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第122話 なんでこうなるの・・・


 とりあえず、私達は使節団の派遣されるルートをたどり、ノザック村へ向かう事にした。

 

 ルートは先日の戦いの中私達を見張っていた、イカロス魔導法国の諜報員、ドル・ドレイクからいただいたアストリア大陸の地図を参考にしてオルガさん達獣人と人間側の使節団の護衛団達で話し合って決めたらしい。


 ドルから見せてもらった地図の模写がかなり役にたっていたらしいな。


 双方ある程度は地理は把握していたみたいだが、地図上で事までは詳しく知らなかったみたいだ。


 でも、人間達に重要機密な地図を見せてはいけないと思うんだけど、その辺の事が獣人達って思慮が足りないと思ってしまった。

 

 まぁ、その辺は仕方ないんだけどね。


 決定したルートの中に、何カ所か待ち伏せできる箇所があるらしいのでそこら辺を重点的に調べてみよう。


 黒猫族の村に向かう間、休憩地点にする予定だったところが、待ち伏せには適している場所とある程度わかった。


 その中でも一番怪しいところがあり、ほんとにわざとこのルート通るのって言うくらい不自然な場所があったのだ。


 ちょうどカンザス領とオルネニア領の境目で、獣人達が管轄する場所に入っていたが国境近いので、争いを避ける為近づいてはいけない場所だった。


 森林地帯の中で唯一、岩ばかりあるところになっており、この場所には特に何も無く魔獣も滅多にあらわれない。


 道のようなものができているので、通れることはできるらしい。


 ここしか闇討ちする場所が無いと言っていいくらい適しているのだ。


 南西の大森林内に唯一大きな岩山があり、ちょうど獣人達と人間達が大森林内で活動するエリアの境目なのだ。


 条件が整いすぎていないかな?


 あきらかに闇討ち前提で計画されたルートみたいなのだ。


 人間界でこんなところがあったら、盗賊とか岩山に隠れ待ち伏せているぞと思われる場所なのである。


 あきらかにわざとここを通るルートを選択したとしか思えない。


 ルートを決める時に参加した人間もぐるなのがわかるな。


 もし本当に闇討ち者がいたならばの話だが。


 黒猫族の村に行く途中の配置では人間界までは冒険者達の斥候を先に出して、魔物の動向を調べながら進み、一端境目の岩山付近で休憩をとり、そこからは獣人界の人達が斥候をおこなって黒猫族の場所まで案内すると言う話になっていたらしい。


 人間達も黒猫族の村があることは一部の冒険者だったら知っていると聞いた。


 暗黙の了解で縄張りも、決めてあったみたいだが、一部の好意にしていた人間の冒険者達は少しだけ黒猫族と交流があったらしい。


 獣人界、最強の駁猫族が仕切っていたから、滅多に黒猫族の村まではこなかったらしいけど、迷ってたどりつく冒険者や貴重なものを欲しくてアイテムを交換しに来ている人はいるそうだ。


 このルートは休憩地点には適しているがやはりおかしいよな。


 人間の指示で誘導されていたら、別動隊の暗殺者が隠れていて、襲われ間違いなく一人残らず殺されるのは確実だな。


 いくら獣人達の精鋭でも数をそれなりに集められれば防ぐことはできないだろう。


 こんなに闇討ちができそうなとこがあるなんてね。


 あくまでオルガさんの感なので当っていない事を願いたいね。


 ・・・


 使節団の暗殺があったのならば、人間界と獣人界の戦争も起きても不思議ではないな。


 まさか、そこまでオルネリア武游国が考えているとは思わないが、結局これって利益目的の縄張り争いって事になるのかな。


 連邦を率いるネイビス大公国はどう考えているのだろう。


 カンザス国は獣人との交流がある。


 争いになる火種を消したい為に動いていると思っているのだが、他国の横やりで事がよからぬ方向へ進むと言う話はよくあるのだが、こうもわかりやすくあざとく行動できるものなのかな。


