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そう、俺の従妹で、現在小学五年生になったばかりの可愛い女の子……地元にある若野宮神社、その神主の一人娘――若野宮 楓の姿だったのだ。
「にゃ! りょうちゃん!?」と楓も俺のことを見つけて驚いたのだろう。仔ネコのようなかわいらしい声で、大声を上げた。
「何でここにりょうちゃんが!? てゆーかここどこ!? ――え、保健室!? 何で!? だってカエデ、今まで音楽室で歌を……あれ!? しかもお仕事する時のかっこうになってるし!! ナニコレ!!?」
「お、落ち着け楓! 俺にもよく分からん状況なんだ! ――お、おいホリィ! これってどういうことなんだよ!? 何で楓が……!?!」
「え?」とパンツ一丁姿のまま突っ立っていたホリィは、またまた、くにゃん、と首を傾げた。しかし今度は、うーん、とは唸らない。すぐに答えた。
「んっとね、その子はりょうさまのキオク…? とかいうのから作られた……えーと、何だっけ? ……あ! 〝ショーカンジュー〟ってやつで、ホントはそんな子よりも、も~っと強い、さやお姉さまや、まなお姉さま自身を出したかったんだけど……チカラがぜんぜんたりなかったんだって。よくわかんないけど……です」
「しょ…〝召喚獣〟……だと!? 楓が!?」
うん、とホリィははっきりと答えた。
「そう言ってたよ? その子はホリィよりは弱い子だけど、〝じゅうぶんに強い子〟だから、きっとりょうさまの〝たびの役に立つはず〟だ、って……です?」
はぁぁ!? 楓が〝強い〟って……いや! それ以前にこのホリィの言い方だと、〝強い〟ってのはどうも、心が、というわけではなく、〝実力そのものが強い〟っていう話をしているみたいだぞ!? いったいあのマナってコは何を考えているんだ? こんな小さい子たちが〝強い〟わけがないじゃないか!!
――ズキンッッ!!!
「づあっっっ!?!」