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第129話 嫁さん・・・


 ・・・


 夕暮れ時に、二人は久しぶりの再会に見つめ合っているとは何てロマンチックなのかしら。


 ・・・


 うぅぅ、やばいな、かなり私を睨んでいるよ。


 うっすらと口元に笑みを浮かべている。


 恐い、怖いよ、生きて帰れない気がする。


 なんとか逃げ出したいが隙が見当たらないのだよ。


 それに先ほどの魔法のせいで私の立っている地面以外、周りを掘り下げてしまったから、下に降りるしかないんだけど20メートルくらいあるから高いんだよ。


 あ、そうだ下に降りて横穴を掘って逃げよう。


 今はそれしか考えがつかない。


 ・・・


 「うふふ ダーリン今行くからね」


 ・・・


 やばい、こちらに近づいて来た。


 すぐさま飛び降りよう。


 私はとっさに下に飛び降りた。


 「ドスン」


 うぅ、からだ全身に響いた、痛い。


 すぐさま俊足で走り出す。


 走りながらメタルハウンドの魔法を使い機械的生命体に変身する。


 大きな触手に刃がついているのでこれを使えれば掘りやすくなるだろう。


 すぐさま側面に行き地面を掘り続ける。


 「あ、駄目じゃないの逃げるなんて、もう許さないんだから」


 私は穴を掘りだすが、突然からだが硬直し、自由が効かなくなる。


 それからからだが不自然に宙に舞う。


 こ これはいったい!


 からだが宙に浮いて自由がきかない。


 なんだこれは、これってもしかして念動力サイコキネシス ってやつか。


 あの危ない女性そんなことまでできるのか。


 いったい何者なのだ。


 私のからだは宙を舞って、掘り下げた穴から外に出され、草原に放り出された。


 うぅぅ、痛い。


 それから目を疑うような事が起こった。


 私が魔法で掘り下げた穴が盛り上がり、大地が元の姿に戻っていくのだ。


 見る見るうちに土が盛り上がり、穴がふさがりはじめる。


 平らな大地に変わり草が見る見るうちに生茂る。


 元の広い草原の状態に戻ってしまったのだ。


 !


 こんなことできる者なんて神しかいない。


 管理者か!


 こんなとてつもない異常なことをできるのは、この世界で管理者しかいないだろう。


 もしかしてあの危ない女性は管理者か、そうとしか思えないのだ。


 しかしシュマちゃんもそれに守護者のドラゴンも管理者の姿は一度も見たことがないと言っていた。


 どういうことだろう。


 管理者って肉体が存在していたのか。


 管理システムにある人工知能のような存在と思っていたけど違うのだろうか。


 それに私に会いに来るとは、目的はなんだ。


 もしかして人間界の事でイカロス魔導法国で私がイカロス軍と対峙した時に人間達にかなりの被害をだしてしまった。


 奈落のダンジョンの規定では、地上の原住民に直接手を下すことは例外はあるが駄目だったような気がするが、それに違反してしまったのだろうか?


 イカロス魔導法国では正直自分でもやりすぎたなと思っていたのだ。


 その事について制裁をしに私に会いに来たのか、そうとしか考えられない。


 ・・・


 うぅぅ、万事休すか。


 こうなれば、最後の手段だ。


 「ごめんなさい。

 すいませんでした。

 許してください」


 私は、危ない女性に対し大きい触手を地面に付かせ頭を下げ謝った。


 土下座して謝るしか思いつかなかったのだ。


 「ふふふ、わかればいいのよ」

 

 !


 許してくれた?


 どうやら機嫌は直してくださったみたいだな。


 なぜ、ここに来たのかを聞いてみなくてはいけないな。


 しかし日も落ち暗くなり夜に入って来た。


 こんな暗い草原の中で話していいのか。


 幸い月明かりがあるので少しは明るいからいいのだが。


 まぁ、管理者とは神クラスの存在だ、夜目もおそらく利くしどんな場所でも問題はないのだろう。


 そんなことも気にしないのかも知れないな。


 とりあえず何をしに来たか聞いてみるかな。


 「あ、あのもしかしてあなたは管理者様ですか。

 私、木下来飛と言います」


 「うふふ、知っていますよ。

 らいと、長い付き合いでしたからね」


 「それで、こんなところに何をしに来たのですか?

