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第144話 突然の訪問者・・・


 「夜分、お邪魔して申し訳なく思います。

 みつぐ殿。

 もしかして食事中でしたか?」


 「あっ、ゼピュロス隊長さん。

 こんばんは、食事していましたが別に問題はないですよ。

 こんな夜中になにか御用でしょうか。

 昨日の暗殺者の件で何か話でもありましたかね?」


 「そちらの件ではないのですが、今回どうしてもあなたにお会いしたい方がおりまして連れてまいりました。

 突然の訪問でご無礼をお許しいただきたい」


 「別にいいですけど。

 私に会いたいとは、そちらの美しい女性の方ですかな。

 しかし私の姿を見ても大丈夫なのですかね。

 人間から見て恐ろしい姿に映るようなので、もしなんでしたら透明化で姿を消して対応しますが、その方が宜しいと思うのでしょうがどうでしょう。

 昨日会ったシャーリーさんもその方が良かった見たいのでもしなんでしたら姿を透明化して対応しますよ」


 ・・・


 !


 なによあの女、ダーリンてさっき美しい人とか言ったわね。


 もしかしてあいう人が好みなのかしら、ちょっと気になるわね。


 ・・・


 「そのようなご心配は無用です。

 二度目にお会いなりますが、私の事をお忘れでしょうか。

 私の名はフュリューゲル・ローレリアと申します。

 以後お見お知りき下さい」


 赤いドレスのスカートの両端を広げて私に挨拶をしてきた。


 ・・・


 あれ、フュリューゲルって言ったよね。

 

 それってオルネニア武游国の隣にあるフリューゲル紅宝国のことかな。


 前に会ったっていったけど、それってもしかしてフリューゲル紅宝国に行った時に私に向かってきたあの赤い髪をした女性の人かな?


 それぐらいしか覚えがないんだけど、たぶんそうだよね。


 あの時は斥候の少女が自害してしまい、自暴自棄になってフリューゲル紅宝国に行ったんだよね。


 あまり顔などよく見なかったので、うろ覚えしか覚えていなかったのだけどその人だよね。


 戦いで使用していた技が気になっていたんだよね。


 威力はいまいちだったけど、カッコいい技だなあと思っていたんだよね。


 確かにこんなに近くによって、私の事を恐れた感じがしていないのでその時の人だろうな。


 そうなるとあの時のことは私にとって痛い話だったので気まずいな。


 なんて話していいのかわからないぞ。


 これは困ったことになったぞ、立場的に私では何も言えないではないか。


 「えーと、その、あの時はすいませんでした。

 こちらとしてはなんて言っていいのかわかりません。

 申し訳なく思います」


 うぅぅ、なんてことだ会社でやらかした時の平謝りモードに入ってしまうぞ。


 気まずい、気まずすぎる、どうしよう、どうしようかな。


 「別にそのような事は気になさならくともいいですよ。

 あの娘は任務を遂行したのですから、あなたの計らいで亡骸も伴いました。

 本来であったら無残にうち捨てられている事だったでしょう。

 フリューゲルの地で埋葬できたので本人も喜んでいますと思います。

 どうぞ気にせずにいて下さい」


 ・・・


 グサリ、今私の中になにか鋭いものが刺さったぞ。


 痛い、痛すぎるぞ、なんだこの精神攻撃は、あの時の事を思い出してしまったではないか。


 また自暴自棄の痛い感覚が蘇ってくるぞ。


 この人には別の意味で頭が上がらないではないか。


 交渉などしなくて帰ってもいいでしょうか。


 あまりにも気まずすぎて帰りたいんですけど、駄目でしょうかね。


 ・・・

 

