Vaccine6 First Mission-1
遅くなりました!
第6話です。
よろしくお願いします!
「とりあえず私服は全部入れて…あと制服のワイシャツか。それから勉強道具…っと!まぁこんなもんかな、とりあえずキャリーバッグに全部入ってよかったな」
俺は今、自宅である猫川市の駅前から徒歩13分の場所にあるアパートに戻ってきている。
それにしてもあの人達には困ったもんだ。
まさか今日から泊まり込みが始まるとはな。急過ぎる。
あっ…向こうにテレビとレコーダーあるかな?アニメ録画出来ないと困るなぁ……今期は豊作なのに。
……ん?
なんだ?本来この部屋に無いはずの気配を感じる…。
何者かがこの部屋に侵入した?
「おい、居るのはわかってる。出てこいよ、相手をしてやる」
キッチンから出てきたのはスーツに黒いロングコートを着た、俺より少し背の高そうな男。
「ほう、俺の気配を感じるか…なかなかデキる奴みたいだな」
「ホントに気配を消していたのか?バレバレだったぜ」
…いや、ちがう。俺にはわかる。
気配を消せなかったワケじゃない。俺を試して、ワザと気配を消さなかったんだ。
「で、アンタは何者だ?」
「お腹が空いた。飯作ってくれ、ハルタ」
だぁぁ!思わず古典的なコケ方をしてしまった。
「急にやめるなよ!俺的にはもうちょっと引っ張りたかった!!」
とまぁ、こんな茶番劇をしたわけだが。
俺と今にも熱いバトルを繰り広げるのではないかと火花を散らしていたように見えたであろうこの怪しいスーツの男は、何を隠そう俺の実の兄貴である天城アキラである。
「ていうかいつも言ってるだろ!?帰ってくる日にはちゃんと連絡よこせって!」
「しょうがないだろ?俺だっていつ休みが出るかわからないんだ。勘弁してくれよ。とりあえずあるもんでいいから出してくれ、マジ腹減って死にそうなう」
「なうって死語だから……はいよ。まぁなんか作ってやるわ。んー、チンジャオロースでいい?」
「マジかキタコレ!!」
好物でこの喜びよう。小学生低学年かよ。
「はい、出来たよ」
ハルタ特製チンジャオロース完成!
兄貴が座ってるテーブルに置いてやると…
すごい勢いで食べ始めた。
「そんなガッツくなって…誰も取らねーからよ」
「いや〜久振りにまともな飯食えると思うと手が止まらなくてな!やっぱうめーわ。チンジャオロース」
「そんなに好きなのかよ。あ、じゃあ俺もう行くわ。食器くらい自分で洗ってくれよ?」
「ん?どこに行くんだ?」
「あ、そうか…えと、俺バイト始める事にしたんだ。今日から住込みで。だから暫くここには戻らないと思う」
「バイト?金なら十分俺が稼ぐから問題ないが…まぁやりたいならやっても構わんぞ。どこで働くんだ?」
「田中製薬。あのデパートの近くの」
「田中製薬に住込みで働くのか?何でまた?」
「な、なんかスカウトされちゃってさ、そこの人に。『君には才能がある!』みたいな?」
我ながら酷い嘘だとは思う。でも兄貴にここ最近で起こった事を話しても信じちゃくれないだろうし…
「ふーん…わかった。頑張れよバイト」
「お、おう!」
あ、そうだ。制服用のローファーの他に私服用の靴も持って行くか。
キャリーバッグを開けて靴を袋に入れて詰める。
……もうこの家には戻らないのか。
ん、なんてことは無いな、うん。
たまには帰ってきて掃除して空気も入れ替えよう。
「じゃ、行ってきまーす!」
「行ってらっしゃーい」
今ふと思った。こんなに近いなら住込みで働く必要あるのか?
まぁいいや!
美少女美女達と一つ屋根の下だ。こんなラッキーな事なんてこの先の人生起こりそうもないのにそんな疑問は必要ないな!
