表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
153/160

第153話 条件・・・


 私はパニクッてしまい、慌てふためいた様子を見せた。


 ゼピュロス隊長さんに問い詰めたが、ゼピュロス隊長さんは意外に冷静になって、自分で知っていた見解を教えてくれた。


 話を聞いてしまったら、何とも言えない気分になってしまった。


 「そうか、ネイビス大公の息子さんが死んでしまったのね。

 それも冒険者組合の本部と共にペシャンコになってしまったとはね」


 これは私がやらかしてしまったのかな?


 どうにも答えようがない。


 力を示そうとして、冒険者組合の搭を潰してしまったのだが、裏目にでたのか、まさかその中にネイビス大公の息子さんがいて死んでしまった可能性が高いとは。


 銀色の搭の全体を望遠透視能力ルビーアイ で透視した時に、あまり良い中の様子ではなかったんだよな。


 地下にある怪しい店があったので、偏見の目で見てしまい、それほど罪悪感もなく、魔法をぶっぱなしてしまった。


 懸賞金をかけられたと知って、冒険者とは敵対していたと思っていたけど、懸賞金をかけたのはあくまで冒険者組合のゾイド子爵であって、他の冒険者達はまったく関係なかったのかも知れないな。


 懸賞金をかけられたと聞いて、冒険者全員が敵だと思ってしまったのがいけなかったか。


 これは冒険者組合本部を破壊したのは勇み足だったようだな。


 私に懸賞金をかけたゾイド子爵と言う方もネイビス大公との決闘で亡くなられたとはな。


 ゼピュロス大佐さんの話からすると、ゾイド子爵側からの見解も聞いてみれば、確かに人間側から見れば納得できる言い分だよね。


 貴族をなりかざし冒険者家業を悪いようにやっていたように思えたけどこれは私の勘違いだったみたいだ。


 まったく会ったことない人だし、私に懸賞金をかけ使節団に暗殺部隊送り込む人で悪い奴だと判断してしまったみたいだけど間違った人物像で捉えてしまったらしいな。


 過去に魔物との取引などあって、冒険者として苦渋なことを受けていたのであったならば、私のような凶悪な魔物に対して、ゾイド子爵が取った措置もわからないことはない。


 実際に、知恵ある魔物がいけにえを要求している事件とかがあったのでは立場的に、同じような事をしないと考えるのは当然な判断だろう。


 ゾイド子爵からしてみれば、私との交渉などできることはないな。


 しかしゾニス伯爵を追い落としてまでやるものかな、いや人間追い詰められればそこまでやるだろうな。


 自分の主張を曲げたくなどないだろう。


 あらら、これは余計な事をやってしまったか。


 ネイビス大公の息子さんの件もあるが、私が知らないところで不幸な事がいろいろ起きていたのね。


 それも私は人間からみてかなり力のある魔物と認識されているみたいだから、影響力がかなりあったのね。


 そんなにでもないかなと思っていたのだけど、これは間違いだね。


 ・・・


 うーん 前世で人間だった時に小石を蹴る子供の話を思い出してしまった。


 ・・・


 どんな些細な事でも、先の事がわからず、そのおこないによって運命が変わってしまうと言う例え話で聞いたのだけど。


 一寸先は闇ということわざがあるけど、あれとはちょっと違う感じで心に残っていた事があったな。


 誰に聞いたのかテレビで見たのか、それともことわざの例えか四字熟語の例で似たようなものがあるかは知らないけれど、例え話で聞いたことがある。


 ・・・


 学校帰りの子供が道端にあった小石を、遊び半分で蹴ってしまってそのことで起きる不幸な出来事。


 子供が石を蹴った些細な件で人が知らない間に不幸が起きているとはね。


 子供が蹴った石は道路に小石は転がりそのまま小石は置かれた状態だった。


 しかし、この道は歩行者専用道路車両の通行は出来ない。


 ただ道幅が広く近所の人が頻繁に車両の出入りはおこなわれていた。


 子供は立ち去って知らないのだが、それから数分後自転車が通りその小石に乗ってしまいバランスを崩し自転車を乗った人が道路中央へはみだしてしまったところ対向車の車が現われぶつかってしまった。


 自転車に乗っていた人は打ちどころが悪く亡くなってしまったと言う。


 なんでもない不注意な事故の話だけど、それって誰が悪いの?