 貴族が支配する国だから、頭が決めてしまえばこんな不利益になる事がまかり通ってしまうものなのか。


 所詮は搾取目的である貴族の治める世界か、こんなことやっていれば争いなど一向に収まる気配がないぞ、逆に拡大してくる。


 それを、利用していたのが神と自ら名乗っていた翼人と臭獣人て事か、自分たちの立場を向上させる為にどいつもこいつも動いているのだな、もっと平和的で穏やかにはできないのだろうか。


 所詮違う生き物どうしか、分かり合えることなどできないって話だな。


 特に私のようなモンスターは相いれないだろうな。


 やはりすぐにでもこの地上から私は去ったほうが良いな、私が望まない事でも知らずに事が運んで大きくなっている。


 しかしイカロス魔導法国であれだけの参事を招いたのに学ばないとはね。


 やはりネイビス大公とやらに一言ガツンと言ってやらないと気が済まないな。


 それで済めば良いんだけど、私みたいなモンスターの戯言と言って分かり合えない可能性は高い。


 でも言わないとわからないだろう。

 

 言っても馬鹿だったらわからないかもしれないか。


 貴族って搾取目的が当たり前と思っていそうだから、そこが問題なんだよね。


 あぁ、考えていると頭がいろんなことがごちゃまぜになってこんがらがってきたな。


 これは完全に私の知らない間に利益目的の人間達の厄介ごとに巻き込まれてしまったと思えてきたよ。


 はじめに地上へ来て関係したのは私だから責任は重く感じるな。


 でも、最初に奈落のダンジョンに冒険者を派遣したのはネイビス大公国連合だ。


 今回、神を名乗る異世界人達がしかけてきたのだから、あのまま臭獣人が動いていたら大規模な戦乱が起きていたのかも知れない。


 くそう、全てはあの臭獣人カイゼル・ハートだったかな、そいつが動いたのが悪いのだ。


 動かなければダンジョンで引きこもっていられたのに、こんな地上でのこと関わるのは嫌なのだよ。


 元人間だったから人それぞれのいろいろな事情が交錯する事がなんとなくわかるから嫌なんだよね。


 早めに撤収すればよかったな、そのことを今になって後悔している。


 愚痴を言いたくなってしまった。


 まぁ、あくまでオルネニア武游国の暗殺者がいたらの話だが、いなければ何も問題はなくていいんだけどね。


 ・・・


 私達は大雨の中、使節団が来る予定だったルートを逆走する。


 オルガさんの後について行く。


 オルガさんには細心の注意を払って進んでもらう事にしている。


 獣人界をすぎ半分くらいまで来たが、ここまでは特に問題はなかった。


 これから人間界と獣人界の縄張りの境目にあたるな。


 例の怪しい岩場の場所に付くので慎重に進んでみる。


 ・・・


 「オルガさんストップ」

 私はとっさに声をかける。


 「どうしましたみつぐ様」


 私は望遠透視能力ルビーアイ を使いこの先を見ている。

 

 「ここから10キロ先に岩場があるんだが、この辺に獣人達の集落があるのかな」


 「いいえ、そのような村は御座いません。

 なにかあったのですか?」


 「えぇ、黒猫族のテントよりはかなり小さいですが数が16個のテントが張ってありますね。

 地図と照らし合わせても。使節団が休憩を取る予定場所ではないのかな。

 先に休憩所用意してあるて事はないですかな」


 「そのような、話は聞いておりません。

 ただ少しだけ休む程度で考えていたので」


 「なるほど。

 テントの中も詳しく見てみようかな。

 うむ、武装した人間がテント内で休んでいますね。

 1つのテントに3から5人か。

 あれおかしい1つだけ妙な事をやっているテントがある?

 酒でも飲んでいるのかな?