 「そ そうですか。

 それでこんな夜中に私に会いに来るとは、なにか重大な問題でも起こっているのでしょうか。

 失礼な事が会ったのでしたら聞かせてくれませんかね」


 うぅぅ、なんて言っていいのかわからないよ。


 なんでこの人ここに来たのかも検討がつかないし、交渉に来たのだったら、私の言い分だけ言って、白旗上げて帰りますんで許して下さいませんでしょうか。


 と言うかネイビス大公に会わなくても、もういいのではないかな。


 そう思えてきたよ。


 こんなことになるんだったら、早めにダンジョンへ帰っておけば良かったな、今更別の意味で後悔するなんて思っても見なかった。


 ・・・


 「本来ネイビス大公との会談の件で私が仲介役として任せられたことでした。

 しかし私の不手際があった為、あなた様に多大な迷惑をかけてしまったことになりましたようです。

 ネイビス大公との会談はフュリューゲル・ローレリアの名において必ず成し遂げますのでご容赦下さい。

 ついては後日決まり次第、会談の件はお話しします。

 その前にあなた様との親交を深めたいと思い、やってまいりました。

 世間話でも良いので、お話をさせて貰えませんでしょうか。

 ・・・


 なによ、あの女、私のダーリンにちょっかいかけようとする気じゃないのかしら。


 油断ならない女だわ。


 これは監視しなくてはいけないわね。


 ・・・


 「別に良いのですが。

 夜中ですし、日を改めて話をしませんか。

 こんな草原の場所で話をするなんて、あなたに失礼になるかもしれません。

 日を改めて場所を変えお話しませんかね」


 「私に失礼なことなんてないですわ。

 お気になさらずとも結構です。

 それに興味深い事があります。

 このオルネニア武游国一帯だけは雲がなく、月明かりまでさして夜なのこんなに明るいです。

 上空には星さえ見えています。

 私の治めるフリューゲル紅宝国は隣国と言うのに深い雲に覆われ雨が降っていますと言うのに、それも境界線が引かれているように分かれているのですよ。

 これはあなたが起こしている現象なのでしょうか?

 非常に興味深いですね。

 天候を操れるほどの力を持っているなんて、なんて素晴らしい力なのでしょう。

 お聞かせ願いませんでしょうかね」


 フュリューゲル・ローレリア伯爵がそう言った後、ゼピュロス隊長と周りの護衛役もざわつきはじめた。


 今、自分達の周りで起こっているおかしな現象に気づいたのである。


 「あっ、これですかね。

 この状態を起こしているのは私ではありませんよ。

 私の上司である人が、私を監視する為に近くに来ているのですよ。

 その為に天候変えているらしいのですよね。

 正確に言えば雨で濡れるのが嫌なので、自分の周りだけ天候を操作しているみたいですね。

 雲がない中心の上空に、たぶんいると思うので探してみれば、見えるかも知れませんね。

 夜なので見えずらいかな。

 あっ、いたいた。

 私はスキルを使えば見えるのですが、私が触手で指している方向の先に天候を操っている上司がいるのですよ。

 残念なことに、私の力ではないですね」


 ・・・


 そ、そんな私の事を雨雲の隙間で見つけられていたのね。


 これはショックだわ。


 確かにらいとさんが言う通り、お気に入りの白いワンピースを着てきたので濡れるのが嫌だったのよ。


 これは盲点だったわ。


 らいとさんてもしかして意識を読める能力を持っているの?


