表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/9

1-6




 バッサ! バッサ! バッサ! ……ホリィの探し物はまだ見つからない。服を盛大(せいだい)に振っているあたり……探し物はよほど小さい物なのだろうか?

 俺は遂には待ちきれなくなり、ホリィに声をかけた。

 「……あー…なぁ、ホリィ? いったい何を探してるんだ? そんなに見つかり辛いような物なのか?」

 「え? うん……あのね、これっくらいの、ちっちゃい〝赤いたま〟なんだけど……です」

 これっくらい……ホリィの指の間隔(かんかく)から想像するに、およそパチンコ玉くらいか? それは確かに失くしたら見つけるのは大変そうだ……というより、ホリィがどこからこの保健室にやってきたのかは知らないが、もし外でそれを落としたとするのならば……たぶん、もう見つけるのはほぼ無理、と思って間違いないだろう。

 「う~……ど~しよ~…………まなお姉さまに、ゼッタイなくしちゃだめだよ、って言われたのに~……です…………」

 ……ホリィも薄々そう思い始めてきたらしい。きれいな蒼い瞳には、うっすらと涙が溜まり始めていた。

 「ね……ねぇ! りょうさま! ホリィのからだに、赤いのくっついてない!?」

 遂には語尾に、です、が付かなくなってしまった。よほど焦っているのだろう。ホリィはパンツ一丁のまま、万歳のポーズでその場を、くるくる、回転し始めた。

 ……しかし、なぁ? 気持ちは分からんでもないが、失くしたのが球だとしたら、粘着性(ねんちゃくせい)でもない限り、そんなまさか身体にくっつくわけが……

 「――!! ストップホリィ!」

 「ふえっ!?」

 ビタッ! 俺が大声を上げると、ホリィはすぐに急ブレーキをかけて回転を止めた。

 ――ホリィが何度か回転し、ちょうど身体の側面が俺の方に向いた、その瞬間。俺はその物体に気がついたのだ。

 くっついてはいない。くっついてはいないが、しかし! ホリィの、その〝パンツの中〟。ちょうど左側の腰の辺りに、明らかに何か〝丸い物体〟が浮かび上がっていたのだ。

 「動くなよ、ホリィ!」

 ばっ! と両手を突き出し、俺はそう強く言ってからすぐにホリィに近づき、ホリィの身体を押さえながら慎重にパンツの中に手を入れた。

 ……くれぐれも、と言っておこう。安心してくれ。本当に俺にはそんな趣味はない。つまりはこんな小さい子のパンツの中に手を入れても、ドキリ、ともしないし、何も思うことなんてない。だから、ともう一度だけ言っておくぞ? この部分だけ見れば、俺は一見、何も知らない小さな女の子にイタズラをする、凶悪な犯罪者であるように見えるかもしれないが……安心しろ! 俺は絶対にそんなクソ野郎とは違う! 信じてくれ!!





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