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Vaccine4 Quartet of God

 キーンコーンカーンコーン。

 授業の終わりを告げるチャイムが鳴った。

 あれから俺は、すぐさま職員室に向かい、担任に「遅刻したが今、登校してきてこれから授業を受ける」という報告を済ませ、自分の教室へ向かった。

 午後の授業はというと四時限目が体育、五時限目がLHRだったから正直授業を受けるもクソもなかったようなもんだった。いや、勉強したいわけじゃないぞ?ただ、まぁやっぱり学校行ったのに一回もペンを持たないってのも変な感じがしてな。

 帰りの支度をしていると声をかけられた。

「おい、天城さん!遅刻してどうしたんだ、珍しいな?なんかあったのか?」

「今日ゲーマイト行かね?あとめろんばんで限定のポスター配ってるらしいですぞ〜」

 最初に話しかけてきたのは叶石(かないし)ユースケ。俺のオタク友達その1。オタクだけど運動部所属の割と爽やかな奴で友達も多い。

 ゲーマイトに誘ってきたのは横尾(よこお)タッセー。俺のオタク友達その2。こっちは叶石と真逆の帰宅部で、ムサくて高校生のくせに無精髭を生やしたメガネ。正統派オタクと呼ぶべき希少種を想像してもらえればピッタリだと思う。なぜかお腹が弱く、結構な頻度でトイレに居るのが特徴かな。

 そして大体アニメなんかの話をする時はこの3人で固まるんだ。1番の謎は3人ともそれぞれのことを「さん」付けで呼ぶこと。一回叶石さんに聞いてみたところ、

「オタク知識に関して2人とも尊敬するところがあるんだよね」

 とのことだった。

「おー2人とも!いや〜ただ単に寝坊しただけだから何も気にしなくて大丈夫。横尾さん、わりぃけどこの後用事あるんだわ!ポスター代わりに貰っといてくれ〜!」

「いや、1人一本だからそれは無理……って行っちゃったよ」

 横尾さんが最後なんか言ってたけどよく聞こえなかった。明日ポスターもらお。

 そう、俺はこれから田中製薬に戻らなければならないんだ。


 行きは車でキルメさんに送ってもらった道を歩き、JR九王女駅を目指す。そこから真央線に乗り、3駅、JR猫川駅に到着だ。

 たった3駅なのに結構時間かかるんだ。駅と駅の間隔が長いんだな。

 田中製薬の場所はGoooogleMapで検索したらすぐに分かった。駅からもそんなに遠くないみたいだ。早速出発!


 …………着いた…けど

 こんなにデカかったのか、ここ。

 目を覚ましたのは建物の中だし、出る時は急いでて振り返らなかったからよくわからなかったけど結構広い建物なんだな。…1、2、3、4、5、6、7階建てで敷地もそれなりにあるみたいだ。

「俺が目を覚ましたさっきの場所は出てきた時に階段使ってないから一階か?」

 入口から入ると各階の説明が書いてあるボードを探したんだけど…見つからない。

(普通ボード置いとくだろ…不親切だなぁ)

 と思っていると前から見たことある顔の人がこっちに歩いてきた。

「あ、田中さん!」

「あぁハルタ君、6時間ぶりほどだね。キルメさんが君が来たら警備部の部署に連れて来るよう言っていたから案内するよ」

 そう言って出迎えてくれたのは田中さんだった。それから俺は田中さんと警備部の部署があるという4階にエレベーターに乗って向かった。

「この建物結構大きいんですね?製薬会社ってもっとこじんまりしてると思ってたというか…大手なら大きいんでしょうけど、正直ここの会社あんまり聞いたこと無いしこんなに大きい意味あるのかなー……なんて」

