第28話 注意……
魔法の検証でかなりの成果が得られた。
満足した気分だ。
これでより強くなる構想がうかぶ。
一休みしてから、いつもどおり起きて石片を食べる。
今日から狩りに出かけよう。
非常食用の倉庫の中が、先ほど見たら空っぽになっていた。
狩りに出かけなければならなくなってしまった。
昨日、考えていたイメージトレーニングをおこないながら狩りをしようと思う。
魔法の検証で新たに使用できる魔法を試そうとも思っている。
今回の狩りは今までと違った狩り方の手法をもちいようと考えている。
モンスターの特徴を詳しく調べたいのだ。
いままでは、不意打ち狙いの速攻狩りをしていたので、モンスターの詳しい知識が得られなかった。
観察眼をやしないたいので、今回は危険を犯し正面から戦いたいと思っている。
安全を確保したいのだが、モンスターの知識も得たい。
微妙に難しいところだ。
最悪、危なくなったら逃げる算段も今回は頭に入れよう。
正直、今まで速攻で倒してしまったのでどんな攻撃をモンスターがしてくるかわからない。
まさか超重力圧縮魔法の魔法を使って来たらどうしようか、即死確定だ。
ないとはいえないので怖いところだな。
少しでも強くなるために、努力をおこなうのは懸命な判断だ。
でも命があってのものだねとも思ってしまう。
後をついてくるローパーの彼女の同行も注意しないといけない。
今までの狩りで横取りしていたから、問題だったけど私は何も言えなかった。
今回は怒るようなしぐさをしてみようと思う。
今までが甘やかしすぎていた。
今回は注意をさせてもらおうとしよう。
一番に勇気のいるところだ。
狩った獲物は先に食べても構わないけど、今回は倉庫の補給の件もある。
全部食べられてしまったら非常食の保管ができないのだ。
特に今回は非常事態だった。
神剣があったからこそ傷が治ったようなものだ。
治っていなかったら食糧がつきて、厳しい状態におちいっていただろう。
今回のように、何かあった時に少しでも備蓄はしておきたいんだ。
でも、それがこうも早く食べられてしまうとは、予定外と言うしかない。
冒険者たちがこのダンジョンに来るかもしれない。
前回のような戦いが起こったのではたまったもんではない。
下層からも、強いモンスターが来る可能性もある。
少しでも余裕があるように念のために、食糧を確保しなくてはいけないのだ。
今回は非常食があって本当に助かったと思う。
…… …… ……
狩りに行く準備をしよう。
神剣をどうするか悩むところだ。
刀身がむき出しで鞘がないのは困りものだ。
鞘の替わりになるものをモンスターの体から剥ぎ取って代用したい。
その辺も吟味して今日の狩りはおこなう。
神剣は倉庫にしまってお留守番してもらおう。
今日はいろいろと面倒なことになりそうだ。
…… …… ……
準備ができたので狩りに出かけ始める。
当然のごとく後ろからローパーの彼女もついてくる。
イメージトレーニングをしておこうか、硬くしなやかな高密度の細胞を圧縮したような体全体を思い描く。
魔核が鋼の硬さから徐々にダイアモンド、それ以上の物質に変わるイメージしながら戦う姿を思い描く。
それでは狩りに行くとしよう。
索敵をかけモンスターの動向を探ってみる。
先日と違ってモンスターの気配が感じられる。
やはり異常だったらしい、冒険者たちはいったいなにを仕掛けたのだ?
今も油断せず慎重に索敵をおこなった方がいいな、まさか残っている仲間がいる可能性もあるのかもしれない。
! この先の通路、右に行ったところにモンスターの反応が感じられる。
この感じの動きから蛞蝓型モンスターか?
3匹、それも1体は巨大な体格をして言る。
親子連れかもしれない。
蛞蝓といってもでかいんだ。
体長50センチから3メートル近いのもいる。
動きはゆっくりなので、速攻で狩れるのだが、今回は観察しながら戦いたい。
危険だったら逃げることも視野に入れよう。
今までは、不意打ちで、倒しているのでどんな攻撃をしてくるかまったくわからないんだ。
お、いたいた、索敵どおり3匹いる。
蛞蝓ではない、うみうしだった。
いや、違ったアメフラシだ。
アメフラシの巨大なやつだ。
見た目が愚ろくて気持ちが悪い。
巨大になったせいか、気持ち悪さがよけいに目立つ。
アメフラシのモンスターの1匹は体長1.5メートルはある巨大だ。
後ろについている2匹は80センチくらいはある。
子供でも大きいな、親子連れと言う事か。
こちらにはまだ気づいていない。
始めて見るモンスターだ。
今まで戦った事はない、見ため蛞蝓のモンスターと似ているが色違いではないのか?
アメフラシは、確か海で生きる軟体生物だったはず。
体長30センチくらいになり内臓とかもたしかあったはず?
蛞蝓とは大きさも、構造も、何もかも違う。
初見だ、気を付けないといけない。
不意打ちしたいが、今回は正面から行く。
アメフラシのモンスターの前に出た。
これからどうしようと思っていたら、こちらに気づいたらしく襲いかかってきた。
私の方に目掛け、口から不明な液を飛ばしている。
消化液か?
吹き付ける液が私に届かず、床面に落ちた。
「ジュシュー」
音をたてながら床面が溶けはじめ煙が出ている。
子供のアメフラシのモンスターも2匹とも同じように消化液を吐き出し、3匹全員で私をめがけて攻撃してきた。
私は素早く後方へ下がり一端距離を置く。
他にどんな攻撃をしてくるか観察する。
動きは遅い、首が柔らかく、240度位は動かせるみたいだ。
止まった状態で消化液を広範囲に吐きだしている。
消化液を吐くのがとまった。
巨大なアメフラシのモンスターの頭上に、10センチくらいの光の玉があらわれた。
魔法だ、これは光属性魔法、光玉魔法?
