逃亡
山なりに飛んで来た発光物体は、アレン達の数十メートル手前に落下すると、巨大な爆発を起こし硬い木材である黒木なども容易く吹き飛ばし、離れた場所にいたアレン達も爆風で体が飛ばされる。
コリダロスは素早く身を起こすと、飛んで来た方向を凝視する。
「……やはりこちらの存在に気づかれているな。しかし、まさかこんな所にまで進軍してきているとは」
状況を確認し終わると、アレン達の怪我を確認して告げる。
「刻印者様、我々は直ぐに身を隠す必要があります。追っ手が掛かるぬよう、森の中を通り別ルートで王宮へ戻ります」
アレンはマナの体を起こしながら頷く。
辺りを見ると、乗っていた山羊のような動物たちは、さっきの爆発で死んでしまったようだ。
コリダロスの部下の中にも、動かない者が2人いる。
そんな混乱を切り裂くように、笛の高い音が聞こえた。
コリダロスとその部下達は、その笛の音を聞いた事があった。
「コリダロス様、このままでは敵が集まってきます。残った我々が敵を引きつけるますので、刻印者様と共に王宮へ向かって下さい」
部下はそう言うと、散らばった荷物の中から武器を手に取り、この場にやってくるであろう敵に備え始める。
コリダロスは部下達の顔を一人一人確認すると「頼む」と一言だけ言い残し、アレン達を連れ森の中へと入って行った。
「大丈夫なのか?コリダロス」
恐る恐るアレンは聞いた。
「部下達ですか?奴らはこの国の精鋭です。やられたりはしませんよ。それよりも、深刻なのは我々の方です」
コリダロスは地図を確認しながら、話を進める。
「バルバロ軍の進軍が想定していた以上に早く、王宮へと帰還するための最も近い道は寸断されてしまいました。ですのでバルバロ軍を避けるように迂回せねばなりませんが、そのためには道無き道を通る必要があり、体力を多く消費してしまいます」
「大丈夫よ。私達も田舎育ちで体力には自信あるから!」
マナは明るく答えた。
「それは心強い、ですがこの先はモンスターも出ますので、万が一私が倒れてしまった場合に備えて、王宮への道筋をあなたがたにもお教えしておきます」
コリダロスは森の中を駆けながら説明を始める。
聞いた事の無い地名に、初めて見る地図。頭に入れるには時間がかかる。
行程の半分ほどまで説明を終えたころ、森の中に大きな声が響いた。
「居たぞー! こっちだ!」
声の主はバルバロの兵士だ。
「追っ手!? こんな森の中でどうやってここまで? それに早すぎる」
アレンの疑問にコリダロスが推測した答えを出す。
「恐らく魔力を感知できる者が居たのでしょう。それを想定し忘れるとは迂闊でした」
アレンはマナを見た。
「感知? スノウみたいな感じか。ならこの視界の悪い森の中を逃げ回っても、俺たちの位置がバレてしまうんだな」
「そうね、感知が出来るやつだけ倒せれば良いんだけど」
二人の会話にコリダロスが割って入る。
「いけません、今はとにかく逃げる事だけを考えて下さい。バルバロの小隊には、稀にとんでもなく強い者がいる場合があります。もし迫ってきている兵たちの中にそいつが居たら我々でもひとたまりもありません」
「そんなに強い奴が(小隊)にいるのか」




