第130話 未来の世界・・・
うぅぅ、なんてこったい。
いつも奈落のダンジョンで一緒にいたローパーの彼女が管理者だったなんて、そんなこと思いもよらなかったよ。
確かに母親ローパーにくらべて、変なローパーだと思っていた。
最初会った時は私について来るだけで、狩りもまったくしなかったし、行動パターンが読めないやつだと思っていたのだがまさか管理者が擬態していたとはね。
てっきりローパーの生態であんな行動するのかと思っていたが違っていたのか。
でも、これってかなりまずいことになってない。
私の事を、ダーリンて言っているし、なんか独占欲が強そうな女性に見えるのだが気のせいだろうか。
これって確実に尻にしかれるよね。
と言うか奈落のダンジョンでも尻にしかれていたし。
あぁ、なぜかな、たった今私の人生終わったなと思ってしまったがどうしてなんだろうか。
これから束縛された、ローパーの人生が待っているようでならない気がしてくる。
今まで尻をしかれていたのはそうだったけど、今度は束縛と言う事が待っているとは思ってもいなかった。
頭の中に束縛と言う言葉が浮かんでくるのでこれはもう駄目な事なんだろう。
私なんかよりとてつもない力を持っているのは先ほど体験してわかっている。
逆らう事なんかできそうにもないな。
初めて出会った時嫌な感じがしたんだ、まさかこんな運命が待ち受けていようとは思わないだろう。
あぁ、合う前に戻ってやり直したいな。
モンスターに襲われて死んでいたほうが良かったのかも知れない。
そうすれば別のなにかに転生したかもしれないからな。
なんてこったい、今までの中で最悪な展開だよ。
ここは絶対余計なことは言わない。
それと彼女の言う事はあまりにもおかしなこと以外は聞く。
それに誤魔化さない。
あとは焦って彼女の有利になることを発言しない。
答えられない内容だったらわからないふりをする。
幸い心は読まれていないみたいだからな。
今後の事で墓穴を掘ったら大変だ。
余計な事を言わないのがベストだろう。
これさえ気をつければなんとかかわせるだろう。
・・・
「それでは、らいと、尋問をはじめますね」
えぇ、いきなり尋問ときたよ、どうしてだよ。
それに名前で呼び捨てだ。
お母さんに怒られている気分になってきたよ。
何も悪い事していないのに。
「あなたは前世で、テラと言う星で生まれこの世界に転生してきたのですか。
お聞かせください」
テラ!、ラテン語で確か地球っだったよね。
その意味で解釈していいのかな?
「テラとは地球と言う意味でいいのかな?
それとも地上、でもそれではおかしいか?
地球と同じ意味ならテラから転生してきたと判断していいのだがどうなんだろう」
「えぇ、地球で合っています。
あの頃の時代にはいろいろな国が存在し、民族も言葉も統一されたことは無かったのですよね。
現在は人間と言う枠で統一されていますので言語も同じですが、過去のデータベースには様々な言語が残っていますね。
私達は地球とテラを同じ星の名前で位置つけておりますので合っていますよ」
「詩織様は、もしかして地球人なのですか」
「えぇ、大まかに言えばですが、地球人になります。
人類の1つの枠と言っての話ですがね。
あなたの前世の時代から地球時間で29万7千2百26年たちます。
その中で人類が進化した電脳人と言う人類の枠の一つに入ります」
「電脳人ですか?」
「そうです。
肉体を捨て脳の情報を取り出しプログラム化させた電脳世界 に移住した人類という事です。
「電脳世界 に移住未来ではそんなことできるのですか?」
「えぇ、ごく普通なことです。
あと、そうそう私の事、シオリ様ではなく、シオリと呼んで下さいね」
「えーと 詩織さんではいけないでしょうか。
なんか呼び捨てだと抵抗があるのでさん付けで呼ばしてください」
「まったく、私達はさんをつけなくても良い仲なんですよ。
子供もいますしね。
ですからシオリでいいのです。
でも、どうしても呼びずらいのでしたらさんづけしてもいいですよ。
敬意をした敬称で呼ばれるのも悪くありませんからね」
?
未来人とはそういうものなのかな。
子供がいると言われてしまったらこちらとしては何も言えないんだけど、どうしようもないか。
「有難う御座います。
詩織さんと呼ばせてもらいます。
詩織さんは私が前世でいた地球の時代から29万年いや30万年近く後の未来の地球人なのですかね。
どうしてそれを知ったのですか?」
「鬼人の国であなたと沙也華さんが話をしていた時に直視の宝珠から聞こえたのです。
私もあの時の話を聞いた時は驚きました。
すべてのデータベースにアクセスし導いた結果どうやら本当にあなた達の会話の内容と一致する地球関係のデータが残っていたので驚きましたよ。
それもデータベース初期の位置にあったのでね」
「初期の位置とか30万年前とかなんかおかしくないですか。
そんな前からデータって残っているものなの?