 もしかして私に制裁を加えるとかないですよね」


 「うふふ、制裁ですか。

 確かに鬼人の国で変な事を言っていましたからね。

 お仕置きが必要なのかも知れませんね。

 でも未遂だったから許してあげてもいいでしょう」


 鬼人の国だと、鬼人の国ではたいした事していないはずだ。


 鬼人達と争いごとはしていないし、沙也華さんの事もおそらくだが元の世界に返せたはずだ。


 あの時何となくだが元の世界に返せたと確信して思ったのだから。


 まさか死んでしまったとか、でも彼女が望んだ事だったので死んでも望みを叶えたのだから結果は良いのだろう。


 それ以外に異世界に飛ばされ生きていたという事だったらかなり問題だけどどうなんだろう。


 あの時の判断は浅はかだったのかな。


 確実では無いことはやらない方が良いという事か、確かにそうかもしれない。


 教訓と思い次はやらないようにしよう。


 次があるのかが今は問題なんだけど。


 あとやった事は魔王ツインデットリー・パイソンと戦ったくらいだ。


 やつと戦ったが他に被害は出していないはず。


 あ、もしかして奴に取り込まれた4人の異世界人は殺したかもしれないが、まさかそれが関係するのだろうか。


 でもあれはすでに肉体ごと魔王ツインデットリー・パイソンに取り込まれて死んでいたはずだ。


 魔王ツインデットリー・パイソンは異世界人の姿だけを模していただけだったはず。


 もしかしてあの取り込まれた状態で生きていたのか。


 確かに変な事しゃべっていた気がするがどうなんだろう。


 知恵のある魔王とか話を聞いたけど、知能は実際はなかったみたいだ。


 毒を使うでかい蛇の魔獣で力と特殊能力はあったけど、頭を使った戦い方など一度もしてこなかった。


 おそらくは偽装だけしていただけの魔物で、上についてたのは飾の人間が適当にしゃべるから知恵がある魔物と勘違いしていたのだろう。


 戦って思ったのだが何も頭を使った攻撃をしてこなかったからそう感じたのだ。


 ただ見た目が人間の首を取り込んでいたから、あの魔物を見たものが知恵がある魔物と勘違いをしてしまったのだろうな。


 すでに異世界人の四人は死んでいたのでそのことで私を咎めるとは思えないけど、その他になにか間違う事をしていたのだろうか。


 ここはわからないが、とりあえず頭を下げ許してもらおう。


 それしか私には出来ないんだ。


 「すいませんでした。

 以後気をつけますので許して下さい」


 「うふふ、そうね。

 そこまで言うのならば許してあげてもいいわ」


 「有難うございます。

 でも管理者様はなんでここに来たのですか」


 「うふふ、それはね。

 その前に私の名前はシオリ、カンナサキ・シオリよ。

 シオリでいいわ。

 そう呼んでもらいたいわね」


 「わかりました。

 詩織様と呼ばせてもらいます。

 ところでご用件は何ようですか」


 「うふふ、それはね。

 私が鬼人の国で見ていた事が気になって確認しに来たのよ。

 それに、ダーリンにも会いたかったしね」


 ?


 どういう事だ。


 先ほどから私の事を、ダーリンとか言ってるけど、この女性とは面識がないぞ。

 

 それにローパーがどうのこうのとか言っていたような。


 よく聞き取れなかったけど、ダンジョン内で私の行動を見ていたのか?


 まさか私が奈落のダンジョンでいたローパーの彼女の眼を通して行動を見ていた可能性があるな。


 先ほど見た桁違いの能力とかあるから、そんなことできても不思議ではない。


 それに守護者のドラゴンと話していた時に途中まるで別人が受け答えするような感じがした時があった。


 あの時、目の前にいる守護者のドラゴンは管理者がからだを借りて話しているのではないかと思ってしまったのだ。


 まさかと思ったけどそれは当っていたのかもしれない。


 もしかして、奈落のダンジョン内にいるモンスター、すべての眼を通して見渡せる能力とかあるのかも知れないな。


 守護者のドラゴンは管理者がバックアップ使って再生したと言っていた。


 奈落のダンジョンにいるモンスターはすべて管理者によって作られたといっていいだろう。


 それに先ほどの大地の再生だって、どう見たって異常すぎるだろう。


 あんな力あるのならば他にいろいろ能力を持っていても不思議ではない。


 あぁぁ、関わってはいけない存在に出会ってしまったのか。


 こいつは最終ボスに位置するやつだ。


 裏ルートでしかあえないボスみたいな存在だろう。


 ルートを間違って出会ってしまったのか、どこで分岐点を間違えたんだ。


 運が悪すぎるだろう。


 そんな裏ボスクラスの奴だ、私の思考を読んで、前世の事を知っていた可能性も高いな。


 私の思考を読んで、名前とかわかった可能性がある。


 うわー、思考も全部読まれていたのか。


 なんか怖くて恥ずかしい感じがする。


 変な事考えない方がいいな。


 下手をしたら今も心を読まれているかも知れない。


 でもそういうこと考えてるとつい余計に変な事を思ってしまうんだよね。


 落ち着け冷静になれ決して頭のおかしい危ない女性だと思ったことを悟られてはいけないぞ。


 あぁ、もう遅いか。


 思考を読まれているのだったらどうしようもないか、ここはひたすら心の中で謝っておこう。


 それしか私にはできないのだから。


 ・・・


 とりあえずもう少しだけ聞いてみるかな。


 「鬼人の国の時に確認とはいったい?」


 「それはあなたの事と、異世界から来た綾小路沙也華さんについてですね。

 詳しくお聞きたかったので、ローパーのからだを乗り換えてこの特殊バイオロイドサイボーグのからだで地上に来たのですからね。

 さすがに私もあのローパーの姿で地上には出られませんからね。

 久しぶりの元の人間の近いサイボーグのからだに入ったので高揚してしまったわね。

 それにあなたの事とも会いたかったしね。

 でもね、沙也華さんと浮気まがいな事しようとしたのは嫁として許せないわ。 

 たとえ言葉のあやだったといてもね。

 でもそれは先ほど謝ってくれたので許してあげるわ。

 私は寛大だからね。

 ねぇ、ダーリン」


 今の話だとローパーの彼女からからだを入れ替え今の人間の姿のサイボーグのからだで私に会いに来たっていったよね。


 それって私と過ごしていたローパーの彼女は管理者だったのか。


 えぇぇー、もしかして管理者って私の嫁さんだったのか・・・


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