第23話 Re:神々たち
(天空光輝翼都市アヴァロン)
(中央管制室)
「イシス、これはどういうことだ」
橙色翼の生やした、大柄の男が怒鳴りつける。
年齢30歳前後金髪の長髪で背中に6枚、橙色の翼をはやして白い布をまとった男だ。
ギリシャ神話に出てくる神々のような見た目である。
「なあに、フェリオンそんなに怒らなくてもいいじゃない」
答えたのは若い20歳前後の絶世の美女、6枚の白色翼をはやし透き通る水色の髪を腰下まで長くはやした女性だ。
「いきなり地上に降りたと思ったら試作品の剣まで持ち出すとは怒るに決まっているだろう。
それに敵対している人間などに手を貸すなどと、どういうことだと聞いているんだ」
「まあ、なんとなくね」
「なに!」
「暴食の魔王グラトニーが動いたでしょ、ただそれが気に入らなかったというだけの話よ。
だってあいつらを動かしてるの獣神たちでしょ。
あいつらは臭くて前から気に入らないから、ちょっと人間達に力を貸しただけじゃない。
それにあいつら同士ぶつかりあえば勝手につぶしあってくれるじゃない。
それが良いんじゃないの」
「だとしてもだ試作している剣の一振りを持ち出すとはどういうことだ。
それにあの人間のガキ、太古の神々の血を宿し目覚めさせてしまったではないか。
おまえが助けなければそのまま終わっていただろう。
余計なことをしてくれたな。
おれたちはやつらにどれだけ苦汁を嘗めさせられたと思っているんだ。
それを手助けするとはな、気がしれん」
「いいじゃないの古代神とやらはすでにこの地から離れて行っているんでしょ。
いないんだったらなにも問題はないでしょうに」
「だがな、この星の住人は古代神がほどこした力が備わっている。
いや正確に言えば、この星の生物全般にやつらが作った遺伝子が組み込まれているのだ。
やつらが作った遺伝子の解析も終わっていない。
あの能力だ、あの力の発生させる解析が全部済んでいないのに安易人間にかかわるとは気がしれん」
「ああ、この星では魔法とか言う超能力のことね。
星のエネルギーから精神を通して思いのイメージを具現化させるって能力でしょう。
私たちが使う能力とは構成がまったく違っているのね。
それもこの星の生物に遺伝子が入っているもの全生物が使えるっていうとんでもないものよね。
それがモンスターだとしても」
「ああ、そうだ。
その解析もまだ終わっていない。
それにおまえがかかわったあのガキは特別だ。
古代神の血が流れていたらしく目覚めさせてしまったではないか。
あの血と能力には特別なプロテクトがされておりこちらの技術でも全く解析できていない。
それどころかプロテクトの防衛反応で解析すると甚大な被害が出る。
おまえも経験しているだろう」
「あの時は1つの町灰にしちゃったって言う事故ね。
私は研究に関わっていなかったけど友達がいてね消滅してしまったわ。
悲しかったわね」
「おまえな」
「でも今は古代神がいないので別に問題ないじゃない。
現在この星は私たちが統治しているのよ。
でも古代神ってどうしてこの星から去ってしまったの?
あなたは一度あいつらに会って交渉したことがあるんでしょ」
「ああ、あるが、言語のシステム不一致かやつらの言っていることが理解できなかった。
われわれの営業成績がどうのこうのとか、上司からの支持を受けないと答えられないとか言っていたが、長く話していたがさっぱり理解できなかった。
文化の違いもあるからこの件はどうしようもなかった。
ただこちらとしてはどういう生命体か見てみたかっただけで、最初から交渉するつもりもなかったというわけだ」
「でも去りぎわになにか言ってきたんでしょ?」
「ああ、星団法に引っかかりますので撤退します。
とかわからない記録が残されている。
それだけだ。
それより試作の剣をどうするのだ」
「大丈夫よ。
あの剣は古代神とやらの星のエネルギーを思いを力に変えるってのを参考に作ったのだから。
材料はそれなりに高質なものを使ったのだけどそんなに力をためられないし、思うように扱えなかったから失敗作なのよね。
データだけでもとれたんだからいいのではないかな、そんなもんよ。
それに今回は人間に貸しを作ったからそれでいいんじゃないの、そっちのほうが大きいわ。
あとでこちらで困ったら力を貸してくださいとか言えば貸してくれるはずよ」
「おまえな、なんていい加減な」
「別にいい加減でいいでしょ。
この世界は今のところ私たちが治めているんだし、他の神がちょっかいをかけてきたら勇者とやらをけしかければいいんだから。
そのために今回は魔王を倒しなさいってあの子供に言ったんだから」
「ほどほどにしろよな、おまえ」
「そんなことよりも地上に降りたせいで汚れてしまったわ。
それじゃ清めてくるわね。
またあとでね、フェリオン」