光玉魔法の魔法攻撃を飛ばす。
とっさに上位魔法防御盾魔法の魔法を使い攻撃を防ぐ。
驚いた、光属性攻撃魔法を使えるとは……
子供の2匹のアメフラシのモンスターも頭上にも光玉魔法があらわれ、私にむかって攻撃を仕掛けてくる。
私が使用している上位魔法防御盾魔法の効果で体に届く前に光玉は打ち消され消滅した。
3匹で連続に光玉魔法魔法で攻撃を仕掛けてくる。
巨大なアメフラシのモンスターの頭上に光玉がより激しく輝きだした。
「ヒューン」
強く輝いたと思ったら、私の大きい触手の1つが焼け焦げて傷ついている。
なにあれ、マジか、超高速のレーザービームの攻撃をしてきたぞ、信じられん。
私の上位魔法防御盾魔法をいともたやすく貫通させてきたのだ。
これって私は、のんきに観察している場合ではないよ。
油断はしていなかった。
いつでも対応できる体制は整えてきたのだ。
現に光玉魔法の連続魔法攻撃は防げた。
今みたいな超高速のレイザービーム攻撃をされては対応はできない。
それに今の私ではレイザービームを防ぐ手立てがあるのか?
最上位物理魔法防御盾魔法でも防げる気がしない。
ここは攻撃だ。
私は5本の大きい触手を使い攻撃の準備を整える。
先端を槌状に変え、スキル硬質化をかけ反撃に移る。
俊足で間合いを詰め、3匹のアメフラシのモンスターに連続で打ちつけた。
「ドゴ、ドッ、ドゴン、ドッドッ、ドゴン、ドゴン、ドゴ」
いつもより力がはいってしまった。
3匹のアメフラシのモンスターはつぶれ絶命した。
マジで本気になった。
アレスと戦ったような危険を感じた。
あのレイザービーム攻撃は絶対にやばい。
少しだけの戦闘だった。
アメフラシのモンスターの攻撃を全部把握していないはずだ。
今まで不意打ちをして運よくモンスターを倒していたのだと痛感させられる。
これはまいったな、油断とか慢心とかそういう話ではない。
狩るか、狩られるかの、問題なのか、観察しながら戦っている場合ではない。
本当に怖いな、とりあえず頭を切り替えよう。
広範囲索敵を開始し他のモンスターがいないか調べる。
他にいないことを確認できた。
おっと、私の相棒のローパーの彼女が、すでにつぶれたアメフラシのモンスターの前にいるよ。
触手を出して食べはじめるつもりだね。
今回は、気が引けるが威嚇をして注意をする。
私は彼女にむけ、先に食べるなと思いを込め威嚇の声を張り上げた。
「さkiNita食renea!」
ローパーの彼女は、いきなりの私の威嚇を聞いて驚き見をすくめた。
すぐに通路の後ろへ下がり壁に寄りかかって縮み込んでしまった。
…… …… ……
あぁ、悪い事をしてしまった、脅えてしまっている。
ちょっと声が大きすぎたか、どうしたものか。
これからが問題だった。
どう対応していいか、考えていなかったのでわからなくなってしまった。
どうしよう。
まいったな、しばらく考えている。
私のほうが固まってしまった。
あぁ、駄目だ、駄目だ。
どう対応していいかわからん。
とりあえずいつもどおり狩ったモンスターを譲ってしまおう。
それしか考えがうかばなかった。
下手なことはするのではないな……
私はつぶれてしまった、大きい方のアメフラシのモンスターを体から出す触手でうまく持ち上げ相棒の彼女の前へ持っていく。
「たBeナさei」
食べなさいと感情を込め声を出す。
まだ彼女は縮こまっているので一端距離を開ける。
悪い事をした、私が怒るとは思っていなかったのだろう。
なんか罪悪感を感じる。
彼女は一向にアメフラシのモンスターを食べよとしない。
私が先に子供のアメフラシを食べてしまおう。
私が食べたら食べはじめるかもしれない。
2匹のつぶれたアメフラシのモンスターを食べはじめる。
食べ終わった時に、相棒の彼女が起きだしてアメフラシのモンスターを触手を使って食べはじめた。
良かった食べはじめてくれたよ。
こういう時まったくどうしていいかわからない。
これは特別に難しい。
前世でも、人のご機嫌の取り方もわからなかった。
まして、私が怒鳴って怖がらせることなど一度も経験したことがない。
それに加え、モンスターのご機嫌の取り方などわかりもしない。
あぁ、このあともどうなるかわからない。
もしかしたら私の元を去ってどっかいってしまうかもしれない。
このまま去って行くならば仕方ないのか……
…… …… ……
アメフラシのモンスターを食べ終えてしまった。
彼女も食べ終えたが一向にこちらには近づいてこないな。
彼女に近づいてみると怯えているようだ。
「行kuよ」
行くよと思いをこめ、彼女に話をかける。
そう言ってすぐに振り向いて歩きだす。
これで、付いてこなければそれまでだ。
ま、いたしかたないか……
私は歩き出したら、彼女も動き出し、離れた後ろをついてきている。
良かった、どうなるかと思ったが、今までよりは距離はあるけどついてきている。
もしかして、三歩がって後ろを歩く、大和撫子状態になったのかな?
それだったらいいけど……
この言葉の意味って『俺になんかあったらすぐ逃げろ』と言う意味があるらしいんだよね。
ま、いいか、次に狩りをしたらどうなるかそれまではこのままでいこう。
さてと狩りの続きに行くかな……




