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第13話 冒険者……


 今日は異変があった。


 起きてからいつもどおり石片を食べ、狩りと探索に出かけようと思ったのだが、何かがおかしい。


 この階層全体が清んでいるというか、空気が張り詰めているよな感じがする。


 今まで下層から上がって来た時でも、こんなことは一度もなかった。


 気のせいだと思っていたが気になる。

 相棒の彼女をみたら様子が変だ。

 なにか異様に緊張している。


 彼女は感が良いので何かを感じ取っているのだろうか?


 うーん、どうしようか本当はこういう時は何もしなくて、動かないほうが良いのだけど。

 やはり動くべきか、じっとしていて何かあってからでは遅いからな。


 私は探索の準備をして出かけはじめる。

 一応、相棒の彼女も付いてくるらしい。


 とりあえず行先はこちらの真逆のエリア、上位のモンスターがいるところにいってみたいと思う。


 異変をやるとしたらあいつらが何かした可能性が考えられるからな、それとも下層から危険なモンスターが上がってきたとか気になる。

 準備して移動を開始する。


 …… …… ……


 いつも後ろにずっとついていた彼女は今日に限ってやはり様子がおかしい。

 最近はべったりと後ろをついてきて戦闘中にもかかわらず、私が倒した敵をその場で食べはじめるというビッチな彼女だ。


 私が狩ったものは彼女のものらしい。

 彼女をいくどなく注意しようと考えたのだが怖くてできない現状である。


 今日は、私の後ろ30メートルくらい後方に下がって付いてくる。

 やはりなにか危険を感じ取っているのだろうか?


 上位モンスターのエリアに行くにはそれなりに複雑な道筋をたどり距離もある。

 おかしな話、いまだに一度もモンスターと遭遇していない。


 進んだ距離だと、今までだったら5匹くらいはモンスターに出会っているだろう。


 やはりおかしいな、かなりの距離を進んだ。

 もう少し進めば、上位のモンスターがいるエリアに入り込む。

 しかし気配はしない。


 もともとやつらは気配の消し方がうまいので察知は難しいのだが、今日は階層全体が清んでいるので余計にいわく感が感じられる。


 …… …… ……


 あいつらの縄張りに入ったか、ここからは極限に気配を消し索敵も慎重におこなう。

 近づいてきたな。


 あいつがいる大部屋に索敵をかけるとかすかだが反応らしきものがある。


 ? 上位インプかな。

 そいつらもなぜか近くに集まっているらしく、独特な気配の消し方をしている。


 インプの上位のやつらはここのエリアの近い場所へ巣を作っている、大部屋の近くに来ているとはおかしいだろう。


 戦闘している感じはなかった、戦闘が終わったということもない。


 上位インプは確かにいるようだし、何かを待ち構えている?

 戦闘態勢に入っている? おかしな気配の消し方をしているのだ。


 あと100メートルくらい進めば大部屋にたどりつく。


 ? なんだろうここから左側にいく通路なんか嫌な感じがする。

 でも索敵に引っかからないし遠目で見た感じなにもない。


 広い通路が広がっているだけなんだけど?

 後ろにいる彼女を見てみると、震えているけどどういうことだ?


 大部屋にはあと少しだがこちらの通路にいってみようか。

 念のために、硬質化ハードチェンジとシールド系の防御魔法を唱えておこう。


 …… …… ……


 「カキン」

 ? 私の体に何かが当たった。


 幸いにも硬質化をしていたのでダメージは受けなかった。


 ナイフ? 目の前にナイフらしい物が落ちていた。


 「ブフォン」

 「シュイーン」

 そのあと炎のファイヤーボールが飛んできて魔法防御魔法マジックシールドの膜ではじける。


 危なかった魔法防御魔法マジックシールドを使っていなければまともに当たってけがをしていたかもしれない。


 私は何もない前方に雷撃槍魔法ライトニングボルトを放つ。

 雷の槍が前方へ飛翔する。


 「バシュン、バリバリ」

 「シューン」

 雷の槍が何もないところで消滅した。


 膜のようなもので弾かれたのか?

 シールド、これは私が使っている魔法のシールド?

 シールド系の魔法にはばまられたのだ。


 …… …… ……


 前方から人影が現れる。


 人間? どうしてここに?


 いわく感があったが、索敵には引っかかっていない、なぜだ?

 それに先ほどまでは何も見えてはいなかった。


 そうか透明化か、私も今、透明化の練習をしているから心当たりがあった。

 透明化能力インビジブルのスキルで見えていなかったと言うことか。


 ……冒険者か。

 冒険者らしい服装をした人たちが前にいる。


 ゲームや漫画で見たようなファンタジーの世界にいる冒険者の格好そのものだ。


 観察してみると剣士2人、騎士1人、魔法使い1人、レンジャーまたは盗賊2人、神官1人、重戦士1人という感じの組み合わせか?