 ローパーにはそんな特殊能力はつけていなかったはずだわ。


 それに私にはジャミングがかけてある。


 意識を読めるなんてことはできないはずだわ。


 これはどうしてなのかしら、帰ってから調べてみるしかないわね。


 やはり帰ったら解剖してみなくてはいけないかしら。


 今度は気を付けなくてはいけないわね。


 まあ、いいわ。


 この一件が片付くまではこのままでいましょう。


 決して私がらいとさんには気づかれていたのを知らなかったとは悟られていけないわね。


 影で手伝ってあげていたことにするのよ。


 ただの監視で居たわけではないのですから。


 そうよ、金色のピサの斜塔も直してあげたし。


 その作戦でいきましょう。


 ・・・


 「そうでしたか、それは残念ですね。

 もしかして、天候を操っています上司と言うのは、奈落のダンジョンへ住んでいると言われる古代神と言う神の事でしょうか」


 フリューゲル・ローレリア上級伯爵はそういったとたんに険しい顔をした。


 どちらかと言うと嫌悪感を示す顔だった。


 ・・・


 「神ですか、それは違いますね。

 神に近い存在だと思いますが、神ではありませんね。

 本人が言っている神の定義では、自分は違うと言っているので違うのでしょう。

 私から見れば神以上の存在だと思っているのですがね。

 私の考えでは知識ある生命体が長い時間をかけて進化して高次元の生命体になった存在だと思っています。

 ですから神の定義などは知らないのですが、それ以上の存在ではないかと私は思っていますね。


 「!

 知識ある生命体が進化した高次元の生命体ですか。

 そんな考え方があるなんて聞いたこともありませんわ。

 どのような書物を読めばそのような考えが思い浮かぶのでしょう。

 私は強さを求めより高いものへ昇りつめようと思っていました。

 女性だから弱いとか子供を産む道具でしか無いとか、そのような者に見られたくはなかったのです。

 自分が男性よりもより強く優れた勇敢な者へなりたいと、努力と研鑽を積んできました。

 より高い者へ進化したいと思っていたのです。

 そのような考えを持っている方が、魔物でいるとは思いもよりませんでしたよ。

 ・・・

 失礼しました。

 魔物だなんて言ってしまい。

 ですがあなたとはなにか共感できるものが何やらありそうな気がします。

 興味深い方ですね。

 みつぐ殿」


 ・・・


 ちょっと、ちょっとなによあの女、私のダーリンに色目を使っているなんて。


 絶対に許さないんだから。


 ・・・


 「別に魔物と言われても気にしませんよ。

 どこからどう見ても魔物でしかないのですからね。

 こんな姿でも私は結構気に入っているのですよ。

 人間達や獣人達から見れば、どうやら怖い存在に映る見たいなので、その事だけは少しだけショックがありますけどね。

 前大戦で造られた生物兵器ですから、それは仕方がない事です。

 生まれも育ちも誰も選べないでしょう。

 生まれたのがたまたま奈落のダンジョンでのモンスターだけだったと言うことですからね。

 こればかりは仕方ありませんね。

 自分なりには能力的に人間よりも圧倒的に高い力を持っているのでその点は気に入っているのですよ。

 人間ではできないことがたくさんありますからね。

 しかし、この地上界では見た目の問題があり、私のような存在は受け入れてくれなさそうので残念だと思っていますが。

 未来の世界に期待するしかないようですね」


 「未来の世界ですか?

 私には分かり兼ねる事をいいますね。

 申し訳ない。

 私みたいな知恵なき者には理解が難しかったみたいです。

 なんのお話なのか分かりませんでした」


 「あっ、すいませんね。 

 個人的な考えですので気になさらずにいてください。

 未来では私みたいなモンスターと人間達が話し合えるような世界が来れば良いかなと思っただけですよ」


 「・・・

 そうでしたか、私にはそんな考えはまったく想像にも思い描けませんでした。

 正直なところ何とも言い難いところですね。

 魔物と共存をするという事ですよね?