 歩行者専用の場所に侵入禁止指定の車にが入ってくるのは一番悪いのだろう。


 歩行者専用で自転車も進入禁止だったのでこれもルール違反だね


 でもいつも通りの日常で自動車も自転車も普通に通れていた。


 間違っているのはルール違反した自動車と自転車の人が自業自得だから責任はあるのだけど、子供が蹴った小石さえなかったら事故は起こらなかったかも知れない。


 それって小石を子供が蹴った事が原因の一つで自転車に乗っていた人は死んだと言っていいんだよね?


 そういう風に考えている人もいなくはないと言う事だね。


 小石一つで不幸な運命が待っているとは誰も思わないな。


 蹴った石さえなければ死なずに済んだかも知れない。


 交通ルールなど守らないで通る場所など多くあるから、もしかしたら似たような事故があるのかも知れない。


 知らない間に自分が小石を蹴った子供になっているのではそんな事が多数あるかも知れない。


 自分のちょっとした行為が、知らない間に知らない人が不幸な目に合っていることがおきてしまっているとは思ってはいらねないだろう。


 そんなこと考えて生きている者など、いないけどね。


 自分のちょっとした迂闊な行動が、知らぬ間に他人の大きな不幸に及んでいると言う事があると、何かで聞かされたことがあるのは確かだ。


 自分がやった行為を知らなければなんでもないのだけど、知ってしまったらどう思うのだろうとその時思ったのだけどな。


 前世でドラマや本で違う表現でちょっとした不意な行動で後から運命が変わるとか、あるけれどそれはドラマ状の事で自分がやっているとは思っても見なかったな。


 意外に前世でも知らないだけでいろんなことしでかしていたかも知れないな。


 今回の事は極端に大きなことをやってしまったので、自分にも見える形で跳ね返て来たのかもしれないな。


 そう思うと何とも言えなくなる。


 あぁ、奈落のダンジョンから私は人間界に出るべきではなかったのだな。


 所詮違う生物だこの人間界では凶悪な魔物が来ただけで影響力が出ているのだろう。


 人間とかかわること自体トラブルになるのはわかっていたのだからな。


 話し合えば分かり合えるとか、そんなこと元からできなかったのだな。


 そうだよな。


 単一の種族の人間同士が争いをしているのだ、他の知識がある生物との間に分かり合えることなどないのだろうな。


 それに私は凶悪な見た目をしているモンスターだ。


 誰も知識を持っているとは思っていないだろう。


 話をできると言う事自体人間からみてはおかしいだろうな。


 こんな私を理解できるのは、よほど精神が進化した存在以外は分かりあえないだろう。


 あまりにも私の考え方は未熟すぎたな。


 最初から人間界にはかかわってはいけなかったのだ、これは痛恨の痛みを感じる。


 ふぅ、帰って布団の中に包まって寝たいと言う気分になって来たよ。


 やらかしてしまった事は、もうどうにもならない事だな。


ネイビス大公の書状にあるようにおとなしく奈落のダンジョンへ帰ろうかな。


 それで万事うまくいけばいいんだけど。


 私がおとなしく帰ったら、人間達が勝ったことになり、私とかかわっていた獣人達に対して調子にのってなにか悪い事をする可能性も出てくる。


 もともと獣人界の人と今までどうりうまくやってくれと話しをする予定だったのだ。


 ネイビス大公の人物像が見えない。


 ネイビス大公を慕っている人は良く言うだろう。

 

 しかし彼は貴族だ、この世界貴族は横暴なふるまいをしていると感じている。


 偏見かも知れないけど奈落のダンジョンへ来た奴らはおかしなやつらだった。


 そいつらを派遣したネイビス大公だ。


 まともな人物だとは思えないな。

 