 8人とは多いな、残念な事に騎士は男だった。

 女騎士だったらよかったのに……


 おかしなことに、冒険者の話が聞こえる。

 それもはっきりと理解できるのだ。


 盗賊らしき男性と魔法使いらしき女性が、

「ちぃ、しくじったか」

 とか話している。


  剣士の男性が前に立ち、

 「おまえたち、今は私語を慎んでくれよ。

 それより先ほどの雷撃、ティーナよくぞ防いでくれた、助かった」 

 「ええ、別にいいわ、私たち仲間でしょ」

 とか言っているようだ。


 「おいおい、アレス、俺たちに私語は慎めとか言って、おまえたち、イチャイチャしてんじゃねーか」

 とか盗賊の男がちゃかしている。


 「おまえたち、今は目の前のモンスターだ」

 騎士の男が声をかける。


 「はいはい、わかりました、わかりましたよ」

 とか盗賊の男が返事を返しているようだ。


 冒険者たち特有のお約束の戦闘前の雑談か、余裕があるな。


 ……これは私を狩るつもりだね。 


 本気か! 

 冒険者たちの戦闘力が未知数だ。


 私は後ろを見る。

 相棒の彼女は震えて畏縮してしまっている。

 彼女は感が良い、畏縮するとはよほどのことだ。


 これはやばいか全力でいかないと死ぬ、全力でいっても死ぬ、て感じだな。

 どうせ死ぬなら、せめて彼女くらい逃がさないといけない。


 こちらはすぐさま戦闘態勢に移る。


 先制攻撃だ。

 毒霧魔法ポイズンブレイク


 「ボボボーシューン」

 前方に毒霧をまき散らす。


 その瞬間に、私は後ろに大きく飛び跳ね、彼女の近くによる。

 触手で彼女を後ろに大きく突きとばす。


 私は奇声を発する。

 「nげRoー」

 逃げろという感情をこめて……


 後ろに突き飛ばされた彼女はすぐ起き上がり、私の意図が通じたのか逃げ去っていく。

 これで良い、これで思い残すことがなく戦える。


 冒険者たちは咳こんでいる。


 神官らしい女性には光の膜のようなものが体中にまとわりついて毒霧を防いでいる。


 神官の女性は魔法らしきものを唱えた。


 聖光浄化魔法セイクリッド・エンプレストと周囲に大きな青白い魔法陣が浮かび毒霧がむさんする。


 冒険者たちはその魔法効果で回復してしまったらしい。


 おいおい、前方の冒険者たちよ、不意を突いたのだが対応が早くない?

 それに毒霧を吸ったら普通人間は即死ではないの?


 たぶんサリン以上にこの毒霧は危ないと思うんだけど。

 咳きこんでいるくらいじゃすまないと思うけど、と言うか肺にはいっているよね?

 肺に強毒が入っているんだ腐り落ちて死んでしまうのではないの?


 などと考えてしまったが、頭を切り替え、すぐに全力戦闘態勢に移る。


 狂戦士化バーサーク状態へ変化させる。


 狂戦士化の効果で、体長が一回りほど大きくなり、本体だけで5メートル以上、触手をあわせれば8メートルちかく大きくなっている。

 威嚇し大きな触手を広げれば、10メートルくらい大きく擬態ができる。

 肌色も黒く変色している。


 防御魔法の覚えているすべての魔法を使用し、多重にシールドを展開する。

 硬質化ハードチェンジで全身を硬く強化して、さらに、雷神の怒り(ライジン)の怒りで全身に雷をまとわらせる。


 まず攻撃するのは、セオリーどおり神官だ、回復役を最初につぶす。


…… …… ……


 冒険者、パーティ名、ロイヤルクラウン、勇者一行と呼ばれるアレスがリーダーのパーティーだ。 

 メンバーには、

勇者、アレス(男性)24歳。

戦士、ギド(男性)30歳。

重戦士、ガリウス(男性)45歳。

騎士、クライン(男性)28歳。

盗賊、ディーノ(男性)25歳。

アサシン、リー(女性)年齢不詳。

魔法使い、オーウェス(女性)28歳。

神官、ティーナ(女性)24歳。

の8人のパーティーである。


 ウェスタン・ネイビス大公国の依頼により西方の最果ての地にある神々嗚咽と言われる奈落のダンジョンの調査を任せられている。


 最近魔物の動向が異様に活発なので、西方面が特にひどく奈落のダンジョンに原因があるのではないかと公国の依頼で探索に来ている。


 勇者アレスは古代神の血を引く末裔である。

 パーティーメンバーとともに、難解な依頼をこなしてきたS級冒険者たちの集まりだ。


 奈落のダンジョン、入り口には現在の神々が張った結界があり、神々に許されたものまたは神々の血を引くものしか入れないとされている。


 奈落のダンジョンとはこの世界でも最上級のダンジョンであり終焉の神々が作ったとされる現存する最古のダンジョンの1つだ。


 最古の神々たちの繁栄の英知を記したといわれる説もあり永く封印されている。


 現在は神々により強力な結界で封じられている。

 人が千年以上、誰も立ち入ったことがないと言われている。


 歴史ではここから1匹のモンスターが出たことがあり、人間世界に甚大な被害が出てしまったという記録が残っている。


 現在世界を統治している神々たちも、古代神が作ったとされる奈落のダンジョンについてはわかっておらず、あまりにも危険なために封印させるしかなかった。


 勇者アレスの古代神の血によってダンジョンの封印はとかれた。

 この結果がどう世界に影響を与えるのかは、誰にもわからない。


 勇者ご一行パーティーと命がけの戦闘をおこなう『みつぐ』であった……

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