 それは夢のまた夢の話です。

 でもみつぐ殿の事は私は好感が持てる方だと思っています。

 私、以上の知識や知恵、哲学のようなモノを持っていると先ほどの話だけでも感じました。

 人間の事を私以上にかなりお詳しいと感じられます。

 お話も悠長にできる。

 この世界には長くおられるのでしょう。

 私が知らない未知な事を知っているようで興味がわいてきますわ」


 「そんなに長くは生きていませんよ。

 ダンジョンに引きこもっていたので時間の感覚がわからないですからね。

 自分の年齢もわからないくらいですから。

 ほとんど食っちゃ寝生活で特に何もすることないから、同じことしかしていないので、別の意味で長い時間を過ごしているような感じがしますがね」


 「そうなのですか。

 それにしては博識でいらっしゃる。

 どのようにして知識を得たのですか」


 「それについては、機密事項と言う事でお願いします。

 私にも話せないことはありますよ。

 理解をしてもらえないことがありますからね。

 どちらかと言うと理解してもらえないと言う事が多いのではないでしょうか。

 私の話しで理解できるのは、ここでは上司の管理者ぐらいですかね」


 「上司の管理者ですか。

 みつぐ様が言う神、以上の力を持つ者ですよね。

 奈落のダンジョンの神は人前には一度も降臨したことはないと言われています。

 どのような姿をしているかは、みつぐ殿を見ていたら想像は出来ますでしょう。

 失礼ですが、そのお方は魔物が進化した知識ある存在なのでしょうね。

 人間とはかけ離れた姿をなさっているので、この世界には姿を現せないということでしょう。

 それでもこの世界の事を思って動かれている方なのでしょうね。

 古の時代では奈落のダンジョンから1匹の竜が降臨されたと聞いております。

 人間があまりにも高慢なおこないを世界にした為、戒めをおこなう為に降臨したと聞いています。

 その竜も知識があり話せたと言う事です。

 同じような、いえそれ以上の存在なのですね。

 未知なる生物が進化し知識ある高い生物へより進化するとは、どのような姿をしていても素晴らしい事だと思います。

 みつぐ殿の話で、あなたの上司に会ってみたい気がしてきました。

 ですがお姿が気になりますね。

 やはりみつぐ殿と同じような姿をしているのでしょうか」


 「姿は違いますね。

 今のところ人間の女性の姿をしているようですから。

 女性だと言うことは確かだと思いますが、詳しい事は私も知りません。

 姿を変えられるみたいなので、擬態とかではないですが、生物のからだ事態を入れ替えて行動できるみたいですね。

 私は擬態さえできませんがね。

 先日まで私と同じローパーの姿をしていましたみたいですからね。

 いっしょに行動していたローパーがまさか上司だったとは知らず、騙されて共にいましたからね。

 でも本当にいっしょに居たかは疑問に思っているのですがね。

 時たま中にっ入っていると言う感じではなかったのかと思っていますから。

 今はどこいでもいそうな平凡な女性の人間の姿をしていますね。

 本来の姿は私もどのような姿をしているか知らないのですよ。

 地上へ出てきた時には知らなかったので、人間の姿をしていました上司を、怪しいふいんきをして私に近づいて来たので、敵だと思って攻撃してしまいましたからね。

 あっさり返り討ちにあってつかまってしまい、お仕置きをされそうになりましたから。

 あの時は怖かったですね。

 私の力がまったく通じませんでした。

 赤子の手をひねるくらいの感覚であしらわれましたからね」


 「みつぐ殿がまったく歯がたたないのですか?

 私はあなたに挑みましたが、まったくかないませんでした。

 あの時、みつぐ殿はただ攻撃を受けていただけだったのに。

 それ以上の力を持っている者がいるなんて信じられません」


 フリューゲル・ローレリア伯爵はからだを抱え込み座り、震えだしてしまった。


 「ローレリア様大丈夫ですか」


 ゼピュロス大佐は声をかける。


 「ああ、なんて素晴らしい事なんでしょう。

 みつぐ殿に勝る力をもつ者が存在するなんて。

 みつぐ殿是非会ってみたいですわ。

 会わせていただけませんか。

 今は女性の姿を取っているのですよね。

 是非会ってみたいです」


 ・・・


 「なによ、あの女もしかしてあっちのけがあるのではないかしら。


 私は会いたくないわよ。


 なんか危険な感じがするわ。


 ・・・


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