 それに先ほど黒い鎧を着たおっさんは私に攻撃を仕掛けてきた。


 書状ではおとなしく帰れば何もしないと言っていたのに、最初から私を殺す気ではないか。


 この黒い鎧を着たおっさんが私に攻撃をくわえなければ、おとなしく帰っても良かったのだが、そうにもいかなくなってしまったのだ。


 これは私としてはネイビス大公と一戦交えなくてはいけないな。


 どうしてもそう思えてきてならない。


 ・・・


 「ゼピュロス隊長さん、話は分かったよ。

 大人の対応でいけば私が奈落のダンジョンへおとなしく帰れば済む話だろうが、最初の話だけだったらそれも良いかなと思ったのだけど、その黒い鎧を着た男が私の事を攻撃したのだ。

 書状ではおとなしく帰れば何もしないと言う話だったよね。

 この件についても、先に仕掛けたのは、ネイビス大公からだ。

 矛盾しているだろう。

 最初から約束を守っていないのだ、いかなる理由があるかはわからないけど仕掛けたのはお前達からだ。

 こちらとしても受けて立つといっておく。

 それでだここの責任者と話をしたい。

 私とネイビス大公軍との戦いについてだ、ある程度ルールを設けよう。

 話ができる奴を出して貰いたい」


 私はそう言って先ほど書状の内容を話した貴族の使者に目をやった。


 腰を抜かして倒れているが、まぁ、いいだろう。


 戦争をやるルールを定めるのだ。

 

 話だけするとする。


 私は貴族の使者に近づき話しかける。


 ・・・


 「おい、おまえネイビス大公と戦争をやることにした、それについてルールを設けたいのだが良いか?」


 貴族の使者は腰を抜かしたまま動けないで怯えている。

  

 「しっかりしろ、お前が俺と戦う気でいるのだろう。

 お前との交渉で人間界がどうなるか、ルールを定めるのだ。

 しっかりと立って答えねえのか」


 「わ 私は書状を読むようにだけ遣わされた者、そんな権限はない。

 そちらにおわす、ゲイニッツ将軍と話なされよ」


 「あぁん、この黒い鎧を着た熊みたいな男が将軍で責任者かよ。

 お前らどうにもならん馬鹿共だな。

 おいそこの黒い鎧の男、何びくびくしてねえでこちらに来いよ。

 お前達と戦争をするんだ。

 それなりにルールを作ってやろうと言っているんだ。

 それとも人間界全員一人残らず抹殺か、お前達の敗北条件がそれでいいならば俺が人間界を滅ぼすと言うルールでいいんんだぜ。

 どうするのか話せよ。

 将軍と呼ばれている男は恐怖のあまり固まってしまい何も答えない。

 人に斧を振りかざしておいてこれかよ。

 話にならないな。

 仕方ないゼピュロス隊長さん人間界での戦争のルールについて知っていたら聞きたいのだが教えてくれないかな」


 「わかりました、貴族間の領地争いでの戦争で良ければお話します。

 戦争には何種類かありますが、大まかに殲滅戦と城取戦と条約戦があります。

 殲滅戦は名の通り、すべての戦争に参加したものが一人残らず死亡するまで行われる戦争です。

 過去に1度だけネイビス大公と前王国軍を伴う門閥貴族でおこないました。

 戦争に参加した人、一族すべて死ぬまで行われた戦いです。

 降伏勧告はありましたが、前回の戦いでは降伏は適用されず負けた側はすべて排除されたと聞いております」


 「ホントに?

 そこまでする戦いをネイビス大公はやっているの?

