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デモンズ・ゲート  作者: 梅
第2章
31/50

キャスタル


 顔面が砕けた。そう思うほどの衝撃を感じ、目に映る床には鮮血が滴り落ちる。ジャオシンジャの強烈な一撃で、たやすく戦意を喪失させられた。

 「他愛もない」

 ジャオシンジャの言葉に、言い返す事も出来ない。


 「時間は掛かったが、いざ事を起こして見れば拍子抜けするほど簡単な仕事だったな」

 グリーヴァは見下すような目でこちらを見る。

 

 その言葉に疑問がよぎる。

 「……ならば、なぜ初めから……キャスタルを狙わなかったんだ」

 「頭を打って考察も出来んか?」

 そう言うとグリーヴァは鼻で笑った。

 「まぁ、どうやって国が死んだの位は教えてやろうか。……まずホーストンは悪魔の門の試し打ちだ。召喚するのにど れほどの力が必要で、どれほどの被害を出せるのかのな」

 それを聞くだけではらわたが煮えくりかえる思いだった。

 「そしてマレーシュは悪魔の門の脅威を分からせる為だ。続いてキャスタルにはデタラメな噂を流し、民衆を不安に陥れ、不安に駆られた民衆は国を去り国力を更にそぎ落とす。そうすれば初めから勝ち目の薄いお前らに残された選択肢は、潔く散るか頭を垂れて降伏するかのどちらかしか残されていない。もちろんお国柄、降伏するとは思っていなかったがね」

 「こちらの予想通り、お前らは国中の戦力を集め、捨て身の攻めに出る事を決めた。後は一点に集めた所に、悪魔の門を召喚し全滅させるだけだったわけだ」


 今までの出来事がこいつの思惑通りに進められていた とは。

 「……潜入部隊、全員がバルバロの刺客だったのか?」


 「いや俺とジャオシンジャ、それとユウだけがバルバロの刺客だ」

 「ならキャンディは、なぜそっちにいる?」

 「キャンディとナオは、俺の魔法で操らせて貰っている。……いや、操ると言うよりは洗脳。と言った方が正しいかな?」

 「しかし戦闘に優れるナオはともかく、キャンディはもう用なしだな」

 そう言うと、グリーヴァはキャンディをひざまずかせ手を地面につけさせた。それはまるでギロチンにはめられた者の恰好に似ている。

 手に持った金属の棒の先端から、大鎌の刃が出現する。あれがグリーヴァの魔装具なのか。

 「待て! 何をするつもりだ」

 グリーヴァのしようとしている事を察し 、身を起こそうとするが、ジャオシンジャの棍が上から頭に振られ顔が床に打ち付けられた。

 

 「お前たちは絶望を見、憎しみを放ちながら死んでゆけ。それが悪魔の門の力の源となる」


 キャンディの首に下から鎌が構えられたかと思うと、グリーヴァは躊躇なく鎌を引き上げた。

 鈍い音と共に、首が床に転がっていく。


 グリーヴァが何か言っているようだが、耳に入らない。

 体が熱くなっていくのを感じる。

 立ち上がろうとすると、また棍が襲い掛かる。それを片方の剣で弾いた。

 

 「あら、片手で防ぐとは。……怒りで魔力が上がったからかしら?」


 初めて刻印に願った。発動してくれと。そして……。

 「お前らを……殺す!」


 怒気と 殺気のこもった声に反応するかの様に、右手に刻印が浮かび上がり輝きを放ち始める。


 「……刻印だと?」

 ジャオシンジャの棍を斬り払い、信じられないと言った顔をしているグリーヴァに向かって、一気に間合いをつめ

 力の限り剣を振りぬいた。

 しかし、剣はグリーヴァの腕で防がれる。

 「魔装? そんなはずがない!」


 「何故そう思う? ……刻印者は自分だけだとでも思っていたか?」

 それを聞き終えた後に、グリーヴァが自分とは桁違いに魔力を放っているのに気付いた。そしてグリーヴァの額に輝く刻印に気が付いた。

 「まさか、おまえも刻印を持っているのか」

 「悪魔の門を召喚していると言った時点で、ある程度は予想するべき事だと思うがな ?」

 

 驚き固まるアレンに、グリーヴァの魔装具である大鎌が振り払われ腹を貫く。

 致命傷を負ったアレンは、刻印の輝きが失われると同時にその場に倒れた。


 「お前たちを、この場で殺すには惜しいな。俺に対するその深い怒りと憎しみは悪魔の門の力となりうる」

 グリーヴァが何か唱えると、床が黒く染まっていく。すると体がその黒い部分に飲み込まれ始めた。

 

 「これは闇に転送魔法の様なものだ。何処に行くのかは知らんがな。生きてどこかにたどり着いたのなら、俺を恨め、怒り憎しめ! それだけがお前らの生きる価値だ」

 


 闇に飲まれる前に見たグリーヴァは笑っていた。

 体は闇へ、深く黒い世界へと引きずり込まれる。

 すべてが黒の世界 だったが、血が流れ過ぎたのか知らぬうちに気を失っていた。


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