表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/9

1-5




 「――そうだ! な、なぁ、ホリィ?」

 はっ! とそのことに気がついた俺は、しかし今度はなるべく冷静に、優しく、座り込んだままのホリィに聞いた。

 「お前…今のマナってコと知り合い……なんだよな?」

 「……ふぇ? まなお姉さまと? うん。まなお姉さまはホリィのお姉さまだよ? だってホリィの名前は、みもり ホリィだもん! です」

 お姉さま……〝家族〟??? このどう見ても外国っ子のホリィが、髪の色こそ蒼いが、あのたぶん日本人であるマナの姉妹……? ――あ、いや! そんなことはこの際どうでもいい!

 俺は()き出る疑問を全て後回しにし、すぐに本題のみをホリィに聞いた。

 「よし、じゃあ、ホリィ? そのマナお姉さまから、この〝ユメ〟の世界のこと、何か聞いていたりしないか?」

 「え? 〝ここ〟のこと? ――うん、ちょっとだけ聞いてるよ? です」

 やっ――いや、落ち着け!!

 俺は(あせ)る気持ちを必死に抑えつけ、ゆっくり、慎重(しんちょう)に聞いた。

 「……で、ホリィ? それって、例えば……どんなことだ?」

 「うん、えっとね……です」

 そう呟くと、なぜかホリィは自分のことを指差し、話し始めた。

 「えーと、まずはホリィのことなんだけど……ホリィは〝本物のホリィ〟じゃなくって、まなお姉さまが〝半年前くらいに見た時のホリィ〟なんだって。よくわかんないけど……とりあえずホリィは〝強い子〟だから、りょうさまの〝たびのオトモにはぴったり〟だろう、って言ってたよ? です」

 〝強い子〟? 〝旅のお供にはピッタリ〟……???

 こんな金髪ちびっこシスターさんのホリィがなぜ、〝ピッタリ〟、なのだろう? 普通はもっとゴツイ、所謂(いわゆる)SP的なオッサンたちの方が、この場合は、ピッタリ、だと思うのだが……これではまるで真逆ではないか。

 ……。

 ……俺は少し悩んだが、しかし、それはつまり遠回しに、ホリィを連れて歩けば、何かしらの役に立つ、ということをホリィ伝手(づて)にマナが俺に伝えようとしてくれたのではないか? そう考えることにした。

 ……まぁ、何しろこの世界は普通の世界じゃないからな。まだ保健室の外に一歩も出ていない状況だし、ここは〝ユメ〟について何かと詳しそうなマナの、〝ピッタリ〟、という言葉を信じることにしよう。

 「――よし、分かったよホリィ。俺といっしょに行こう。……で? マナ…お姉さまには、あと他には何か言われてたりすることはないのか?」

 「え?」とホリィの首は、くにゃん、と(かし)げられた。そして次にまた、うーん、うーん、腕を組んで悩み始める。……クセなのかな?

 俺はそんなホリィをわざわざ(あせ)らせる必要はなかったため、ただ黙ってその答えを待った。

 そして、数十秒後。

 「うーん……うー…はっ! 思い出した! です!」

 ……無事、思い出せたらしい。――しかしホリィは突然、身体中を手で……どうやら、何かを探しているみたいだな? 「あれ? ない……どこいった? です」と呟きながら色んな所をまさぐっていた。

 そしてしまいには……

 「ここか! それともこっちか! です!」

 立ち上がり、帽子も、服も、何もかも、全部脱ぎ捨て、最終的には真っ白な〝パンツ一丁(いっちょう)〟姿になってしまっ……ああ、安心してくれ。俺には全く〝そういう趣味(しゅみ)はない〟から。べつに小さい子の(はだか)なんて見てもうれしくも何ともないから。その証拠(しょうこ)は……まぁ、いずれ明らかになるだろう。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