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主李は、ビックリするのでした。

 再び入浴し出た主李かずいが、祐也ゆうやに連れられて行った先は、


「はーい、皆。ご飯よ~‼あ、一平いっぺいはお風呂入ってらっしゃい‼」

「えー‼メシ~‼」

「あ、祐也さんの車の……」


 確か、祐也よりも細身の一平は、祐也の代わりに車の掃除をしていたはず……。


 手伝えなかった……と言った表情で俯く主李に、


「違うのよ~?主李くん。この子、大学で空手と柔道とをしていて、それに道場にも通っててその帰りだったのよ。汗臭いし。暑苦しいわ~。21にもなって彼女一人もいないのよ」


せとかは嘆く。


「それに、女の子の方が早熟、おませだから彼氏を連れてくるかと思っていたのに……」

「ゆうにいちゃんの方がいい」

「う~ん。同年代ってあんまり……あ、主李君はけっこう友達になりたい。優希ゆうきちゃんって彼女さんいるもんね」

「こうなのよ……あ、そうだったわ‼今度公開される映画の予備知識の番組見なくちゃ‼くれないテレビ‼」


 その言葉に、紅はチャンネルを変える。

 番組のタイトルは、『アーサー王伝説ーKing of Arthurー』。

 イングランドの映画である。


「何か日本人って、間違った英語が多いんだよな……」


 呟く祐也に、主李が、


「間違った英語?」

「う~ん。『王の中のアーサー』って意味だよ。こう書くと。『legend of King Arthur』で良い筈なんだけど?それか『Arthurian』が『アーサー王の』って言う意味になるから……『legend of Arthurian』で良いと思うんだ」

「く、詳しいですね⁉えぇ?そう言う意味なんですか‼」

「うん。一応英語は喋れるよ。高校でTOEIC合格してるから」

「エェェ‼多分、優希羨ましがるとおもいます。とても英語が苦手だから……」


祐也は、首をすくめる。


「優希は、難しく考える性格だし、真面目だから学校の英語教諭の押し付けがましい授業が多分悪い方に行ったんだと思う。優希はあれだけ知識があって情報もあるんだ、コツや怖がったりしなければ大丈夫だと思うよ」

「そうなんですね……ん?アーサー王ってオジさんですか?」

「ん?アーサー王は、ガリア戦記って言って、ローマ軍がイングランドを侵略したって言う書物が残されているんだけれど、その頃のイングランドの王の一人、もしくは神格化、伝説化された存在だって言われているんだ。キリスト教を広める前にいたとされる、ケーキ・ド・トーアヘって言う現在言われるドルイド信仰を中心とするケルトと言われる民族や村村の首長……小国の王がいてね」

「ケーキ・ド・トーアヘ?」

「そう。それら小国の王が戦い淘汰とうたされ、平定した『王の中の王』が『ardriアルドリー』。これは接頭語」


 祐也の説明を聞きつつ、キャスティングを見て、


「あ、ガウェイン・ルーサーウェイン‼優希。実はファンなんです」

「あ、そうなんだ」


後ろからそっと顔を覗かせたのは、穐斗あきと醍醐だいご嵯峨さがである。

 からすの行水らしい一平が、


「穐斗がお客さん連れてきた」

「夜分に申し訳ございません。私は、大原嵯峨おおはらさがと申します。弁護士で醍醐くんの幼馴染みです」

「あ、正確に言いますと、私の兄達のです。主李くん。先輩に聞きましたが、大変でしたね」

「あ、醍醐さん……」


へにゃっと半泣きになる主李に、


「あ、そうだ。主李くん。僕、お、お母さんがね、イングランドに留学した経験があって、ガウェイン・ルーサーウェインのお母さんともお友だちなんだ。もしよかったら、サイン貰えるか聞いてみようか?」

「え?聴く?」

「うん。今、この時間だし……」


穐斗は携帯を操作すると、しばらくして流暢な英語で話始める。

 その横で、


「えっと、『おーい、ウェイン~?起きてる?ん?昨日と言うか今日帰って寝たばかり?それはお疲れ様~……意地悪?違うよぉ。僕からお願いがあるの~』って、多分言ってる」