「ここが大きいのは色々と意味があってね〜。まぁその辺も含めてこれから話されるだろうし、話されなかったら質問するといいよ」

 そんなことを話していると警備部に着いた。

「さぁ、入ってソファーにかけて待っていてくれ。私はキルメさんを呼びに行ってくるよ。あ、あと飲み物は何がいいかね?」

「あ、じゃあ紅茶で

「緑茶ですね」

「あ、はい…」

 なんか有無を言わせないオーラ出てる…

 てか田中さんってキルメさんを呼びにいく係なのか?そのイメージしかないや、田中さんには申し訳ないけど。

 バタン!勢いよくドアが開いた。入ってきたのはキルメさんだ。

 よかった、服着替えて割と普通の格好になってる。

「お、ハルタ!お土産買ってきてくれたか?」

「何のですか!学校行ってきただけですよ俺は」

「外回りしてきたらお土産は当然だろう、貴様は1番の下っ端だしな」

「学校行くことを外回りって言うなよ、俺は営業マンか」

「まぁ…実際そんなようなものにこれからなるんだ。さて、お前の仕事の話をしようか」

 そう言うとキルメさんは今までの緩い雰囲気を引き締めるような表情をした。

「まだ正式には言ってなかったよな?警備員の仕事とお前の仕事内容について」

「まぁ…はい。さっきあんな事があったんでなんとなくはわかりましたけど……イリーズってやつ倒したり、覚醒者の拘束…とか?」

「まぁそれが6割だな」

「あとの4割はなんですか?」

「うちは製薬会社だ。薬を作っているのはわかるな?なんの薬だと思う?」

「風邪薬とか…じゃないんですか?」

「もちろんそれもあるが……実はVBBの研究及び特効薬の開発も行っているんだ」

「はぁ…それが警備の仕事と何の関係があるんですか?」

「ここまで聞いてわからないのか?全く容量が悪いやつだ」

「えぇ〜…そんなにディスりますか…」

「まぁいい。つまりは研究結果を盗みに来る輩がいるということだ。そいつらの強襲から研究を警備するというわけだな」

「なるほど、それがあとの4割ということですね?」

「いや、違う。これは3割だ」

「え?じゃあ残りの1割はなんですか?」

「私達の身の回りの世話をしてもらう」

 ……は?

「え?いやいや、もう一回言ってもらっていいですか?聞き間違いかなーなんて」

「私達の身の回りの世話をしてもらうと言ったんだ。さっき同僚があと3人いると言っただろう?私含めて4人の世話をしてもらう。ちなみに住み込みだ。実はこの上が私達の家になっていてな。お前の部屋も用意しよう」

「いやいやいや!!そんなん無理ですって!それ1割どころの話じゃないでしょ!なんですか世話って!」

「掃除洗濯炊事だ。たった3つだけだし、簡単だろう?」

「たった6文字に収めてるその3つがめちゃくちゃ重いんだよ!!」

「何はともあれ、私達はお前の"強味"にして"弱味"を握っている。逆らえないはずだが?」

 うっ…そうだった。俺は能力者の中でも例外とされていたんだ。正式な機関にそれがバレたらどうなるかわからない。

 ん…?ちょっと待てよ?確か同僚の3人って女の人だよな…?つまりは男:女、1:4の一つ屋根の下の共同生活が始まるってことか!?もしかしてこれはラッキーなのか!?

 ……ヤバイ、妄想止まらん。

 ガチャ!

 不意に後ろのドアが開いた。

「あー疲れた〜ただいま〜」

「任務終わりました。キルメさん待機ご苦労様です」

「…キルメと田中さんにミセド買ってきた。アニメ見ながら食べよ」

 わらわらと3人の女の人が部署に入ってきた。この人達がキルメさんの同僚か?

「おう!お疲れ3人とも!無事で何よりだ!それに丁度いいところに帰ってきてくれたな!紹介したい人がいるんだ」

 最初に入ってきた人…なんかキルメさんよりヤバイ!!服が扇情的というか下着というかビキニというかっていうかビキニだ!!!!んでスタイルもいい!!グラビアアイドルかと見間違えるほどだ。ボンキュッボンと言うにふさわしきなり!

 2番目の人は背は俺より低いくらいだから…160cmくらいか?顔は可愛いけど胸は残念だな、パスパスパース。

 最後のミセドの箱持ってきた人…というか子供だな。幼女か。120cmくらいだからまだ小学生だな。可愛いなぁ…あ、いや、ロリコンじゃないぞ!?父性だ父性!!

 …ん?ミセドって言ったか…?

「ミセドって確か今、怪物語(かいぶつがたり)とコラボしてましたよね。俺、この話に出てくるミセド好きなキャラで(さわぎ)ちゃんって子がいるんですけど好きなんですよ」

「……!!!!私も騒ちゃん好き…!!」

 うわっ!幼女が抱きついてきて上目遣いでこっち見てくる!何この生物可愛い!!

「あれ、そういえば君誰?新人さん?」

「新しい技術者の人では無いみたいですね、まだ学生…ってか、そ、その制服…っ」

「…この子がキルメの紹介したいって人?」

「はい、そうです。新しく雇った警備員兼、田中さんの代理で私達の世話をしてもらうことにした!!異論は認めん!」

「えぇ〜!?わ、私こんな冴えない男に身の回りの世話されるの嫌です!しかも田中さんの代理って事はあんなことやこんなことまで……!?」

「ちょ、冴えないってなんですか!初対面なのに当たり強くない?」

 今は流すけど田中さん、この人達にあんなことやこんなことをしてたんですか…!

