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神さまのくすり

作者: シマ K吉

あるところに、とても貧しい夫婦がいました。


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どんなに貧しくても、不平ひとつ言わず、一生懸命働く夫婦でした。


神さまへの祈りも毎日かかしませんでした。


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夫婦には一人の娘がいました。


とても優しい4才の女の子。


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年に一度食べられる誕生日の小さなケーキを楽しみに、


時に両親の手伝いをし、時に一人でおルス番をする、とてもいい子でした。


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あるとき、娘がとても重い病気にかかりました。


しかし、夫婦にはお医者さんに診せるお金もお薬を買うお金もありません。


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夫婦は神さまのところへ行き、必死で祈りました。


しかし、神さまは夫婦の願いを叶えるどころか、会ってもくれません。


.


娘の病気はどんどん重くなっていきます。


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夫婦はまた神さまのところへ行きました。


しかし、やはり神さまは会ってくれません。


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それを見かねた悪魔が夫婦にささやきました。


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『神さまの蔵には、どんな病気も治す薬があるよ』


.


悪魔は神さまのところへは行けないけど、人間なら取りにいけるよ、と。


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夫婦は断ります。


そんなことをしたら、どんな怖ろしい罰を受けるか分からないからです。


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やがて、娘の病気はさらに重くなり、いつ死んでしまうか分からないようになりました。


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夫婦は心を決めました。


神さまの蔵にしのび込み、薬を盗み出したのです。


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薬を娘に飲ませると、病気はたちまちに治り、娘は元気になりました。


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しかし、神さまはたいへんに怒り、夫婦を呼び出しました。


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夫婦は覚悟していました。


娘が元気になったのだから、どんな怖ろしい罰でも受けよう、と。


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ただ、もし二人が死んでしまっては、娘が一人ぼっちになってしまいます。


それだけが気がかりでした。


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だから、二人は神さまに言いました。


『妻の命は助けてください。私はどんな罰でも受けますから』


『夫の命を助けてください。私がどんな罰でも受けますから』


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神さまは言いました。


『そうか。それなら、二人の言うとおりにしよう』


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神さまは夫婦にくだす罰を決めました。


それは、娘の命を奪うことでした。


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娘は二人に『ありがとう』と言って、死んでいきました。


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楽しみにしていた誕生日のケーキは食べれませんでした。


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はじめまして。そして、申し訳ありません。

ご覧いただき、ありがとうございます。

不条理オチです。心にもやっとしたイヤなものが残ってしまったかもしれません。

しかし、摂理とは、神さまのルールとは、こんなものだと思ってます。


神さまはいる・・・のかもしれない。

でも、見ているだけで、手助けはしてくれない。


敬虔な信徒の方には、本当に申し訳ありません。貶めるつもりはないのです。

しかし、神さまは高尚すぎて、人間が感じる善悪など気にもかけてはくれないのだろうな。

そんな思いが生んだお話です。

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