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第0章 0-4 :通信 2

やっと通信が終わりました。

まだまだ続いてしまう気がしてすこし無理矢理終わらせたのはここだけの秘密という事で。

連絡の返信を待っている間、そう言えばカイルも連れて来ていたなと思い出したアイラはふと後ろを振り向く。

振り向いた先に居たのは地べたに大の字になって寝ているカイルの姿だった。


(こやつのこの姿を世の女子に見せてやりたいもんじゃの。)


そう思うと深く溜息を吐く、カイルを起こした方が良いのかと考えていると水晶から声が聞こえてきた。


「あ、アーアー、これで繋がったかいの?」


「おぉ、久しぶりじゃのダン。繋がっておるのじゃ」


多少不安げに水晶から聞こえてくる老人を思わせる声は[亜人族]のドワーフである【鍛治】の賢者 ダンの物である。

彼はありとあらゆる武具生産に精通しており、特殊な武具を使用するセナを除く全ての七賢者の装備はダンの作成したものなのである。

余談ではあるが彼の弟子達が作った量産品とは違い、ダンが人となりを見て直接生産した武具を持つことは全ての戦いを生業とする者の夢であり、その武具の価値は城が建てられるレベルと言われている。

彼を知る故郷のドワーフ達の中には鍛治の神だと崇める者までいるようである。


「つうしん?を掛けて来たのはアイラか!久しぶりだのう! それにしてもこのつうしん用水晶とやらは便利な物だのう」


「確かにの。こればっかりはワシにもダンにも作れんものじゃし、セナに感謝じゃ。」


「魔道具の仕組はサッパリだのう、一度セナから話を

聞いたが全く分からんかった!」


そう言って大笑いするダン。

このまま世間話を続けたいところだが、今回はきちんとした用事がある為に話を変える。


「ワシにもサッパリじゃ。ところでじゃが。ダン、お主に一週間後の夕刻にワシの研究室に来て欲しいんじゃが空いておるかのう?」


「ふむ、一週間後は特に依頼も入ってないから問題ないのう。 何かあったのかのう?」


「それは有難いのじゃ、というのも時空術が最終実験段階まで来たのじゃ、それで七賢者の皆に立ち会って貰おうと思っておるのじゃ。」


「なるほどのう、了解したわい。 それじゃあまた一週間後にのう。」


「それじゃあ、また一週間後にじゃの。」


そう言って通信を切る。


残り二人からの連絡を待つ為に水晶を見つめる。


「あと2人か、またあやつらはイチャコラしとるんじゃろうな…。」


ボソッと呟くアイラ。


「戦後処理大変。私達夫婦は貴女みたいな研究馬鹿とは違う。」


「ひょわあああぁあぁ!?」


突如後ろから聞こえた声にアイラは思わず叫び振り返る。

振り向いた先に居たのは


「ひょわあああぁあぁだって。ププッ。」


「わ、笑っちゃ失礼でしょカノン。後ろからいきなり声を掛けられたら誰だって…ププッ」


「ランドルだって笑ってる。プッ。」


肩を震わせて笑うフードを深く被った男女だった。

聞き覚えのある声にアイラは恥ずかしさから顔を真っ赤にして


「お主ら夫婦はなんでいつも突然現れるんじゃ! 毎回毎回驚かされるワシの身にもなってほしいのじゃ!」


恥ずかしさを紛らわすようにそう叫ぶ。


「今日はたまたま王宮に用事があって2人で来てたんですよ、それとカノンが貴女を驚かす事に関してはそろそろ慣れて下さいとしか言えません。」


「王からここにいると聞いて来た。アイラを驚かすのは楽しいからしょうがない。ひょわあぁ、ププッ」


そう返事する2人は改めてアイラに挨拶する。


「こんにちはアイラさん、お久しぶりです。」


「久しぶり。ひょわあぁ。プッ」


そう言うと2人はフードをパサリと降ろす。


男の方は相変わらずの美少年具合で年齢は18歳程に見えるがその耳から出た犬のような耳と尻の部分から出ている尻尾で犬に系統する[亜人族]と言うことが見て取れる。

彼を【操作の賢者】ランドル だと知らなければ可愛いと抱き着いてしまう事間違いなしだろう。

彼が【操作の賢者】と呼ばれる由来は野生の魔物は勿論の事、しまいには天候まで操る事が出来る事からである。

本人曰く人間は操る事が出来ないとの事だが、アイラはそれも不可能では無いと思っている。


そして未だに笑いに堪え肩を震わせる女の方は男と同じ18歳くらいであろうか、腰を超える長さの漆黒のようなストレートの髪を靡かせる、どことなく妖しさを感じさせる雰囲気を持つ美少女である。

彼女が他とは違うのはその額から出た二本の角と背中についている大きな羽だろうか、言うまでも無く彼女は[魔族]であり、そんな妖しさを感じさせる女の名は

【死の賢者】カノンである。

彼女が【死の賢者】と呼ばれるのは彼女が死霊術師であり、その双腕に魔法陣の知識のある者なら見るだけで震えてしまうだろう、死を操る為の邪としか言いようのない青く輝く魔法陣が刻まれている事からである。


そんな彼ら2人の左手薬指には同じ装飾がされた銀の指輪が輝いている。

そう、何と言ってもこの2人は夫婦なのである。

当時自らの種族同士が争って居た事もあり、結婚に行き着くまでには紆余曲折があったのだがその話はまた機会があれば、と言う事にしておこう。


未だに笑われるアイラは無理矢理話を変える。


「クッ、そんなに笑わんでも良いんじゃないかのう。

まあこの話は置いといて、じゃ。少し手伝って欲しい事が出来たのじゃが2人は一週間後の夕刻は空いているかの?」


「一週間後の夕刻?何かあったんですか?手伝って欲しい事とは?」


「アイラが私達に頼む事なんて決まっている。恐らく何らかの魔術の大きな実験をするつもり。そしてそれは今までの話を照らし合わせると時空術。」


何の事かと分かっていないランドルをよそにカノンは自分の出来る限りの予測をフル活動させて推測する。


「時空術だって!?それは本当なんですか、アイラさん!」


「おぉ、本当じゃよ。既に小型の魔物での実験は済んでおる、最後に人類実験をして終了じゃ。

それにしてもカノンはやっぱり凄いのう。 今から言おうと思った事を全て言われてしまったわい。」


「当然。夫がこれだから私が頭脳を担当している。]


「夫を"これ"扱いって・・・。」


そう項垂れるランドルだが、気持ちを切り替えて


「それでは一週間後ですね。それではまた、アイラさん。寝ているカイルさんにも宜しくお伝えください。」


そう挨拶してカノンと共に部屋を出て行った。

アイラは


「これで全員と連絡が取れたのじゃ、ほれカイル!そろそろ起きるんじゃ!いつまで寝てるんじゃ!」


そう言ってカイルを叩き起こして水晶の部屋を後にするのだった。



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