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 「――よし! 取れた! ……これか? お前の探してた〝赤い球〟って?」

 ――ホリィのパンツから出てきたのは、俺の予想していたとおり、パチンコ玉大の、小さな〝赤い球〟だった。

 俺は取り出したそれをすぐにホリィに見せてみる――と、ホリィの顔には、ぱぁ、と花が咲いた。

 「そう! それ! ありがと、りょうさま! です!」

 ――です、が戻った。

 ホリィはすぐに俺からその〝赤い球〟を受け取ると「ほんとうによかった~…です」と呟き、()まった涙を指で(ぬぐ)った。……どうやら、心の底から安堵(あんど)したらしい。

 いや~……何はともあれ、よかったよかった……これで無事に話の続きが聞けそうだ。

 ほっ、と次の瞬間、俺もホリィにつられて安堵のため息を(こぼ)してしまった。

 俺はそれから、とりあえずホリィの服をかき集め、ホリィにそれを渡し――


 「――えいっ! です!」


 ――と、その時だった。

 ホリィは俺の目の前で、せっかく見つけたその〝赤い球〟をいきなり放り投げ――

 「って!! ちょぉぉっっっ――!!???」

 何してんだ!? そう叫ぶ前に、俺は投げられた球に向かって思いっきりダイヴした。

 ――せっかく見つけたのに、投げたらまた見つからなくなっちゃうじゃないか!! そう、直感で思ったのだ。

 ……だが、所詮(しょせん)は人間の反射(はんしゃ)神経(しんけい)。当然、すでに投げられた球よりも早く動くなんてこと、俺には到底(とうてい)無理(むり)な注文だった。

 俺はホリィの服を抱えたまま、そのまま、ズデェ!! と床に(ひたい)を打ち付けてしまった。球はそんな俺をあざ笑うかのように、ヒュー、とさらに保健室の奥へと向かって飛んで行く。

 そして――


 コンッ――ぼふんっっ!!


 球は、床に落ちたのとほぼ同時に、突然〝爆発〟し――えっ!!?

 何だ!?

 バッッ! と俺はすぐに、床に手をついて急いで起き上がり、音がした方向を見た。

 ――すると、そこにはすでに、もくもく、と青白い煙が立ち込めていて、さらに、


 「――にゃあ!? 何これ!?」


 という、ネコの声が……いや、違う! これは……〝人の声〟!? 何で煙の中から――!?

 俺はさらにそれを凝視(ぎょうし)してみる……と、だんだんとその煙は晴れて行き、やがてその中から〝小さな人影〟が姿を現した。

 ――そこにいたのは、長くきれいな黒髪を後ろで檀紙(だんし)(高級和紙)と水引(みずひき)(祝儀(しゅうぎ)(ぶくろ)などに使われる紅白の(ひも)のこと)を使って一つにまとめられた、白衣(びゃくえ)緋袴(ひばかま)の……つまりは〝巫女(みこ)〟の格好をした、小さな女の子の姿だった。

 ……いや、てゆーかそこにいたのは……間違いない。俺のよく知る――

 「――(かえで)!!?」





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