 テントの1つでおかしな奴らが見かけますね。

 大柄な戦士風な男と貴族風な格好をしたやつが三人ほどいる。

 その他はあきらかに武装して何かを待っているみたいだがこいつらは違う。

 外には斥候が何人か見張っていますね。

 今正確に何人いるか人数を数えますんで、

 一人、二人、三人、四人、

 ・・・

 56人の冒険者らしいのと、3人の貴族?と1匹得体の知れない奴? がまぎれ込んでいますね。

 人間では無い。

 なんだこいつは」


 「なんとそれは」


 「どうやらオルガさんの感は当ってしまったらしいですね。

 それにどうやら私が探している奴も一緒にいるとはね。

 これは困った事になったな。

 のんきにこんなところで酒盛りなんかやっているとは。

 なにを考えているんだこいつは馬鹿じゃねえのか。

 それに人間に擬態しているのか?」


 テントの中で中年の赤髪の長いぼさぼさした髪をした褐色の肌の大男が酒を飲んでいるのが見えるのだ。

 どう見ても人間では無く、何かの化け物が人間に化けているのがわかる。

 魔法力の感じからあきらかに前守護者のドラゴンとわかるのだ。


 「みつぐ様、それは」


 「ギンジさん至急ここから安全なところに離れてくれませんか。

 もっともあいつとやり合えば安全なとこなどどこにもないのですがね。

 厄介なことに私は指令を受けていてね。

 あいつを奈落のダンジョンへ戻ってくるか聞かなくてはならないんですよ。

 不意打ち等で仕掛ければなんとか私でも勝てる気もするんですがね。

 今回は一言聞かなくてはならない

 やり合うとしたら正面からになってしまう」


 「それってみつぐ様が探していた守護者のドラゴンの事ですか?」


 「正解です。

 なんでこんなところにいるのか、それも人間の姿に擬態しているとはね。

 力の感じは弱く感じられますが、あきらかにあの感じ奈落のダンジョンの前守護者のドラゴン、シューティング・ゲイトで間違いないです。

 300年間人間界にいたのだろうか?

 まったくわからない奴ですよ。

 前守護者を見つけたので奈落のダンジョンに直視の宝珠で知らせますんで、もし私に何かあった時には奈落のダンジョンから守護者のドラゴンかタコ型のモンスターが出てくると思うので、その時はそいつらを頼ってください。