途中全て消えて無くなる時代が合ってもおかしくない気がするのですけど今でも続いていますんですね。
地球が30万年まで生き残っているとは驚きですよ。
「らいとさん。
残念ですが地球は28万年前になくなっています。
あなたがいた時代からは2万年後ですね。
正確には人の住めない星になってしまったと言う事ですね。
今は誰もいないただの衛星とかしています」
「まぁ、そうですよね。
人間があれだけ混沌なことをしていれば滅んでも仕方ないですね。
やはり大気汚染で住めなくなったとか、それとも戦争で核を使って住めなくなる星とかになったのでしょうかね」
「いいえ、違いますね。
技術が進むにつれて環境問題は対策できなんとか解決できました。
戦争も環境問題がよくなり改善されたので食料問題とかの争いもなくなりこちらも安定した状態が続けられたのです。
エネルギー問題も技術の進歩により大半は解決できました」
「では、なぜ地球は滅んだのですか」
「月です。
月が地球に引かれ近づいてきたのです。
月の位置がほんの少し近づいただけですが地球に影響が出たのです。
今までなかった大規模な災害が発生したのです。
すでに人類は宇宙に進出していました。
他の惑星開発によって人類は移住も進めていたので、地球外に人間はでていたので移住と言う形で難なく大規模な人類滅亡の危機は去りました。
しかし地球と離れるのは嫌な人々も多くいましたので、そのまま地球と共に滅びをむかえる人達も多くもいたのです。
一端地球を離れ技術が進歩したら対策を講じる事に決まりましたが、技術がつちかわれる前に地球と月がぶつかり合って人の住めない星になってしまったのです。
当時の技術ではどうにもなりませんでした。
今ではなんとかなるのですが、今さら地球を復興させるまでもなく他の星や太陽系以外のその他の銀河に進出しているのでそのまま放置されています。
地球が放置されている理由は、人類発祥の地で尊く思われています。
神聖な大地です、踏み込むことされ許されてはいない星になっています。
と言うのは建前で、人類は幅広く宇宙に進出しました。
その中でもやはり派閥が出てきます。
どの銀河が地球を統治するかで争いごとがあったのです。
実際いままでその為にぶつかり合って惑星がいくつも滅んでしまう争いがおきています。
ですから今の技術で元に戻せるのですが、戻したくても人類の都合上できなくなってしまっている状態になっています。
あくまで人類発祥の地とだけになっているのですよ」
「なるほど、なんとなくだけわかると言っておきましょう。
でも私が死んだのが今から30万年前の時代とはね。
しかしおかしくはないのですか。
まるで私が生きていた時代が今から30万年前の過去のような話をしています。
沙也華さんは私より半年近く先の時代から異世界のこちらに来たみたいですが、それってどう見ても過去からタイムスリップしてこの異世界に転異してきたとしか考えられないのですよね。
私は転生者ですので生まれ変わるとしたら未来しかないのでわかるのですが、沙也華さんは過去からこの世界に来ているとはなんかおかしくはないですかね。
それも時間がとんでもなくたっている。
私と同じ時代にいた沙也華さんがこちらへ転移してくるとはいかに異世界人の来訪者が多いとはいえおかしいですよね。
タイムスリップの技術が今の時代にあるのですか」
「私もそう思いますが、データベースで確認してもあなた方は過去から来た者なのです。
残念ながら今の技術をしても、タイムスリップなどはできません。
ですが沙也華さんは間違いなく過去から来ています。
沙也華さんが持っていたモンスターの魔核の情報が過去のデータベースに残っていました。
あの時代に未知な魔核のようなものがあって一部の研究者達には驚きを隠せないことになりました。
歴史の表には出ていない代物です。
ですがその魔核の研究が進んで今の技術につちかわれているのも確かなのです」
「えーと、沙也華さんは元の世界に帰れたのですね。
それは良かった。
帰れるかは半信半疑だと思ったので、心配だったのですよ。
それはよかったですね」
「まったくもう、あんなあやふやな事するなんて気が知れません。
未来から過去に戻すなんて私達の発達した技術でもまだできないのですからね。
タイムスリップなんて夢の又夢の話なんですよ。
あなたはとんでもない事してくれたのですよ」
「ははは、すいませんね。
意味がよくわかりませんが。
でも、沙也華さんが帰れて良かったですよ。
魔核の情報が残っているのでしたら、あれからそれなりにたぶん生きたのでしょう。
私があの魔法を使って良かったと思います」
「ええ、確かに長生きはしたみたいだわ。