 ある意味、頭おかしいと思うけどどうなんだろうか」


 「王との戦争はそのことが肯定できるほどにひどい悪政を門閥貴族共とやっておりました。

 何十万人の人々が王の悪政によって死んだと聞いています。

 私は当然の結果だと思っています」


 「なるほどとは言えないんだけど、わかったと言っておこう」


 中国の歴史でも王が大量の虐殺やったとか言う話の歴史があったからな。


 近いものは何となくわかるな。


 ・・・


 「それからどのようなものがあるのかな」


 「城取戦がおこなわれやすいです。

 場所を指定し、戦争日時日数を決めルールにもとずいてやる戦争です。

 簡易の城を作りその城を落としたものが勝利となる条件です。

 貴族の決闘に近く、それを軍隊でやることになっております。

 条件はそれぞれことなりますが、一般人に被害は無いようにするのが条件に含まれることが多いです。

 一般におこなわれているルールは、当主の首を取るか白旗を挙げ敗北するかですね。

 期日日程で決着しなければお互い話の場をもうけ再交渉と言った流れになります。

 再交渉の場合引き分けで今までどうりと言う事が多いですね。

 一応、その系統が戦争に多いです」


 「条約戦はかなり複雑なルールを設けます。

 仲介役の国を決めその仲介国が定めたルールでおこなうのが習わしになっています。

 戦争と言うか実力を示す戦いで、死者は出ますが、ほぼ引き分けるようにルールを持ってきているので当主が死んだと言う話は聞いたことがありません。

 あくまでお互いの力を見せる行事として行われるものですね。

 それと言いませんでしたが侵略戦です。

 これは殲滅戦と同じですが、突然の侵略行為を示した領主に対して、加盟国全員で殲滅戦を仕掛けると言う事です。

 当主ががかわり、侵略行為を仕掛けてくる貴族もまれにおります。

 しかしながら、侵略戦は一度も今のところ成功した例はありません。 

 各国すべて協力して潰されてきましたから。

 突然の侵略行為で敵対するなど人間界ではタブーとされております」


 「確かにそうだね。

 魔物の襲来とかと同じ部類に入るのでしょうな。

 それだと、今私がやっているのはある意味侵略行為と同じ事なのか。

 これは参ったことになったね。

 人間達の目から見ればそう見えても当然なんだね。

 でも最初に冒険者をよこして遺跡荒らしをしたのは間違いなく人間達だよ。

 私は奴らに死ぬ寸前まで追い込まれたからね。

 この恨みは忘れられないよ。

 最初に仕掛けたのは冒険者をけしかけたネイビス大公だって私は言えるのでそれは言っておきたいね。

 ・・・

 それでは私がネイビス大公とおこなうのは城取戦の案でいいだろう。

 殲滅戦などしたら人間全体と戦争をやることになるからな。

 それはネイビス大公もさすがにやらんだろうな。

 それをしたら奈落のダンジョンVS人間界でやることになるからな」


 「そ それだけは私達も勘弁して貰いたいです」


 「それじゃ私からルールの案を言おう。

 決戦場所はこの人間界と森林地帯をはさむ草原地帯で城壁の前でいいだろう。

 決して人間界と森林地帯には被害は出さないと言う条件を付ける。

 戦う相手は私とネイビス大公を含む3万の軍勢でいいかな。

 勝利条件は私の場合はネイビス大公軍の全滅かネイビス大公の死でそれと白旗をあげるでいいだろう。

 ネイビス大公軍の勝利条件は私の討伐と逃走でいいかな。

 それで戦争をやる期間は3日間、この間決着つかなければ、一度交渉をして話し会おうと言う事にしよう。

 ここが重要なポイントだよ。

 ゼピュロス隊長さん、いくらどちらかが負けていても3日間で決着がつかなければ交渉だ。

 そこのところ良く話しておいてね。

 始まる日は3日後ぐらいでいいと思う。

 ゼピュロス隊長さん私の案はこんな感じだがどうだろうか?」


 「わかりました。

 ご配慮有難うございます。

 ネイビス大公にお伝えしたいと思います」


 「それじゃお願いするね。

 返事が欲しいので誰かよこしてもらっていいかな。

 あとこの条件が気にいならかったら、そちらの条件示してと言っておいてね。

 そしたら悪いけどゼピュロス隊長さんもう一度私のところへ来てくれないかな。

 すり合わをせしましょう。

 私が言いたいのはこれくらいかな」


 「有難うございます。

 ネイビス大公に伝えたいと思います」


 「悪いね。

 ゼピュロス隊長さんには苦労かけてしまって、あっ、あとそいつら連れて帰ってね。

 ちょっとだらしすぎやしないかな。

 まぁ、私には関係ない事か。

 それじゃ私は一端、草団子を森林地帯に運ぶから、落ち着いたら帰って知らせてね」


 私は透明化能力インビジブル を使い姿を消す。

 

 消えた状態で草団子を転がし森林地帯へ運んでしまう・・・



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