 見た目は私と同じあれですが、私同様話の分かるモンスターです。

 困った時はそいつらを頼って下さい。

 念のた為、今から一報を入れておきます」


 ・・・


 怒ちくしょう、人間界だけの問題だと思ったら、奈落のダンジョンの肝心な奴が関わってきたよ。


 これじゃ、先日仕掛けた神を名乗る者達の事を悪くは言えんだろうが。


 奈落のダンジョンの関係者がこんなところにいるとは目も当てられないぜ。


 こんなこと、ここでやっているのでは奈落のダンジョンに帰れないじゃないかちくしょうが。


 ・・・


 私は直視の宝珠を取り出し話しかける。


 「あ、ぁ テスト、テスト、奈落のダンジョンへ通達します。

 前守護者のドラゴン、シューティング・ゲイトらしき奴を発見しました。

 人間に擬態していますが間違いなく前守護者のドラゴンです。

 発見したのは良いのですが何をとち狂っているのか、人間の暗殺者らしき者達と岩場のテントで酒を飲んでいます。

 詳しくはそちらで状況を確認して下さい。

 私は接触を試みますが、戦闘になる可能性が大きいと予想されます。

 そのことお伝えておきます。

 もし前守護者のドラゴンと私が戦闘で戦って死んだ場合には獣人界に多大な影響があるかも知れません。

 前守護者のドラゴンは人間界に紛れ込んでいますので可能性はあります。

 獣人界に迷惑がかかると心残りなので、あとのこと頼みます。

 これは奈落のダンジョンで起こった不祥事ですから奈落のダンジョンの者で対応するしかないです。

 それでは守護者のドラゴン、ゲイトさんそれにシュマちゃん私が死んだ場合その後の事を頼みますよ。

 以上通信を伝えます」


 私はそう言って直視の宝珠から話しかけるのをやめる。


 そして直視の宝珠を駁猫の族長ギンジさんに渡す。


 「ギンジさん獣人界で何かあった時は、その宝珠に話しかけて奈落の管理者に助けを求めてください。

 返事はきませんがきっと聞いてくれるはずです。

 おそらくですが守護者の赤いレッドドラゴンかタコ型の奇形なモンスターが来るので、二匹とも話の分かるモンスターなので怖くはありませんからね。

 それじゃ、できるだけ遠くに避難してもらえませんか」


 「わかりました。

 みつぐ様、ご武運を」


 そう言って駁猫族の獣人達は去って行った。


 ・・・


 ふぅ、最悪だ。


 興味本位で行ってみようかなと、言うのではなかった。


 暗殺者らしき56人の冒険者と前守護者のドラゴンと戦闘になるかも知れない。


 貴族みたいな3人は数に入れないでいいだろう。


 冒険者の暗殺者だけだったら、こちらで近づいて一応要件を聞いて襲ってくるようだったら戦おうと思っていたけど、前守護者のドラゴンがいるのだと話が違うのだよ。


 シュマちゃんからの言い付けもあるし、一応現守護者のドラゴンにも討伐していいと確認をとってはある。


 逃げても良いって事にもなっているが、この状況そんなことはできないだろう。


 と言うかなんでこんなところであのドラゴン酒盛りしてるんだよ。


 他の冒険者は戦闘態勢整えてじっと待っているのにね。


 意味がわかんねえぞ。

 

 あんなに人間とうちとけているのを見てはもう奈落のダンジョンへ帰ってくるはずはないではないか。


 しかし、なんでこんなところで酒盛りをしている。


 もしかして人間界で酒をのみ、味が忘れなれなくなってこの地上に居座っているのか。


 なんか、どこかで似たような聞いた話があった漫画を読んだ気がするのだが忘れてしまったな。


 それよりなんで人間に化けているの?


 もしかして人間に化けられる変身の魔法ってあるのかな。


 守護者のドラゴンは15メートルクラスあるのだぞ。


 それを人間サイズに変えられる変化の魔法があるとは羨ましいな。


 なんかそちらの方が気になっているが、今はそんなことではないな。


 今回はシュマちゃんの言い付けで前守護者のドラゴンに奈落のダンジョンへ帰ってくるように言わなくてはならない。


 きつい言い付けだな。

 

 多分あの分では帰ってこないだろう。


 そうなると討伐は決定だ。


 それにここに居る冒険者は、まだ暗殺とかしていないので、あくまで未遂の容疑で直接戦闘はできないんだよな。


 相手が襲ってきたら戦う予定だったのに。


 現場はおさえてあるが実行していなく被害も出ていないので、罪に問えないって感じかな。


 面倒な事だな。


 そうなると真正面からこいつら全員と戦うしかないではないか。


 それも相手から見れば、突然凶悪なモンスターが出たので戦うと言う理由にもできる。


 冒険者はたいしたことはなさそうだけど、特殊な攻撃とかアイテムがあったりしたら、こちらも痛い目に合うから油断はできない。


 特にモンスターボックスの罠があったら厄介だな。


 今のところ見た感じ無いのだが。


 問題は前守護者のドラゴンか。


 正面から戦うっのって、そんなの自殺行為ではないのかな。


 私は闇討ち上等を掲げているモンスターだよ。


 相手が気付く前にこちらから仕掛けると言うのが戦闘スタイルだから。


 モンスターらしくない卑怯うな戦い方をするのが私のスタイルだから、それを正面から戦うとは何事だ。


 とりあえず、奴に会う前に全補助スキル使って戦闘態勢で行くしかないか。


 それでも正面からおそらく戦うんだよ、きつくないか。


 幸いダンジョンからの魔力の供給はある。


 それを全開にして挑むしかないか。


 あぁ、暇だから行ってみようかなと思うのではなかったよ。


 こういうことが待ち受けていると思いもよらなかったな。


 あとからいつも後悔するんだよね。


 あ、そうだ直視の宝珠に彼女の事を頼むの忘れていた。


 ま、いいか。


 彼女はうまくやるだろう。

 

 子供達もいるしね。


 さて、また腹をくくってやるしかないのか。


 地上に来てもヘビーな生活をおくるとはモンスターも楽ではないな・・・ 


 

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