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デモンズ・ゲート  作者: 梅
第2章
25/50

あの声


 ケイムは魔法陣を展開させ、魔力を溜め始める。

 「アンジ少しだけで良い! 巨人の気を引いていてくれ!」

 「何すんのか知らねぇけど、早くしてくれよ!」

 

 アンジは炎を巨人の目に放つ。

 魔法が通らないのは分かっているが、炎で目隠しをし巨人の攻撃の命中率を下げれる筈だと考えた。

 しかし、巨人は正確に攻撃を繰り出して来る。

 「何だこいつ! 透視でも出来んのかよ!」

 アレンほど敏捷性が無いアンジでは直ぐに攻撃に掴まるだろう。

 

 「アンジ! 僕の槍を使ってくれ!」

 槍をアンジに渡すとダートンは巨人の前に出て、気を自分に向かせる為に走り出す。

 アンジは受け取った槍に魔装を集中させ、攻撃の機を伺う。

 ここで巨人は、今までに行わなかった攻撃を繰り出して来た。

 今までより高く上げた足は、地面を抉りながら蹴り抜く。剥がされた岩盤はダートンに直撃した。折れた骨の痛みと、胸を打った事による呼吸困難にもがき苦しむ。

 アンジは助けに行きたい気持ちを押し殺し、突き刺さったままの花鳥風月の近くに槍を刺そうとするが、足に到達する前に巨人の魔装の所で砕け散った。

 花鳥風月ほどの強度を有していない事と、アンジの魔力が下がりつつある事が原因だったであろうが、これでアンジには攻撃の手段が全て潰えた。


 「アンジ! 離れろ!」

 ケイムの言葉にその場から飛びのく。

 魔法陣が輝き出し、言霊を詠唱し、呪文の名を唱える。

 「リヒト・シュヴェールト!」


 地下空間の天井を突き破り、光の剣が落ちて来る。その剣は巨人の左腕を肩から斬り落とした。

 巨人の叫び声が、地下空間に反響する。


 「よっしゃあ! ケイム撃ちまくれ!」

 歓喜を上げてケイムの方を見ると、緩やかに倒れる姿が目に入った。

 すぐさま駆け寄り、体を起こす。

 「おい! どうしたんだよ」

 「馬鹿が、……あれは私の扱える魔法の中で最強の魔法だ。……魔力が尽きてしまったのだよ」

 「一撃で決めようと頭部を狙ったのだが、口惜しいな……あいつの魔装に軌道を逸らされてしまった」

 魔力が完全に無くなると人は死に至る。それがアンジの頭によぎった。

 「てめぇ死ぬなよ!」

 「死にはせんよ。 ただ時間の問題だがね」

 ケイムの目は巨人に向けられていた。




 アレンは地獄の痛みに悶えながらも、頭の中に聞き覚えのある声がしている事に気が付いていた。


 「……者よ」


 苦しみ続けている状況に前と同じく聞き取れない声に、アレンは怒りが湧き出る。

 「何なんだよお前は! 黙れ! 黙れ! 黙れ!」

 頭の中でそう叫んだ。


 「やっと我の声に応えたか」

 謎の声から返事が返って来た。

 アレンは痛みに耐えながらも、その声に耳を澄ます。

 「継承者よ、貴様に死なれては我が困るのだ。少しばかり手助けをしてやる」

 「乗り越えて見せよ」

 「なんだよ? 誰だよお前! どう言う事だ!」

 しかし、謎の声からの返答は無かった。


 突然、左半身が電撃に覆われる。それは負っている傷にも勝る痛みだったが、直ぐに痛みが消えた。強制的に麻痺を起こされた様だ。

 生きた心地のしなかったアレンは大量の汗を掻きながら、放心状態でその場に横たわったままだった。


 やがて自身に起こった異変に、少しづつ気が付き始める。

 体が軽く感じるのと同じく、魔装がやけに強固な物に感じる。

 「魔力が上がっているのか?」

 そう思った時、アレンの右手の甲付近に記号なのか文字なのか判断出来ない刻印の様な物が浮かび上がった。


 それが刻印が光り輝くにつれ、魔力が上がって行く。

 痛みが無くなったアレンは立ち上がった。

 「アレン! 駄目よそんな大怪我で動いちゃ!」

 マナの声は耳に入ったが、痛みを感じないせいかも知れないが大丈夫な気がした。


 ケイムは立ち上がったアレンに驚いたが、アレンの右手で輝くものをみて更に驚いた。

 「あれは、まさか……。刻印なのか?」

 「刻印? 刻印ってなんだよ?」

 アンジの疑問に返答は無かった。ケイムはアレンの動向を見る事に集中している様だった。


 あの巨人を倒すにはどうすればいい? アレンは考えていた。魔力が上がった気はしているが、それでも「カーレント」では歯が立たないだろう。

 そう考えていると、ある光景が思い浮かんだ。


 アレンは右手に魔力を集中させると、カーレント級の電撃を手に纏わせる。そしてその電撃は徐々に形を成しはじめる。

 5本の指先から伸びるように、電撃で爪が形成されて行く。


 あれには皆、見覚えがあった。

 ナオが使っていた魔装具にそっくりなのだ。

 ただ決定的に違う所は、魔力で作る魔装具とは違い、魔法で形を成している事である。

 瞬発的な操作が必要な魔法で、形を作るのも難しいがそれを維持するとなると、その難易度は魔装具の比ではない。

 

 「S・エンハンス」


 敏捷性を強化すると、アレンは巨人に向け突進する。

 今までとは比べ物にならない速度は、巨人の攻撃を楽々と回避するとそのまま足を斬りつける。

 雷の爪は巨人の魔装を切り裂き、足を切り裂き、更に電撃が巨人の体を襲う。

 全身に走った電撃で膝から崩れ、前のめりに倒れ込んだ。

 そしてアレンは、爪であっさりと巨人の首を切断した。

 

 

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