「は?普通そうでしょ?名前も何も知らない男に誰がお世話して欲しいって言うのよ!」

 ぐぬぬ…正論でございます。

「じゃ、じゃあ名乗ればいいんだな!?俺は天城ハルタ!キルメさんとは昨日会って戦って捕まって…ここでバイトしろって言われました!よろしくお願いします!」

「うむ、よろしく!」

「よろしく〜」

「…よろしく」

「そう、天城ハルタね。よろしく……ってバカ!何3人ともよろしくしてるんですか!?この男を認めるんですか?」

 キルメさんとビキニさんと幼女はよろしくって言ってくれたのにガミガミペチャパイがなんかガミガミ言ってくる。俺のハーレム生活を邪魔するな……

「別にいいんじゃない?なんかウブそうで可愛いし、真面目そうだし」

「そ、そうです!真面目です!」

「…騒ちゃん好きに悪い人いないよ」

「うん!騒ちゃん好き!!」

 なんとか賛成してくれてる2人に合わせないと…

「お二方がそう言うなら、まぁ…でもコイツ強いんですか?キルメさん」

「まぁ、そこそこだな。私のアンチVBBフィールド内で能力を発現させたし、さっきも覚醒者を、1人捕まえたところだ。能力は電撃だ」

「なっ…アンタ何者?でも電撃ってことは属性系能力ってことですよね?別に珍しくもないし、コイツじゃなくても!」

「実はコイツはな…暴走を起こしていないらしいんだ」

「えっ!?そんな事あり得るんですか?」

「どうやらあり得るみたいだな。私も最初は信じられなかったが」

「…なるほど、例外ってことかぁ」

「じゃあ尚更さんせーい!面白そうだし!戦力にもなりそうだね!」

「わ、わかりました…じゃあ一先ずここに置くことにしましょう」

 よ、よかった…とりあえず俺ハーレムは守られたみたいだな。

「てかいつからお前そんなに偉くなったんだ?私ら3人に口答えするとはなぁ?」

 さっきとは打って変わってキルメさんから殺気オーラが……

「しかもどさくさに紛れてバカって言ったよね〜?アタシ聞いてたから〜」

 ビキニさんもキルメさん並みに鋭いオーラを放って威嚇し始めた。

「ヒッ…!?ごごごごごめんなさい!そんなつもりじゃ!」

 ガミガミペチャパイはさっきまでの強気な姿勢が一気に縮こまってる。ざまぁ。

「賛成もらえたみたいなんで、改めてよろしくお願いします!」

「話がまとまったようだね。皆でお茶でも飲みましょうか。それに3人とも、ケガがあったら後で医務室に行くように」

「あ、田中さん!ミセドありますよ、食べましょう!」


「さて、では私達も自己紹介するか。改めて私からしよう。田中製薬警備部所属、コードネーム《青龍》中務(なかつかさ)キルメだ。呼び方は今まで通りでいいが上司だということを忘れんようにな」

 青龍って忘れてたけどコードネームだったんだな。キルメさんが青龍で四人組ということはつまり…

「同じく、コードネーム《白虎》童子切(どうじきり)ヤスナ。私はキルメさんみたいに新人に甘くないから。呼び方は先輩を付けること。ちゃんと守ってよね」

 うわ、キツイな〜…

「アタシはコードネーム《朱雀》一文字(いちもんじ)リンナ。呼び捨てでもさん付けでも好きなようにしてくれていいよ〜。あ、メス豚って呼んでくれても構わないから!!」

 ちょ、メス豚って!ドMかよ!

「…コードネーム《玄武》十六夜(いざよい)カグヤ。ここの警備部の部長…よろしくハルタ」

 え、部長?幼女なのに?

「「「「四人揃って!チームし…」」」」

「四神…というわけですね。なるほど〜カッコイイ名前ですね!」

「そこはわかっても言わないでよ!決めゼリフでしょ!」

 ガミガミペチャパイ…じゃなくてヤスナ先輩がグーで殴りながら怒鳴ってきた。

 いってぇ…なんでいきなりこんなに嫌われてんだーー!!

「言っとくけど、今はキルメさんの顔を立てただけで私はアンタを認めてないから!コキ使って、使えなかったらクビだから!」

 んなっ…!?クビ…だと?

 そんなことさせるわけにはいかない!なんとしてでも俺の夢のハーレム生活を守ってやる!!

 田中さんが小声で俺に話しかけてきた。

「ヤスナちゃんはキツイ事言うけどただ単にツンデレなだけなんです。それにリンナちゃんみたいに既に好感度がある程度有るよりヤスナちゃんみたいな娘の方がエロゲーマーにしては攻略のし甲斐があるってものなのでは?」

「ちょ!だだだだだだだだ誰がエロゲーマーですか!!」

 あんのアマ…!

 田中さんにチクりやがったな?

 でも……一理あるかも。ヤスナ先輩の今のやり取りの悪態を全てツンなんだと考えると、途端に可愛く思えてきた。

 もしかしてだけど4人の世話をするのを反対したのも私だけを見てって事だったんだな!

 そういうことだろっ!デン!

新キャラを一気に5人出しました。

ちょっと詰め込んだ感ありますかね…


当分?はほのぼの回かと思われます。

バトル少なめに!(←多分気が変わる)


コメント、感想お待ちしております。

次回もよろしくお願いします!

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