世界中が大きな地震に見まわれて大変な被害を出したとデータには残っています。
日本人の震災ノウハウと頑張りによって復興が早い段階で進んだと記述には残っているわ。
その復興の協力者の第一人者として、財閥のご令嬢だった綾小路沙也華さんの名前が記されているので間違いないわね。
歴史にも残っているなんてあの子すごい事だわ」
「ここに来た時に、地震に見まわれたと言っていたが、戻って頑張っていたのですか。
それは嬉しい限りですね」
「その歴史に名を残す子にいたづらをしようと考えていたとは、最低な人ですよね。
らいとさん」
「えぇぇ、それは言葉のあやと言うモノですよ。
と言うかあの話を聞いていたのですか」
「聞いていたとはどういうことですか。
てっきり先ほどはその事で私に謝っていたのではなかったのではないの。
他に何かやましい事があるのですか。
白状するならば今ですよ。
後でわかったらお仕置きが待っていますからね」
「あ、いえ別にそんなやましい事なんてないので、本当にないですよ。
ははは、こんな姿ですし、できようがないでしょう」
「確かに、その姿では何もできませんね。
あなたが言っていた危ないエッチなモンスターにならない限りね。
追及はやめておきましょう。
それよりもあなたの転生の事を聞きたかったのでお聞かせ下さいませんか」
「私が死んだのは交通事故で亡くなったはずですが、自分ではあくまででしかわからないのですよ。
あ、車での交通事故です。
わかりますかな」
「大丈夫です。
今あなたの時代のデータとアクセスしていますので当時の乗り物とかを把握できています。
年代は西暦2018年でしたよね。
照合していますので大丈夫ですよ」
「ちょっと待ってください。
30万年前ですよ。
その当時のデータなど残っているのですか?」
「残っていますよ。
人類の進化の過程でデータは残さなくてはいけない物だったのです。
わざわざ掘り起こした物も多数あります。
人類が食料問題に大いに問題を解決したのは、この一因にあります。
あなた達の時代で言われていた、電脳空間です。
その発展があったからこそ増え続ける人口に対し温暖化での食料危機問題は解決したのですからね。
いわゆる人類の電脳空間 への移住です。
私もここの世界の住人なのですよ」
「マジですか。
あの夢のヴァーチャル空間に移住とはそれはすごい事ですね。
私は映画や漫画、ゲームとかであくまで空想の世界でしか想い描いていなかったから夢のようですよ」
「そうなのですか。
私達の時代はあたり前すぎて、逆に地上へからだを使っていくのがトレンドとしてなっていますね。
わざわざコストのかかる肉体を用いることの方が難しいのですよ。
メンテナンスも必要だし、排せつ機関など不便な事をしなくてはいけないですからね。
外に出るとしてもサイボーグ化したからだを電脳世界 から操るって言うのが定番ですから。
生身のからだをもちいることしなくても外には出られますので、それもより強い身体で行動できます。
ですがそれなりにコストがかかりますがね。
電脳空間 では機械の維持だけ総合システムでやって入れば問題ないですから。
もちろんセキュリティは厳重ですがね」
「未来ってそんなもんですか。
随分便利な世界になったのですね」
「そうでもありませんよ。
平和なのは今のところ人間達の領域である電脳空間 だけですから。
人類が宇宙へ進出する過程でいろいろな敵対するものと遭遇していました。
正確には電脳空間 へ逃げ込んだと言っても過言ではありません。
宇宙には未知なる生物や高生命体など多数存在が確認されましたから、その脅威の為電脳空間 で一時期人類は安全圏を確立して、他に進出するという事を繰り返しているのですよ。
世の中には想像を絶する生命体がいます。
星の大きさを持ち宇宙を移動しながら生命を見つけ捕食している奇形な生物や宇宙を泳ぐ次元を食べる巨大なくじらとかが実際存在していますからね。
それに存在そのものが空想だと考えられていた、神や悪魔、といった似類に値する生物も存在していました。
あくまであなた達の時代で空想で想像していた生き物が存在しているのですよ。
それが映画やゲーム、漫画、アニメ、小説で描かれている生物が実在していたのですから。
ご先祖様達は未来予知ができるのではないかと研究している科学者もいます。
人類の未来を導く継承の為に残されたのだと思っている人も多数いるのですよ。
それで電脳空間 の時代を始まるきっかけとなった古きデータを収集したのです。
旧世界の遺産として私達は貴重に扱っています。
他の未知なるものと出会った時は必ず照合をしますからね。
