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デモンズ・ゲート  作者: 梅
第2章
23/50

666


 聞いた事のないスノウの大声に全員が身構えた。

 何処から現れるのか? 次第に強くなる雨が視界を悪くさせる。


 目を凝らし周囲を警戒していた時、悲鳴が上がった。しかし悲鳴は一人では無い、とても大勢のものだ。

 「なんだ! 何処に現れたのかね!」

 「待てよ! 町から悲鳴が上がる訳がねぇ!」

 アンジの言葉を受けて思い浮かんだのは、住人が避難したあの地下空間だ。

 「まさか、あの地下空間に門が現れたと言うのかね」


 地下への入口へ向かうと、溢れた水の様に人が地下から出て来ていた。

 「これじゃ、僕たちが地下に入れない!」

 「でもよぉ、人が途切れるの待ってたら手遅れだろ!」

 そうなのだが、混乱に陥った住人は我先にと絶え間なく地下から押し出て来る。

 ケイムが何か閃いた様に調査機器を置いている所へと向かう。

 「アレン! S・エンハンスを発動させておきたまえ」

 何をするのか分からないがS・エンハンスを発動させケイムが戻って来るのを待つ。


 少ししてカバンを持って現れたケイムは、地下の入口から離れた場所にカバンの中身をばら撒けた。

 「ここなら、恐らく大丈夫だろう」

 ばら撒かれていたのは、魔法石だった。

 「入口から入れないのなら、別の入口を作るべきとは思わんかね?」

 少し考えアレンは答えた。

 「そう言う事か」


 ケイムが魔法石から特殊金属を外していく、それに向けてアレンは魔力を放つが数が多いので中々思う様にならない。

 「僕の仕事でしょ」

 そう言いながら現れたスノウは息を吐くと、全魔力を魔法石にむけ放った。石が光に照らされた宝石の様に輝き始める。スノウを引っ張り全速力でその場から離れると大爆発が起こった。

 後ろから襲い掛かる爆風に体が飛ばされるが、地面には思惑通り地下に繋がる穴が空いていた。


 「ケイムは無茶するわね」

 マナはスノウとアレンに回復魔法を掛ける。

 ダートンがディンゲを複数発動させ、階段を作る。ケイム、アンジ、ダートンは先に地下へと向かった。


 「もう大丈夫だマナ、俺たちも向かおう」

 「大丈夫な訳ないでしょ! 全然キズ塞がってないじゃない」

 「危ないかも、3人だと」

 「あんたは魔力無くなってるんだから、ここに居なさいよ」

 スノウは両手を広げると、避難誘導している兵の方へ向かった。


 マナと二人で地下へ降りると、地下にあったはずのロウソクの火は消え、ほとんど明かりの無い闇の世界だった。

 アンジが火の魔法で明かりを作っては居るが、それでも視界が狭い。

 「もっと強力な火の魔法は使えんのかね!」

 「うるせぇ! これが全力だ!」

 「モンスターが見当たらないな。ホーストンの時はうじゃうじゃと居た筈なのに」

 「確かにそうね。いくらここが広いとは言え1匹も見当たらないのはおかしいわ」

 「だったらモンスターが現れる元凶の門では無く、人々が逃げている入口の方に向かおう」

 ダートンの意見に賛成し、入口の方へと走る。その道中にもモンスターが見当たらない。


 入口の光が見えるが、時折その光が隠れる。そして地面には振動を感じる、これは逃げている人のものでは無いだろう。

 「ここは確か高さ16mと言っていたかね?」

 「いえ、確か18mだった筈よ」

 入口からの逆光でシルエットとして浮かび上がるそれは、この地下空間の天井ギリギリまでの大きさがあった。

 「これが魔界のモンスターかよ!」

 アンジが炎を放つとシルエットの全貌が明らかとなる。

 大きな単眼に紫の掛かった皮膚、そして18mの天井に届くくらいの巨体。間違いなくこの世界には存在しない巨人の姿がそこに現れる。

 

 「これは666門の魔物の一つなのか?」

 「666? なんだよそりゃあ?」

 「悪魔の門について調べた所、門には666の扉があるとされているのだよ。開く扉の数字によって現れるモンスターが変わる」

 「もちろん数字が高ければ高いほど、強力なモンスターが出て来るのだよ」

 「ならこいつは間違いなく、ホーストンの時よりは高い数字の扉から出てきた魔物って事だな?」

 「マジかよ……」


 単眼の魔物は大きく地面を踏みつける。地震のような振動に、バランスを崩しそうになる。

 雄たけびを上げると、血で赤く染まった大きな木の棒をこちらに向けた。


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