「多分?」

「いや、俺が習ったのは、こっちで言う標準語や関西弁みたいなもんで、今、穐斗喋ってるのは、イングランドの多分スコットランドではないけど、ちょっと癖がある地方の方言。『僕の可愛い後輩にサインちょうだい‼あのね、姉妹でね、お姉ちゃんが優希。妹が竜樹たつきって言って、とっても勉強家。今日ね、僕、美術館にイングランドを中心とした妖精やサー・アーサー・コナン・ドイルのこととかのを観に行ってね?そうしたら、お姉ちゃんの優希がとっても詳しいんだよ~。ぐるっと回って、いろいろ教えてもらったの。でね?お礼に何かあげたくて、そうしたら、ウェインのファンなんだって言うからね?うん、うん。優希と竜樹。お願いね‼……うぅーん。解った。良いよ。送るね~。あ、住所は、ここに送ってくれる?えっと~』で、穐斗の住所。あの、ガウェイン・ルーサーウェインをウェイン……」


電話を切った穐斗は、


「だって、同い年だもん……」

「同じ年‼」


テレビ画面の中のガウェインは、優雅な口調で仕草で、グィネヴィア王妃役のヴィヴィアン・マーキュリーと微笑みあい、手を差し出す。


「ウェインが言うには、同じ子役時代からの性別を越えた親友って言うのかな?ヴィヴィって彼女のことを呼んでるみたい。僕もヴィヴィと会ったことあるよ?」

「え?」


 ぎょっとする周囲に、携帯を操作して、画面を見せる。


「ほら、僕とヴィヴィ‼京都で会ったの。可愛いお姉さんだったよ。住所も交換してるし、メールもだから……サインちょうだいってお願いしようかなぁ……」

「あ、あのっ‼穐斗さんって……なにげに凄いんですね……」

「ん?あ、違うよ~。ま……お母さんがね?テディベア作家なの。毎年日本では京都と首都圏で、他にもいくつかテディベアのコンテストと販売イベントがあるんだよ。お母さんは京都のイベントの常連で、ファンが多いの。ヴィヴィもファンの一人で、『フユ・ヴィヴィ・ベア』ってブランド名で出展してるんだ」

「フユ……清水風遊しみずふゆさんか‼」


 嵯峨の声に、


「あれ?大原さんもテディベア好きなんですか?」

「あ、いや……シィに言うなって言われてて……」


ちらっと、悪友の弟の醍醐を見る。

 後で解ったのだが、醍醐は京都で穐斗の母、風遊に出会っていて、一目ボレしていた。

 後日会ったときに再び恋に落ち、結婚するらしい。


 しばらくして、醍醐が、


「主李くん。もう夜遅いですし、お家まで送りますよ。かずきくんは大丈夫ですよ」

「でも……もう少し……」

「明日は学校でしょう?」

「……はい。でも、優希は行けませんね……」


がっかりとした顔に、醍醐が微笑み、


「優希ちゃんのいるところは私や祐也くんがつれていってあげますよ。それに、連絡します」

「はい。よろしくお願いいたします。あの……先生にも……よろしくお伝え……」

「では、先に失礼いたします」


醍醐と共に、丁寧に頭を下げた主李は帰ったのだった。


 で、車から降りた後お礼を言うと、


「はい、君の荷物ですよ」

「えっ?あ、パンフレットとき、キーホルダー‼お、お金……」

「妖精さんからだそうですよ」

「で、でも……」

「今日は大変だったでしょう?あぁ、ご家族が……こんばんは。本当に申し訳ございません。大学の松尾と申します」

「本当に、ありがとうございます」


父親がポンポンと頭を叩く。


「ご迷惑ではありませんでしたか?怪我をした動物は……」

「手術中なんです……無事で助かると良いと思います」

「そうですね……本当に送っていただいてありがとうございました」


醍醐は頭を下げると、車に乗り込んだのだった。

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