それも恐ろしいくらい合う適合率でその対策とかもデータでは残っていたのですよ。
映画や漫画、テレビゲームなど未来予知のバイブルとして今でも扱われています」
「そうなのですか。
ただの想像や空想類のものだと思っていましたが未来では役にたっているのですね。
おかしな話ですね」
「そうなのですよ。
この世界に来る異世界人などは、私達にはただの来訪者としか見えない程度です。
その他に危険な生物とか存在しているのですよ。
このファントムグリードと言う星は、多くの来訪者が来ますがまだよい方ですね。
危険な生物対策として人類は電脳空間 を利用しそこで対策を練って疑似的に進化し外へ出るという事を何度も繰り返し進化を遂げてきました。
この世界で星からエネルギーを供給して魔法が使えるのも電脳空間 あってからこその技術です。
私達はこの星ではそのような事はしたくはなかったのですが、翼人の対策としてこの原住民に最低限の生き残るすべを施しました。
あの高次元生命体に対し仕方ない処置でした。
私達にはなんの脅威はありませんが、この世界に住んでいる者達にとっては最悪って言うくらいの存在でしょう。
彼らは自分たちの存在さえあればいいと考えている生命体ですからね。
私達のルールでできるぎりぎりの範囲だったのです。
幸いにも私達の元の遺伝子と原住民は近く、すぐにでも移植すれば対応できたので良かったのですよ。
この世界の住人は進化の過程はともあれ、私達地球人と関係があるのかもしれませんね。
その形跡が遺伝子にあるのです。
それを知った同胞のシンジが熱にあてられたように原住民に入れ込んでとんだ不始末をした限りですがね。
あの時は突然海から現れた奇形な異世界人相手にあの暴れようは見ものでしたよ。
記録は取ってありますが世に出すことのできない代物ですからね。
すべての海王族を遺伝子ごと、消滅させるとはね。
私達だけがデータを残し封印しています」
「え、そこまで人類は圧倒的な力を手に入れてるのですか?
まさかスーパー〇〇ヤ人とかいませんよね」
「さあ、どうでしょうかね。
それは機密事項に当りますので私には答える事はできません」
いやー あきらかにいそうだよ。
もしかして漫画とか参考にして未来でそういう人類が作られたって可能性もあるよ。
古代神と交わった子孫がそんな事できたのだから怪しすぎるだろう。
アレス君スーパーサ〇〇人になっていたしね。
「そういえば、詩織さんはこの星へ来たのはなぜですか。
それにこの世界に名前がジェラシックパークと言うダンジョン作るなんてなんかおかしいでしょう」
「私達がここへ来た目的は資源の調査です。
資源と言ってもいろいろなものがありますが、エネルギーが目的と言っておきましょう。
それと原住民が私達とあまりにも近い存在だったんで移住も考えていました。
あくまで計画だけ立てて終わってしまったのですがね。
開発の途中にいろいろ企画が考えられて、ダンジョンなどアトラクション施設を作ろうとしていたのです。
ダンジョンを作ったのは電脳空間 の住人を呼んで商業的な事をしたかったのですよ。
電脳空間 の中では死と言う概念が少ないのです。
劣化という事はありますが、それも技術の進歩により修正され対策がなされています。
私もすでに18万年生きていますが、もっともスリープしながらなので実際行動は12000年も満たない事なのですがね。
死を体験すると言う事が出来るアトラクションパークを作ろうと考えていたのも事実ですよ。
変な事に痛みや苦痛を感じると言うのが電脳空間の住人ではトレンドになっていますから。
死を体験できるのも魅力的な事なのですよ。
痛みなどは遠い昔の事を想い出す為体験する人がいますね。
長く電脳空間 に居れば生まれたことの事懐かしむ人も多いのですよ。
その時は普通の人間だったからですね」
「あぁ、なんか未来は世界が逆転しているって感じですか。
私は痛みや苦しみなど体験するのは嫌ですよ。
未来の人類は逆に良いのですね」
「良い面もあり悪い面もあります。
それは感じ方は人それぞれですからね。
死にずらい分、発展した娯楽と言うモノですね。
わざわざ痛覚のある肉体を扱うのですから。
その対象は人間だけではありませんよ。
このダンジョンにいるモンスターに擬態すると言うこともできますから。
私もその為実験がてらローパーに擬態していたのですからね。
それがまさかローパーに転生している者がいるなんてわかり驚きですよ。
転生者はデータ上でしか確認されていなかったのですからね。
らいとさんあなたは特別なのですよ」
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