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バッサ! バッサ! バッサ! ……ホリィの探し物はまだ見つからない。服を盛大に振っているあたり……探し物はよほど小さい物なのだろうか?
俺は遂には待ちきれなくなり、ホリィに声をかけた。
「……あー…なぁ、ホリィ? いったい何を探してるんだ? そんなに見つかり辛いような物なのか?」
「え? うん……あのね、これっくらいの、ちっちゃい〝赤いたま〟なんだけど……です」
これっくらい……ホリィの指の間隔から想像するに、およそパチンコ玉くらいか? それは確かに失くしたら見つけるのは大変そうだ……というより、ホリィがどこからこの保健室にやってきたのかは知らないが、もし外でそれを落としたとするのならば……たぶん、もう見つけるのはほぼ無理、と思って間違いないだろう。
「う~……ど~しよ~…………まなお姉さまに、ゼッタイなくしちゃだめだよ、って言われたのに~……です…………」
……ホリィも薄々そう思い始めてきたらしい。きれいな蒼い瞳には、うっすらと涙が溜まり始めていた。
「ね……ねぇ! りょうさま! ホリィのからだに、赤いのくっついてない!?」
遂には語尾に、です、が付かなくなってしまった。よほど焦っているのだろう。ホリィはパンツ一丁のまま、万歳のポーズでその場を、くるくる、回転し始めた。
……しかし、なぁ? 気持ちは分からんでもないが、失くしたのが球だとしたら、粘着性でもない限り、そんなまさか身体にくっつくわけが……
「――!! ストップホリィ!」
「ふえっ!?」
ビタッ! 俺が大声を上げると、ホリィはすぐに急ブレーキをかけて回転を止めた。
――ホリィが何度か回転し、ちょうど身体の側面が俺の方に向いた、その瞬間。俺はその物体に気がついたのだ。
くっついてはいない。くっついてはいないが、しかし! ホリィの、その〝パンツの中〟。ちょうど左側の腰の辺りに、明らかに何か〝丸い物体〟が浮かび上がっていたのだ。
「動くなよ、ホリィ!」
ばっ! と両手を突き出し、俺はそう強く言ってからすぐにホリィに近づき、ホリィの身体を押さえながら慎重にパンツの中に手を入れた。
……くれぐれも、と言っておこう。安心してくれ。本当に俺にはそんな趣味はない。つまりはこんな小さい子のパンツの中に手を入れても、ドキリ、ともしないし、何も思うことなんてない。だから、ともう一度だけ言っておくぞ? この部分だけ見れば、俺は一見、何も知らない小さな女の子にイタズラをする、凶悪な犯罪者であるように見えるかもしれないが……安心しろ! 俺は絶対にそんなクソ野郎とは違う! 信じてくれ!!