。


 作られた目的は、さっぱりわからない。

 ゲームにありそうなダンジョンと思われるが、特有の罠みたいなものにははまっていない。

 罠があるのだろうか、あると怖いな。


 足が止まった? なにかを警戒してる。

 突然、奥の通路から何かが突進してきた。


 母親ローパーは、素早く回避する。

 突進してきたのは蜥蜴のモンスターだ。

 壁にぶつかりめり込んでいる。


 これって蜥蜴とかワニ系の爬虫類のモンスターだな。


 壁に頭がめりこんでいた蜥蜴のモンスターは、すぐさまぬけだしてこちらを見ている。


 蜥蜴だろうか? 頭の部分が銀色で鉄の兜をかぶった容姿に見える。

 体の部分はこげ茶色で光沢があり、ゴツゴツした硬そうな外皮だ。

 大きさは3メートルはある。


 確か海外でコモドドラゴンとか言われる蜥蜴をテレビ番組で見たことがあるが、それをでかくして凶悪にしたってやつか、このダンジョンにはこんなモンスターがいるのか。


 確かコモドドラゴンは肉食で危険な蜥蜴なんだよな。

 それがかわいく見えるくらいあきらかにやばそうなモンスターだ。

 こちらをじっと見てる。あきらかに獲物として見ているな。


 母親ローパーのほうが体格は大きい。

 そんな事は関係がなく襲ってくるのか、このダンジョンてかなりの危険度が高いのではないのか? 

 あきらかにこちらを食べるき満々な目をしている。


 母親ローパーは子供をつれているのに逃げる気配がないようだ。

 こちらも蜥蜴のモンスターを獲物として認識しているようだ。


 体格は母親ローパーのほうが大きいが、素早さは蜥蜴のモンスターが勝っている。

 どうやって倒すのかが見ものだな。


 少しだが母親ローパーは壁側に移動している。

 もしかしてさっきのように壁に突っ込ませる気だろうか?

 そんな事を思っていたら、蜥蜴のモンスターはこちらに突進してきた。

 かなりの速さだ。


 母親モンスターは下の外皮付近から不明な粘液を前に出した。

 出した瞬間に突進してきた蜥蜴のモンスターを素早くよける。

 この体格でも結構な素早さがある。


 蜥蜴のモンスターはまた壁に突っ込んでしまった。

 こいつ突進するしか能がないのか、でもすぐに壁から這い出てしまう?


 あれ? 今度は足と体をくねらせてジタバタさせているだけで出てこられない。

 あぁ、そうか先ほど出した粘液ですべるのか、足と胴体がすべってしまいジタバタさせて動きを封じているんだ。


 なるほど、この母親ローパーは意外に賢いな、蜥蜴のモンスターに対応できる対策と知恵があるのか、私は感心する。


 頭が壁にめりこんでジタバタしている、蜥蜴のモンスターに近づき、頭部にある太い触手で殴打しはじめた。


 「ドゴン、ゴン、ゴン、ドゴン、ゴン、ゴン、ドゴン」

 数多く殴打をくわえているが、硬い外皮に阻まれ、うまくダメージをあたえられないように見える。


 子供たちを背負っているせいか、力が入っていないみたいだ。

 これはまずいのではないかと私が思ったときに、蜥蜴のモンスターは壁からぬけだしてしまった。


 これはピンチだ、こちらに顔をむけ体制を立て直そうとしている。

 その瞬間に母親ローパーは大きな触手を腹の下に入れて、蜥蜴のモンスターをひっくり返してしまった。


 おぉ、これはすごいな見事にひっくり返った。

 蜥蜴のモンスターはおきあがれずそのままジタバタしている。

 すぐさま大きい触手を使った殴打がはじまった。


 「ドスン、ドスン、ドガ、ドガ、ドスン、ドスン、ドガ、ドガ」

 先ほど殴打した音と違う音が聴こえる。


 腹の部分は弱いみたいだ。

 ダメージがとおっていることが音でわかる。

 蜥蜴のモンスターは動かなくなりはじめる。


 殴打をやめ、今度は触手をのばし首と手や足などに絡め付き絞めはじえめた。

 しばらくして息の根をとめたのを確認してから、ゆっくり触手を戻しはじめる。


 なるほどモンスターにしては、感心させられるほど手際のいい狩りかただった。

 この母親ローパーは賢くてとても強い。

 私は少しだが安堵感が湧きあがってくる。

 

 狩りとった蜥蜴のモンスターを触手で絡ませて、近くの部屋に入った。

 部屋の隅に移動している。

 かなり警戒しているようだ。


 しばらくして安全だとわかったようで、体に触手で張り付かせていた私と子供たちを床に置かせる。

 母親ローパーは蜥蜴のモンスターを仰向けにし、腹を見せた状態にする。

 私と子供たちを触手でうしろに移動させる。


 仰向けにした蜥蜴のモンスターの腹に、口から消化液を出して吹きかける。

 ドロッとした粘液が瞬時に蜥蜴のモンスターの腹を溶かす。

 溶かした腹を体から無数に出した触手でまさぐりながら食べはじめている。


 「ぐ、ぐろいな」

 少しだけ食べたところ、今度は内臓部分をうまく触手で取りだし子供たちの口元に運んでいく。


 この時がきたのか、なんとなくわかっていたがこうも早く来るとは思っていなかった。

 やはり食べるんだ。


 私は石片だけで結構ですよ。

 こんな内臓を直接なまで食べるなんて、でも食べなきゃいけないみたいだ。

 せめて目を閉じた状態で食べたいのだが、そうもいかないようだ。


 決心して食べはじめる。

 危険をおかして、母親ローパーが狩ってくれたのだ。

 食わなくてはいけないだろう。


 それにこれからは主食になるはずだ。

 我慢してでも食べるしかない。

 

 味は…… 表現しようがない。


 内臓をきれいにとって子供たちに食べ与えたら、今度はその蜥蜴のモンスターを母親ローパーが頭から食いつき「バリボリ」と食べはじめてしまった。


 うそでしょ、硬い外皮なはずだ。

 壁に頭がめり込んでいたし、殴ってもほとんどダメージがとおっていなかったように見える。


 それをまるまるかみ砕いてしまうとは、なんて恐ろしい歯の力だ。

 それも3分ほどの時間でかみ砕いて、全部食べてしまった。


 体長が3メートルはあった蜥蜴のモンスターはどこに入ってしまったんだ。

 あれだけでかいのに砕いてまるのみしてしまったのか。


 凄まじいなこの母親ローパー、人間だったら丸呑みされ、あっという間にかみ砕かれて終わりだろう、恐怖さえ感じる。


 床が血まみれになり、生臭い血の匂いが漂う。

 この場所から遠ざけるためか、私と子供たちを早々と触手で絡んで移動をはじめた。

 寝床にしている部屋へ戻るようだ。


 今回の狩りはモンスターとして生きるために大変参考になったと思う。


 生き残る方法を見させていただいたので、ありがとうと言わさせていただきたい……




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