あー…叶石さんや横尾さんにこの事自慢したらぶん殴られるどころか吊るし上げられるレベルのリア充感があるぞ。
そんなこんなで職場に到着。
「とりあえず次の指示を仰ぐか」
正面玄関から入り、エレベーターに乗って4階へ向かおうと歩き出す。
エレベーターが一階に止まってなかったからボタンを…あれ、丁度降りてきた。
\ピンポーン/
エレベーターが止まって扉が開く。
すると中から初めて見る女の人が出てきた。
小柄で黒髪のボブ、メガネをかけて白衣を着ている。
ドンっ
「あっ…」
彼女はずっと下を向いていたから俺にぶつかってしまった
「ス、スイマセッ…」
「あ、いえこちらこそ……って」
タタタタタッ
走ってっちゃった。
なんか中学生みたいな雰囲気人だったな〜。
でも白衣着てたから研究部の人かな?
あ、やべ!扉しまっちゃう!
↑ボタンを連打して扉を開けて乗り込み、4階のボタンを押す。
え、えーと…すっごい事になってるな。
詳しく言うと警備部署が散らかり放題。
さっきまで綺麗だったよな…?ものの数時間でこれかよっ…!
「ほーはふはは。ひほつうえのわはひのへやにほいはらほほにまはもほってほい」
ソファに寝っ転がっているキルメさんが顔だけ俺の方に向けて言ってきた。ビール片手にソーセージ頬張りながら喋んな。まぁ何言ってるか何となくわかったけど…。
おそらく上のキルメさんの部屋に荷物置いて、ここにまた戻ってこいって言ったんだろう。
「そういえば他の3人は見当たらないですけど何してるんですか?」
「ふぁふなははふんほれーひんふふーむへ、ふはりはへひふいにひっへるほ」
「あーあーすいません。そんな状態なのに聞いた俺がバカでした」
この人、初めて会った時から大分印象違うんだけど…スイッチ入ってる時とそうじゃない時のギャップがすごいな。素がダメダメだ。
とりあえず荷物置いてこよう。
エレベーターに乗って6階へ向かう。
こないだ入ったのはヤスナさんの部屋だけだからキルメさんの部屋に入るのは一応初めてになるわけだけど……なんでだろうか、全く緊張しないや。
ガチャ
「失礼しまー……す」
……いや、予想はしてたよ。きっと女っぽくは無いんだろうなと。
その予想のナナメ上をいく光景に俺は絶句した。ここは1人暮らしの男、それもボディビルダーの部屋とでも言うべき場所だ。
いたる所にダンベルが転がっており、床にはプロテインの袋が散乱している。
やだっ!こんなところで寝たくないっ!
後で片付けるかー……片付け方も教えよう。俺の仕事を減らすために。
ウーッウーッウーッウーッ!!!
な、なんだ!?急にサイレン!?何が起こった?
『街田市にてVBB反応捕捉。只今、東京VBB対策本部より応援要請有り。警備部所属社員は、装備を整え次第、至急現場へ急行、研究部所属社員は作業を継続せよ。繰り返す……』
放送が流れた。
まさか街田でイリーズが出たのか!?俺はどうしたら…?とりあえず部署に行こう!
エレベーターに乗り込んで4階へ向かい、エレベーターを出ると丁度リンナさんとカグヤさんが部署に入っていくのが見えた。
「失礼します!」
部署に入ると既に4人揃っていた。キルメさんは最初からここに居たから早いとか無いけど、ヤスナ先輩はリンナさん達より早く来てたのか。
「遅いぞ、ハルタ!サイレンが鳴ったらすぐにここに来い!」
「はい、すいません!」
「……じゃあ今回の作戦会議始めるよ。イリーズの数は不明。レベルも不明。まぁこれはいつも通りだね。現場はBチーム、Aチームは守備担当。ハルタはBチームに同行。リンナ、ヤスナ。色々教えてあげてね。以上、解散!」
「「「了解!!」」」
「了解!」
ついに初任務…か。
緊張はするけど気合入れて行くぜ!!
前回投稿の際のあとがきにて、次はバトルですと書いたのですが…今回の話にバトル本編を入れると相当長くなりそうだったので導入で切ることにしました。
次こそ確実にバトル入ります!
次回もよろしくお願いします!!